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社長に訊く 日本を元気にする会社

良品計画 代表取締役社長
金井 政明

“感じ良いくらし”の提案が豊かな生活を築く。
「無印良品」の“生活美学”は日本の誇り。

現場の力がわが社の最大の武器。定時退社で家に帰って 自分が好きなものに囲まれて暮らせばこれほど健康によいことはない。

独自の美学に基づく商品展開で知られる生活用品ブランド「無印良品」の企画開発から製造、販売まですべてを手がける株式会社良品計画。最近は海外事業も好調で、13年には純利益が過去最高を更新するなど、ますます成長を遂げつつある同社だが、近年、「“感じ良いくらし”の提案」という言葉を理念に掲げているのをご存知だろうか。このキーワードに込められた真意を探るべく、代表取締役社長の金井政明氏に話を伺った。

「“感じ良いくらし”という言葉が生まれたのは、3年前の東日本大震災がきっかけ。当時、我が社も例にもれず、照明を半分に間引いたり、エレベーターを止めたりと節電を行ったわけですが、そのときに社員のみんなが口にしたのは『灯りは半分で十分ですね』とか『階段を使ったほうが体にいいですよね』といった肯定的な言葉ばかりだったんですね。つまり、自分の事よりも共同体への意識で、抑制したり我慢したりすることは、むしろ“感じ良い”ものなんだと」

さらに、“くらし”という言葉にも、もちろん深い意味がある。

「人間の生活は、さまざまなモノたちとの“くらし”でもある。たとえば普段座っている椅子ひとつとっても、『椅子と一緒に暮らしている』と考えたほうが、より豊かな生活が送れると思うんです」

80年代の高級品志向に対するアンチテーゼとして誕生して以来、常に“簡素なモノの中にある美”を追求してきた無印良品。“感じ良いくらし”とは、その長年にわたる活動の根幹の思想を表す、最新の合言葉なのかもしれない。

「手前味噌ですが、私は無印良品の生活美学は、日本人として世界に誇れるものだと思っています。そして、現場で働いているスタッフもまた、この美学を多くの方々に知ってほしいと強く願っている。現場の社員ひとりひとりが、無印良品のコンセプトを理解し、ビジョンを共有できているんです」

金井氏いわく「現場の力が、我が社の最大の武器」。14年度の「働きがいのある会社」ランキングで、良品計画が15位に選ばれたという事実がそれを裏付けている。

同社では当然、社員の健康への配慮も怠っていない。定期的な健康診断、人間ドックの補助といった取り組みのほか、健全な職場環境作りの一環として「残業する社員の数を全社員数の7%未満に抑える」という社内ルールもある。

「午後6時半には会社を出て、家に帰ってきて、自分が選んだモノたちに囲まれながら、音楽を聴いたりテレビを見たり、家族と一緒にのんびり過ごす。それこそ、まさしく“感じ良いくらし”ですよね。それに、これほど健康的な生活はないと思いますよ」

もちろん、金井氏自身もまた“感じ良いくらし”の実践者だ。

「家ではもう、自分の好きなことしかやらないんです(笑)。愛犬を連れて散歩に出かけたり、インテリアや小物を買い集めたり。食生活も、旬な食材をシンプルな調理法で食べるというのが信条。おかげで、仕事のストレスが溜まることはほとんどありません。そもそも、無印良品というブランドを心から尊敬しているので、仕事をしていてもまったく疲れないんですよ」

つまり“感じ良いくらし”とは、言い換えるなら“豊かなくらし”のことであり、ひいては“健康なくらし”にもつながるのだ。

「今は飽食の時代で、どんな食材でも簡単に手に入る。ところが、到底“本物”とは言い難い、質の低い食材も多いわけですよね。世界的に見れば、日本はまだまだ豊かな国ですが、その実、我々の食生活は非常に貧しいものだと言わざるを得ません。そこで無印良品では、たとえば自家製の味噌の手作りキットといった商品を開発して、豊かで健康的な食生活を提案している。我々が伝えたい美学とは、つまりそういうことなんです。さらに言えば、環境問題や資源の問題が日々深刻化していくなかで、我々の美学に賛同してくれる、成熟した価値観を持った消費者は、日本のみならず海外でも増えていくはず。そしていつの日か、『MUJI』という言葉は“世界語”になる。私はそう信じています」

PRESIDENT

Masaaki Kanai
金井 政明

1957年10月13日生まれ、長野県出身。1976年、西友ストアー長野(現・西友)に入社後、1993年に良品計画に転籍。生活雑貨部長として長年にわたって売上げの柱となる生活雑貨を牽引し、良品計画の成長を支える。以降、常務、専務などを歴任した後、2008年2月、代表取締役社長に就任。また2009年には、イデー代表取締役社長にも就任し、良品計画グループ全体の企業価値向上に取り組んでいる。

COMPANY

「無印良品」7000 品目超の巨大ブランドに成長。
「MUJI」の力を武器に世界規模で事業を拡大。

1980年、シンプルで機能性を重視した生活用品を安価で提供するブランドとして誕生した「無印良品」。当初は、約40品目を扱う西友のプライベートブランドだったが、“実質本位のモノづくり”というコンセプトが広く支持され、1989年には西友から独立して(株)良品計画を設立。「無印良品」の企画開発・製造から流通・販売までを行う製造小売業として、衣料品や家庭用品、食品など日常生活全般にわたる商品群を展開、7000品目超を誇る巨大ブランドへと成長した。また1991年には海外進出も果たし、中国をはじめ、アジア、アメリカ、ヨーロッパなどの各地域で200以上の店舗を出店。「MUJI」のブランド力を武器に世界的規模で事業を拡大させている。

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