フラダンス

ヘルシー探偵団

フラダンス

昨今、運動療法のひとつとしても注目されているフラダンス。
その健康効果と、日本での進化について
専門家にお話を伺いました。

 

フラダンス

世界的に見ても、超高齢化社会を迎えつつある日本。平均寿命は長いものの、健康寿命との間には大きなギャップがあり、それを埋めることが国民的な課題となっている。そんな中、生活習慣病対策のひとつとして、最近注目を集めているのが、フラダンスだ。“健康長寿”をテーマに、小田原にある自らのクリニックに、フラダンスによる健康運動教室を開設、メディアからも注目を集めている『循環器中町クリニック』の原久美子先生に話を聞いた。
「当院の患者さんは生活習慣病の方々が多く、運動をしてもらいたいけれど、リスクをもった方に安全に運動をしてもらうことはなかなか難しい。解決法を求める中、巡り合ったのがフラダンスでした。高齢者というと、ウォーキングかゲートボールという時代がありましたが、もっといろいろな運動の選択肢があったほうがいい。そこで、ハワイでの出会いをきっかけに自分自身で習い、勉強したのです。フラダンスを続けることで、私自身体重も落ち、筋力がアップし、ストレスに対する耐用ができたことを実感。これは運動療法に取り入れるべきだ、と思ったんです」

その後、自身のクリニックに教室を開き、研究を重ねていく中で、フラダンスには大きく分けて3つの健康効果があった、と原さんは語る。
「ひとつめは、メタボ対策になるということ。効果が出てくる目安としては週3時間程度。フラダンスは正しく踊るとかなりの運動量になりますので、3時間ぶっ通しで踊るのは難しい。ですから、1日1時間を週3回など、何回かに分けて行うのがいいでしょう。このように一定の頻度でレッスンを行うことで、内臓脂肪を減らす生活習慣病予防効果が期待できます。そして、ふたつめの効果は筋力のアップです。特にインナーマッスルの中の大腰筋が鍛えられ、下半身の筋力がアップします。転倒防止のためにも下半身を鍛えることは重要です。いつはじめてもいいのですが、なるべく早く始められればそれに越したことはありません。貯金にあやかって、“貯筋”をすることが大事。そうすれば自ずと骨も丈夫になり、“貯骨”にも繋がっていくのです。入院したときなど、体力低下が起こったときに、この“貯筋”“貯骨”が回復力の差となって現れてきます」

実際に教室を取材すると、下は12歳から上は83歳まで、さまざまな人たちが一緒になり、実に楽しそうな笑顔でフラダンスを楽しんでいた。「健康のため、と無理にやっていても駄目。好きでなければ続かない。でも、フラを始めた人は、出会ってすぐに好きになってしまう人が多いんです」という原さん。実はこのあたりに、3つめの効果があった。
「もうひとつの効果は、フラダンスの心理面への効果です。私の研究の中で、体験者の気分プロフィール検査というものを、踊る前と踊った後で比較したのですが、敵意・イライラ・落ち込み・疲労という項目では高かった数値が下がり、活気という項目では低かった数値が上がりました。フラダンスをした後、尿中のセロトニン濃度が高まることも証明されています。セロトニン神経が活発化するということは、長期的・恒常的な抑うつ予防効果が期待できるということになるんです」

また、クリニックで取材していると、ハワイやフラダンスに関する、さまざまなアイテムが目に入ってきた。原さんが着ている診療服や名刺入れなどもそう。
「続けていくと、みなさん、そうなっていきますね。ハワイとかフラダンスというものを、ライフスタイルとして自然に取り入れるようになる。音楽・歌も明るいものが多いですし、生活全体が前向きにポジティブに変わっていくように感じます。いろいろな人と一緒になってレッスンをしますので、そこにコミュニティも生まれます。そういう副次的な健康効果も、実は大きいものかもしれません。フラダンスが、心身両面でハッピーライフの源になっているような気がしています」

そんなフラダンス教室は全国各地で開かれているが、中でも面白い試みをしているのが、三重県・四日市で行われている「フラセラピー」だ。その代表、NIO YURIさんに話を聞いた。
「フラセラピーとは、簡単に言うと、フラ+癒し+健康学ということになります。フラを通じて心と身体の癒しを追求していく。フラダンスというと、やわらかい印象をもたれる方が多いと思いますが、実際にはハードな部分があります。礼儀を重んじますし、ハワイの伝統を継承していく大切な部分があります。レッスンではリラックスできる部分に重点をおき、運動学生理学、健康学と合わせて指導しています。癒(セラピー)の部分を大 切にしていますね。生花を使った髪飾りを使うと、その香りで気分も癒されます。心も身体もリラックスさせることが大切です。 新しい取り組みとして、フラセラピーに続き、“スイムフラ”や“マタニティフラ”なども指導しています」

そのほか、フラダンスの進化はさまざまなところで見受けられる。伝統的なフラダンスの指導者育成と普及発展を目的とする『日本フラダンス協会』代表のマリア ニイノ ナオペさんは次のように語る。
「日本においては、難しい“縛り”や“決まり”のない緩やかで無理のない動きを求めて、フラダンスを始められる方が多いのですが、実は伝統的な本当のフラというのは、極めて厳しい掟があるので、そこを追求すると、続けられない人も多くなってくる。そこで本協会は、新しく“HULALIA”という自由フラの考え方を創出しました。現在では、韓国にも進出を要請され指導にも出かけるなど、人気と話題を呼んでいます。高齢者の方がフラダンスを始めるのは、もっと若く美しくありたい、というのが最大の理由だと思います。花を飾り、綺麗なドレスを着て踊り、気分も華やぐ。その上、健康になれるならこんなにいいことはありません。私たちはこれからも、そんな自由度の高い“HULALIA”を広め、新しい芸術として育てていきたいと考えています」

健康効果はもちろん、ライフスタイルやコミュニティ、そして、自分の美への感覚も変えていくフラダンスはこれからも更なる進化を遂げて、多くの層に普及していきそうだ。

循環器中町クリニック

http://www.nakacho-clinic.jp/

日本フラダンス協会

http://www.kumuhula.net/japan_hula.html

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2014.09.16 UP