生活習慣病の基礎知識

骨粗しょう症の基礎知識

いま、日本では骨の生活習慣病と言われる骨粗しょう症の予防の基本も「食事」と「運動」です。

骨折の原因となる骨粗しょう症は、加齢、栄養・運動・内分泌ホルモンの不足、遺伝的要因などが影響し、骨の新陳代謝がうまくいかず、骨の量や質が低下して強度が弱くなる病気です。古い骨から新しい骨への生まれ変わりが滞ると、骨を溶かす骨吸収が進み過ぎ、骨形成が追いつかなくなってスカスカの状態になります。
骨がもろくなることによって生じる骨折から要介護状態や寝たきりに発展し、生活の質(QOL)が著しく低下します。骨粗しょう症で骨折しやすいのは、上腕骨近位部(腕のつけね)、脊椎(せぼね)、肋骨、橈骨(とうこつ)遠位端(手首)、大腿骨近位部(足のつけね)です。特に大腿骨近位部を骨折すると、歩行困難により要介護となってしまう場合もしばしばあります。40代以降は検査によって骨の状態を知り、普段の生活習慣の見直しが必要となる場合もあります。

骨密度が高く丈夫な骨/骨密度が低く内部がスカスカ状態の骨 脊椎/橈骨/上腕骨/肋骨/大腿骨
疾患・治療にともなう続発性骨粗しょう症

閉経や加齢による原発性骨粗しょう症や左記のような疾患・治療にともなう続発性骨粗しょう症になって骨量の減少や劣化が進行すると、微細な骨構造が崩れ、骨の強度が低下します。骨粗しょう症が原因で腰や背中が痛んだり、日常生活のなかで骨折を起こしたりすると、ADL(日常生活動作)が妨げられ、QOL(生活の質)が低下し、寝たきりになることもあります。こうして、「健康寿命」が短縮されてしまうのです。

骨粗しょう症を予防する食事とは

骨をつくる栄養素を知りましょう。

骨はコラーゲンからなる骨基質に、カルシウムとリン酸の結晶(ミネラル)が沈着して形成されます。カルシウムを支えるコラーゲン線維が不足がちになると骨の構造が弱くなり、骨折しやすくなります。このコラーゲンの生成を助けるのがビタミンCです。また、腸からカルシウムが摂取されるためには、ビタミンDが必要です。ビタミンDは日光を浴びることで体内で産生できるという特徴があります。

女性は要注意

女性の場合、閉経後に骨密度が急激に低下します。それを防ぐには、若いころからカルシウムやカルシウムの吸収を助けるビタミンD、骨の健康に重要なビタミンK、カルシウムの吸収を助ける女性ホルモンと同じような働きを持つ大豆イソフラボンといった栄養素を、しっかりと摂ることが必要です。

骨を刺激する運動とは

運動で予防する

高齢者でも、運動習慣のある人の骨密度が高いことから、骨を丈夫にするためには若いころからの運動が重要です。運動で筋肉を鍛えると、骨の細胞が刺激されて骨が強く丈夫になります。さらに適度な運動によって、骨において効率よくカルシウムが利用されることが知られています。

ウォーキング(パワーウォーキング、山登り、水中ウォーキング、散歩など)やジョギング、筋トレ、ストレッチなど無理なく継続できる運動を日常習慣に取り入れることは、骨を刺激し、骨を強くすることにもつながります。

ウォーキング/ジョギング

骨粗しょう症予防の食事

骨粗しょう症を予防するために必ず1日200ccの牛乳を飲む、チーズやヨーグルトなどの乳製品を食べるようにする他、小魚やカルシウム含有量の多い野菜も意識して摂るようにしましょう。また、せっかく摂取した栄養素を破壊する喫煙や過度な飲酒、コーヒーの多量摂取は控えましょう。

骨粗しょう症を予防する栄養素と主な食材

カルシウム

牛乳、わかさぎ、水菜、菜の花、モロヘイヤ、大豆製品、ひじき

ビタミンD

さけ、さんま、うなぎ、きくらげ

マグネシウム

大豆、納豆、ひじき、わかめ、玄米、アーモンド、カシューナッツ

ビタミンC

赤ピーマン、菜の花、ブロッコリー、柿、キウイ、イチゴ

ビタミンK

納豆

カルシウムたっぷりの食材を美味しくいただきましょう。

カルシウムを多く含む食材の味を活かした料理をご紹介します。
作り方は写真をクリックしてレシピページをご覧ください。

カルシウム300mgのレシピ
カルシウム200mgのレシピ
カルシウム100mgのレシピ

ロコチェック&ロコトレ

骨粗しょう症は、「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」を構成する疾患のひとつです。ロコモという言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。これは、「運動器症候群」とも呼ばれます。身体を支え、動かす役割をする器官を「運動器」といいます。運動器には、筋肉・関節・靱帯・脊椎・腱・骨・軟骨・末梢神経・椎間板などが含まれます。運動不足や加齢、様々な疾患により、このいずれかもしくは複数の機能が低下したり、異常が生じたりすると、体力・バランス能力・移動能力が低下し、立つ動作や歩行、日常生活に影響します。このような状態をロコモと言います。

ロコモの症状

ロコモに結びつく症状って?

ロコモに結びつく疾患としては、骨格を動かす筋肉の量や力が低下するサルコペニア、関節の軟骨がすり減って痛みが生じる変形性膝関節症、脊椎の圧迫骨折や大腿骨近位部骨折の原因となる骨粗しょう症、腰部脊柱管狭窄症、関節リウマチなどがあげられます。

ロコモの症状

ロコチェック

ロコモの確認法

介護を必要とする人が、ここ10年程度で倍ほどに増えています。要支援・要介護の原因の20%以上が骨折や転倒、関節疾患といった、運動器の障害にともなうものです。特に骨粗しょう症のために骨折を起こすと長期の安静が必要となり、運動能力や移動能力は著しく低下してしまい、寝たきりの原因になります。ロコモ予備軍は20代から、ロコモ自体も40代からはじまるという説も……。そこで若いうちからロコモを予防するように心がけましょう。中でも運動習慣や食生活が影響する骨粗しょう症の予防はとても重要です。

7つの項目をチェックしてみましょう

  • 家の中でつまずいたり滑ったりする
  • 階段を昇るのに手すりが必要である
  • 15分くらい続けて歩くことができない
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない
  • 片脚立ちで靴下がはけない
  • 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
  • 家のやや重い仕事が困難である

    (掃除機の使用・布団の上げ下ろしなど)

ひとつでも当てはまればロコモ改善を、当てはまらなくてもロコモ予防のために、今日から下の「ロコトレ」をはじめましょう! 状態に不安があれば、早めに医師の診断を仰いでください。要介護や寝たきりになる前に、できることがいろいろあるはずです。

ロコトレ

ロコモの改善・予防法は?

足腰をきたえる簡単な「ロコトレ」を、毎日続けましょう。

Training 1 片足立ち

まず、テーブルなどの手がつける物を補助にして、片脚立ち。床につかない程度に片脚を上げて1分程度キープ、これを左右交互に1日3回ずつ、行いましょう。

片足立ち 図

ポイント

  • 姿勢をまっすぐにして 行うようにしましょう。
  • 支えが必要な人は、十分注意して、机に手や指をついて行います。
    Training 2 スクワット

    次に、肩幅より少々広めに足を広げ、膝を90°に曲げて戻すスクワット。膝がつま先よりも前に出ないように、お尻を後ろに突き出すようにしながら、腰を落とします。5〜6回を1日3回ずつ、安全のためにイスやソファの前で行いましょう。

    スクワット 図

    ポイント

    • 動作の最中は息を止めないようにします。
    • 膝に負担がかかり過ぎないように、膝は90度以上曲げないようにしましょう。
    • 太ももの前や後ろの筋肉にしっかり力が入っているか、意識しながらゆっくり行いましょう。
    • 支えが必要な人は、十分注意して、机に手をついて行います。

      出典:ロコモ チャレンジ!推進協議会WEBサイト

      ラジオ体操やストレッチ、ウォーキングや水泳、筋トレなどさまざまな運動の機会を持ちましょう。

      骨粗しょう症・ロコモティブシンドローム監修 東京大学大学院医学系研究科 外科学専攻 感覚・運動機能医学講座 整形外科学 教授 田中 栄

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