
ご利用いただいている皆さまには突然のお知らせとなりますが、ご了承のほどよろしくお願いいたします。
詳細については、こちらのページをご覧ください。
1人分 76kcal 食塩相当量 0.0g
旬の和梨が主役、
目と舌で味わう満足感。
和梨、蓮根、豆腐……
繊細な風味を重ね合わせる。
手軽にできておいしく、アレンジもしやすい豆腐クリームは、果物や青菜と相性がよく、覚えておくと便利な一品です。今回は旬の和梨を白和えに。スティック状に切り揃えることで、自然な甘み、旨みに加え食感も豊かになり、砂糖を使用せずとも、ごく少量の塩で味が調います。さいの目に切った蓮根やえのき茸で、歯応えのリズムもプラス。葉っぱの上を伝う秋の白露に見立てて、盛り付けます。
豆腐クリームは、水切りした豆腐をミキサーで撹拌して作ります。水切りは、重しを使うのが基本ですが、電子レンジを使用すると短時間で簡単にできます。ミキサーで撹拌すると、豆腐の中の旨みが引き出され、塩や砂糖をあまり使わなくとも、十分においしくなる。硬さは、へらで掬ったときにポタ、ポタと落ちる程度が目安。回したては、空気を含んでいるのでより滑らかでクリーミーに感じますが、時間が経つと空気が抜けて凝縮感が出ます。
具材は、和梨のほかに、蓮根、えのき茸を使います。蓮根、えのき茸は下ゆでしますが、その際、すだちを使うと、和の柑橘のほのかな香りが風味をより豊かにします。蓮根はさいの目に切ります。えのき茸は、先の細い部分をスティック状の和梨の長さに合わせて、根元の部分は、蓮根のさいの目に合わせてほぐす。具材の大きさ、形状を揃えることで、見た目も美しく、食感もよく仕上がります。
下ごしらえが済んだら、すべての材料を冷蔵庫で冷やしてから和えます。そうすることで、余分な水分が出るのを防ぐことができ、味も締まります。
使用する豆腐によって、できあがる豆腐クリームの塩気や滑らかさが微妙に違ってきます。硬いと感じたら豆乳を加えて滑らかに。味が物足りなければ塩をほんの少し加えると、旨みがぐっと増します。和梨を大き目に切ると、同じ分量で作っても甘みを感じやすくなります。豆腐クリームは春菊とも好相性。コクが欲しければ、ほんの少しオリーブオイルを加えてアレンジしてもよし、温めた豆乳に加えて鍋仕立てにすることもできます。
ヘルシーレシピというと「たくさん食べても低カロリー」というイメージが浮かびますが、目で舌で季節を味わい、心が満たされれば、少量の食事でも満足できる、という考え方もあります。和食は風情も味のうち。季節ごとに、そんな料理をご紹介できたらと思います。
絹ごし豆腐を水切りする。キッチンペーパーに包んで電子レンジ(500W)で5分加熱し、水気を切って冷やしておく。
(1)をフードプロセッサーで回して、クリーム状にする。硬いようなら豆乳を加えて調整し、味をみて必要であれば塩を極少量加える。
へらで掬ったときに、先からポタ、ポタと落ちる程度の硬さが目安。
えのき茸は長さ1cmに切っておく。蓮根は皮を剥いて角切りにし、別に飾り用の薄切りを4枚(人数分)用意する。鍋に湯を沸かして塩をひとつまみ入れ、蓮根の薄切りからゆで、透き通ったら鍋から上げてすだちを搾って色止めする。残ったすだちの果汁を鍋に入れ、角切りにした蓮根に火がとおってきたら、えのき茸を入れさっとゆで、ざるに上げて水気を切る。和梨は皮を剥いて千切りにする。一度、冷蔵庫で冷やす。
和梨、野菜は大きさを揃えて切ると、見た目、食感ともによく仕上がる。
ボウルに(3)と(2)をお好みで入れ和え、器に盛り付ける。
幸水は和梨の中でももっともポピュラーな品種。栽培量は、全ての和梨の4割に及びます。8月後半から9月にかけてが旬で、手に入りやすいので、料理にもどんどん活用して下さい。軸がしっかりと付いていて、果実に張りがあるのが鮮度の証。果肉はやや柔らかめで、ジューシーで甘みを感じやすいのが特徴です。そのまま味わうだけでなく、料理でも活躍してくれます。今回紹介した白和えのほか、春菊などの青菜とシンプルなサラダにしてもおいしい。さっぱりと瑞々しい甘みが、秋の訪れを感じさせてくれます。
1969年、大分県生まれ。京都『たん熊 北店』、福岡『浄水茶寮』(現閉店)勤務を経て、赤坂『BASSIN』料理長就任。2006年、東京・銀座のレストラン型アンテナショップ『坐來大分』の店長兼料理長に就任。大分県内の生産者と連携し、かぼす、椎茸、豊後牛、関あじ、関さばなど優れた食材の普及に尽力し、現在も顧問を務める。2011年農林水産省「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞。2014年、『八雲茶寮』料理長に就任。日本の風土が育んだ食材や郷土料理など、古来からの知恵を活かした料理を身上とする。
カード│使用可