北海道

アスパラガス

北海道の豊かな自然に育まれた
北の初夏の風物詩「アスパラガス」。

甘味が強い、春〜初夏の旬味。
肥沃な大地と寒暖差が生んだ
北海道の特産品アスパラガス。

日本の最北に位置し、四方を海に囲まれた北海道。世界自然遺産が数多く点在し、開拓者のフロンティア精神を受け継ぐ、北の大地だ。スケールの大きい雄大な自然に土地資源も豊かで、冷涼・低温で梅雨がないという気候条件により農作物の栽培が盛んだ。小麦、じゃがいも、とうもろこし、たまねぎ、近年は米なども生産され、全国有数の農業生産量を誇る。大地からの恵みが豊富な北海道でも、春から初夏にかけての風物詩といえば、「アスパラガス」だろう。

4〜5月はハウス栽培もの、初夏5〜6月には太陽の陽射しをたっぷりと浴びた露地栽培ものがお目見えする。新緑がまぶしい旬真っ盛りの季節に、北海道・美瑛町でアスパラガスの栽培を手掛ける増山敏之さんの畑を訪れた。美瑛は北海道上川地方のほぼ中央、隣の富良野と共に有名な観光地として知られる丘陵地で「日本で最も美しい村連合」に加盟している。白金温泉の麓、美瑛川が流れる見晴らしのいい畑を訪れると、生命力溢れるアスパラガスが収穫時期を迎えていた。増山さんが育てているのは、グリーンアスパラガスの中の「ラスノーブル」という品種。穂先が紫色を帯びていて締まりが良く、強い甘味と柔らかな食感が特徴だ。「風が強いと曲がってしまうほど、柔らかい品種です。ここは比較的風害はないのですが、そのために他の地域ではあまり栽培されてきませんでした。23cm程度の長さになったものから収穫していきます」とは、増山さん。測りになる棒を手に、すくっと真っ直ぐに伸びたアスパラガスを鎌で1本1本丁寧にカットしていく。最旬時期には、切った時に白いしぶきが出るほど。鮮度の証だ。

アスパラガスの株は1度植えると20年は収穫できるそうだが、収穫できるのは苗を植えて3年目から。収穫量は6〜7年目がもっとも多いという。まず春に苗を植えて株を養成し、光合成をさせて根に養分をしっかりと蓄えさせる。葉が大きく茂ってきたら株を刈り取り、2年目も同様に養成する。そしてようやく、3年目に1週間程度収穫でき、4年目で30日、5年目に45日、6年目以降から2ヵ月間ほど収穫される。「アスパラガスは土さえちゃんとしていれば、よく育つもの。昼夜の寒暖差の大きさも、アスパラガスづくりの絶好の条件。養成時の光合成で根にどれだけブリックス(糖分)を蓄えられるかで、美味しさが決まります。気温が25℃くらいになるとよく伸びるし、暖かい時に伸びると柔らかく、温度が低くて成長に時間がかかると皮が固くなります。この野菜はとにかく鮮度が命。新鮮なうちに食べてもらいたいですね」。

切り口の太さによってS、M、L、2Lとサイズの規格が決まっており、太い方が味も良く、甘味も濃いそうだ。おいしいアスパラガスを選ぶポイントは、穂先がふっくらとしていて締まっているもの。茎についている三角の葉「はかま」の形がゆがんでいないもの、たて筋が目立たなく、曲がらずに真っすぐ伸びているものがおすすめだ。

とうもろこしと同じで、アスパラガスも収穫直後から甘味がどんどん落ちていくそうだ。流通手段が進歩したとはいえ、北海道から首都圏のスーパーに並ぶまでには、4〜5日はどうしても掛かってしまうという。産地直送で購入すれば最短で中1日で発送されるので、より鮮度の高いアスパラガスが手に入る。エネルギー旺盛な野菜で収穫後も呼吸が活発なため、横置きして放置おくと数時間で穂先が広がってしまう。こうなると鮮度は急速に失われてしまう。出来るだけ新鮮なうちに食べることをおすすめしたい。保存する場合は、新聞紙などにくるみ、冷蔵庫で立てて保存したい。産地直送の場合、専用の鮮度保持袋が付いているそうだ。北の大地に育まれた初夏の恵みを、多彩な料理で味わってみてはいかがだろう。

北海道の
地産地消事情

農業、水産業、酪農も日本一。
圧倒的な食料自給率を誇る。

日本で最初に栽培をはじめたタマネギをはじめ、じゃがいも、とうもろこし、国産を強く打ち出す小麦やブランド米など、肥沃な大地の恩恵にあずかる北海道。日本海、太平洋、オホーツク海と3つの海に囲まれており、カニ、鮭、うに、ホタテや昆布などの海藻類など、漁獲高は日本一を誇る。酪農も同様に、広大な牧場で育てられた牛たちの恵み、牛乳はチーズやバターとなり、こうした乳製品には長年培われた伝統の技が活かされている。今回訪れた北海道・美瑛町は小麦の名産地。期待の新品種といわれる春まき小麦の「ゆめちから」「きたほなみ」「春よ恋」に力を入れている。国産小麦による強力粉がパン、パスタ、中華麺に使われるようになり、中小規模の農家も小麦の栽培に力を入れている。また美瑛町では、冬に旬を迎えるゆり根も特産品。関西、とりわけ日本料理店の多い京都に出荷されている。