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1人分 99kcal 食塩相当量 0.4g
くず粉でさらっと仕上げる
旬の鱈を使ったバスク伝統の味。
魚介だしの代わりに昆布水で
旨みに深さ、奥行をプラス。
「スペイン料理をご家庭で」となると、ハードルが高く感じる方もいらっしゃると思います。でも、新鮮な魚介や野菜の味をいかした料理は、実は日本人の舌に合うものが多い。フレンチやイタリアンに比べると馴染みが薄いかもしれませんが、まずは簡単な煮込み系の料理からトライしてみましょう。
今日ご紹介するのはたらを使った一品です。日本の食卓では寄せ鍋の具材としてもお馴染み、今から冬にかけて旬の食材ですよね。たらとあさり、イタリアンパセリを使った軽い煮込みは、バスク地方で愛される伝統料理。家庭でも親しまれている料理なので、レシピ通りに作れば失敗はありません。
まずはオリーブオイルでにんにくを炒めて香りを立て、たまねぎを透明になるまで炒めます。辛みが飛んでから、甘みがぐっと出るまでの、ちょうど中間。辛さも甘さも主張しすぎない塩梅が目安です。
塩抜きをしたあさりと白ワインを加え、火が通ったらたらを加えます。このとき、レストランでは魚介だしを使いますが、ご家庭ならば昆布水で代用して下さい。たらとあさりからだしが出るので、旨みは十分にありますが、この昆布水をちょっと加えることで、味わいがぐっと深まります。昆布水は、昆布を水に1時間も浸しておけば十分。「和フレーバー」を付けるのではなく、旨みに深さ、奥行きを出すのが目的ですから。
たらの切り身に火が入ったら、煮汁にとろみを付けていきます。本家バスクの伝統的なレシピでは、小麦粉を加えるのですが、今回はくず粉を水に溶いたものを使います。小麦粉よりさらっと仕上がって、食べたときに重くない。これは、店の料理にもたまに使う裏技です。
仕上げにパセリをかけることから、現地では「サルサヴェルデ(緑のソース)」と呼ばれる料理。鍋ひとつでできるシンプルレシピで、くず粉で軽やかに、あさりの塩分だけで味付けするので、塩も不使用とヘルシー。仕上げに香りのいいオリーブオイルをひと回しすれば、シンプルなのにリッチな味に仕上がります。
鍋にオリーブ油をひいてにんにくを炒める。香りが立ったらたまねぎを加え、透明になるまで炒める。
(1)に砂抜きしたあさりと白ワインを加えて蓋をし、殻が開くまであさりに火を通す。
(2)に昆布水を加えて一度煮立たせ、たらを加えて火を通す。
レストランでは魚介だしを使うが、昆布水で代用。手軽で、かつ旨みが深まる。
(3)にくず粉を溶いた水を加え、とろみを付け、パセリのみじん切りとオリーブ油(分量外)を回しかける。
現地では小麦粉を使って濃厚に仕上げるが、くず粉でとろみを付け、軽やかに仕上げる。
魚偏に雪で「鱈(たら)」と書く字の通り冬が旬。生息地も北関東以北の太平洋沿岸、日本海など寒い海で、12~1月にかけ産卵のため水深の浅い沿岸部に移動。脂が乗っておいしくなるのもこの時期です。「菊子」「タチ」などと呼ばれる白子(精巣)も濃厚な食感で、冬場の高級食材として有名。身の部分に関しては、魚の中でも特に脂質が少ない、ヘルシー食材の代表格。切り身の状態で売られていて、手に入れやすい。消化もいいので子供から高齢者まで食べやすいのも魅力です。
1981年、埼玉県生まれ。2002年、渋谷のスペイン料理店『サン・イシドロ』(現閉店)に入店。スペイン研修を経験しながら8年勤め、内2年はシェフを務める。同店の移転を機に退店。牛込神楽坂のスペインバル『バル・マコ』を1年手伝い、2012年6月、代々木八幡に『アルドアック』を開業。2021年8月より鎌倉への移転に伴い、店名を改めて『アンチョア』としてオープン。伝統料理をベースとしたスペイン各地の料理を上質なワインと併せて提供する。