名称 | あわび |
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都道府県名 | 三重県 |
区分 | 魚介類 |
分類 | ミミガイ科アワビ属 |
学名 | クロアワビ…Haliotis discus メガイアワビ…Haliotis gigantea マダカアワビ…Haliotis madaka |
外国語名 | クロアワビ…Japanese abalone, Japanese carshell(英) メガイアワビ…Disk abalone(英) マダカアワビ…Giant abalone(英) |
生産地 | 鳥羽・志摩地域から紀州地区まで、広範囲で水揚げされている。 |
収獲地域情報 | 鳥羽・志摩地方を中心にリアス式海岸が発達し、岩礁域が広がっていて、古来よりあわびが多く生息する絶好の漁場であった。特に伊勢湾には川からもたらされる山の養分を豊富に含んだ水が流れ込み、そこへ温暖な黒潮が絶妙に交じり合い、栄養素豊かな海が作り出されている。さらに志摩半島の海域は比較的水深が浅く、黒潮の透明度も手伝って、太陽の光が海底まで差し込んでいる。その影響でコンブ科のアラメやカジメなどの海藻類がよく育ち、それらをエサにしているあわびにとっては最高の生育環境となっている。伊勢志摩地域が“あわび王国”と称される由縁である。この豊かな海の力によって、肉厚で、濃厚な旨味を持つ三重県産のあわびができあがっている。 |
栽培情報 | 海女の手によって捕獲されている。他県では“海士”と呼ばれる男性があわび漁を行うことが多いが、三重県内では女性の海女がほとんどである。資源保護のため、酸素ボンベなどは使わず、素潜りで漁を行っている。また、小さいあわびは穫らないようにしている。環境に配慮して、11cm以下のものは逃がす。相差漁港のように毎年夏に20000匹の稚貝を放流し、資源の維持に努めている地区もある。さらに三重県では、三重県漁業調整規則により、9月15日~12月31日までの間、産卵期の保護を目的として禁漁となっているが、県内の多くの漁協では、操業期間や1日の操業時間をさらに厳しく制限、中には国崎漁港のように、5月初旬~9月14日までという短い期間が漁期となっている地区もある。こうした自然との共生を生かした取り組みが評価され、あわびは“自然を生かす技術”をコア・コンセプトにした“三重ブランド”の認定品となっている。 |
歴史背景 | 神話の時代、天照大御神を伊勢へと導いた皇女・倭姫命は、鳥羽で食したあわびの美味しさに感動し、伊勢神宮への献上を願ったという言い伝えが残されている。こうした伝説が残るほど、この地とあわびとの結びつきの歴史は古いものがある。この鳥羽・志摩地方の漁場では、2000年以上前からあわびの海女漁が行われてきたという記録が残っており、国崎で穫れたあわびは2000年前から伊勢神宮に献上され続けている。そのため、志摩半島は日本の海女漁発祥の地と言われている。なお、このあわびは平成13年に三重ブランドの認定品の認定第1号となった。三重ブランドとは、三重県内の豊かな自然と伝統など、地域の特性を活かした生産物の中から、特に優れた県産品と生産者を認定する制度である。 |
時期 | 7~9月 |
特徴 | 軟体動物門腹足網ミミガイ科に属する巻き貝のうち、特に食用になる大型種の総称があわびである。県内で穫れる代表的なあわびは“クロアワビ”と“メガイアワビ”と“マダカアワビ”の3種類が水揚げされている。そのうち、クロアワビは通称“クロ”と呼ばれ、殻長は20cm前後。巻き貝だが、巻いた部分がなく、1枚の貝殻になっているのが、外見的な特徴である。クロアワビは最高級品で、いちばん美味しいとされ、刺身で食べるのに最適で、高値で取引されている。メガイアワビは通称“シロ”と呼ばれる一番多く穫れるあわび。殻長20cm前後で、貝殻には赤味がある。円形で丸みが強いのが外見の特徴である。生で食べても旨味はあるが、やや柔らかい。熱を通してもあまり硬くならないため、蒸し物や煮物に向いている。マダカアワビは殻長25cmを越える大きさで、あわびの中で最大種である。貝殻は高く膨らみ、上から見ると丸みが強い。生で食べるよりも熱を通したほうが美味である。三重県内で穫れるあわびはいずれも肉厚で大きいのが特徴で、その身はコリコリと引き締まっていて、指で触れると心地よく押し返すほどの弾力がある。ほどよい磯の香りがあり、旨味も濃厚である。 |
下処理 | 身の部分に塩を振り、軽くこすったのちに水洗い。貝殻と身の間にスプーンなどを差し込み、削ぐようにして貝殻から貝柱を剥がす。おおかた外れたら、手で身をはがすが、このときわたの部分=黒い袋状のものを破らないように注意。貝殻と身が外れたら、わたの部分を外し、同時に貝ひもを外す。最後にくちばし=赤い部分と足の部分=身のふちに1周ぐるっとついているヒダヒダ状のものを包丁で切り落とす。あわびを殻から外すときは殻で手を切らないように軍手をはめて作業するのがよい。 |
料理名 | 刺身、水貝、煮貝、酒蒸し、ワイン蒸し、ステーキ、バター焼きなど。 |
調理法 | そのコリコリとして引き締まった白い身と磯の旨味が凝縮しているかのような独特の風味を楽しむには刺身で食べるのが一番のおすすめ。冷たい昆布だしに入れて水貝にしても美味しい。つのわたの部分も捨てないこと。こってりとした味が楽しめる。また網に乗せ、炭火で豪快に焼き上げるのもよい。潮の香りの中から溢れ出すほどよい甘味とジューシーな旨味を堪能することができる。煮る場合は、醤油、料理酒、みりんなどでじっくりと煮込むこと。その際、必ず鍋止めをすること。干しあわびにしても絶品。 |
選び方 | 殻の部分に大きな傷がないもの。生きているもの。身に厚みがあり、ふっくらとしているもの。あわびの殻のふちの部分を軽く触ったときに身がよく動き、反応がよいもの。 |
保存方法 | 新鮮なうちに消費したほうがよいが、すぐに調理しない場合は、水に塩を溶かし海水と同じ濃度の塩水を作る(水330ccなら、塩は大さじ1杯)。布巾か新聞紙にたっぷりとその塩水を染み込ませ、あわびを包み、貝殻のほうを上にして容器などに入れる。フタはせずに風通しのよい冷暗所に置いておくこと。冷蔵庫は冷たすぎるので避けたほうがよい。 |
栄養 | ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、銅、亜鉛、アルギニン、タウリン、グルタミン酸、グリコーゲン、パントテン酸、コラーゲン、コンドロイチンなどさまざまな栄養素が含まれていて、とても栄養価が高い。 |
問い合わせ先 | 三重県農林水産部フードイノベーション課 TEL:059-224-2391 |
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