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1人分 220kcal 食塩相当量 0.7g
たまねぎは炒めすぎず
食感も活かしてさっぱり味に。
山の幸と海の幸を1皿に
ナッツのコクが味の決め手。
スペインは山の素材と海の素材、つまり肉と魚介を一緒に使う料理が数多くあります。今日の鶏肉とえびのトマト煮込みもその一例。ナッツを料理に多用するのもスペインの味づくりの特徴。今回のソースも、ナッツが味の決め手です。
一般的にはアーモンドを使いますが、ご家庭ならばスーパーなどで手に入るミックスナッツで構いません。包丁の腹などで細かく砕いて、えびから外した頭と一緒にオリーブ油で炒め、ソースのベースを作ります。えびの殻が焼けた香りが立ち、ナッツが茶色く色付いてきたら、野菜を加えて炒め、トマト缶とスパイス類を加えて煮込む。簡単ですが、非常に複雑な味わいのソースが約10分で完成です。
このソースで鶏とえびを煮込んで行きます。鶏は煮込む前に、皮側にしっかりとした焼き目を付け、香ばしさをまとわせるのがおいしさの鍵。浅い鍋にソースを入れ、皮側が浸らないようにして煮込むと、さらに香ばしい仕上がりになります。えびも軽く焼いてからソースに加える。生のまま加えるより、ぐっと味に凝縮感が出て香りも深まります。
剥き身でも作れますが、えびは頭や殻からいいだしが取れるので、できれば殻付きの有頭えびを使って下さい。剥き身で作ったものと食べ比べれば、味の違いは一目瞭然です。最初にえびの頭をナッツと炒めるときに、頭を叩いて味噌を出すと、トマトソースの赤色は多少悪くなりますが、旨みはとびきり濃厚になります。
この料理が親しまれるのは、カタルーニャ地方。たまねぎをしっかり飴色になるまで炒め、甘みを最大限に引き出すのが伝統的なレシピです。飴色たまねぎが生むどっしりとした味はおいしいものの、少々重く感じることがあるので、たまねぎ、にんじんなどの野菜に火を通し過ぎず、ソースに食感を残しておくと、さっぱり仕上がり、野菜そのものの甘みと香りが活きてきます。
仕上げに加えるえびは、背側に包丁で切り込みを入れておくと、ナイフとフォークできれいに食べられます。最後にえびと相性のいいカカオを少々。なければ市販のハイカカオチョコレートなどでOK。さらに味が深まります。
えびは頭を取り、背ワタを取り除いておく。フライパンにオリーブ油を薄くひき、砕いたナッツとえびの頭を加え、香りが立つまで炒める。
えびの頭とナッツを極少量の油でローストするように炒めることで、えびの旨みとナッツのコクがソースのベースに。
(1)ににんにく、たまねぎ、にんじんを加えて茶色くなる手前まで炒め、トマト缶、すりおろしたレモンの皮、ローリエ、シナモンを加えて沸かし、中火で5〜10分煮込む。
鶏もも肉の表面に薄く塩を振り、オリーブ油を薄くひいたフライパンで皮側から焼く。しっかり焼き色が付いたら、身の側はさっと火を入れ、(2)の鍋に皮側を上にして入れ、白ワインを加えて約10分煮込む。
皮側をしっかり焼くことで、香ばしさとパリッとした食感が出る。
(3)にフライパンでさっと焼いたえびとカカオを加え、ひと煮立ちさせて完成。
えびを軽く焼くことで、えびの風味と香りがいっそう立つ。
日本ではナッツというと、お酒のつまみやお菓子の材料というイメージが強いかもしれませんが、スペインでは立派な料理の素材。アーモンドや松の実、にんにくで作るロメスコソースは非常にポピュラーで、国内のスペイン料理店でも親しまれています。カロリーが高いと敬遠されがちですが、実は栄養価がとても高い。とりわけ注目したいのが、アーモンド。7割が脂質というクルミや糖質が高いカシューナッツに比べ、カロリー控えめ。ビタミンE含有量はかぼちゃの5倍、食物繊維はキャベツの5倍というヘルシー食材です。料理に取り入れれば、おつまみのように食べ過ぎることなく、適量を摂取しやすいのもいいですね。
1981年、埼玉県生まれ。2002年、渋谷のスペイン料理店『サン・イシドロ』(現閉店)に入店。スペイン研修を経験しながら8年勤め、内2年はシェフを務める。同店の移転を機に退店。牛込神楽坂のスペインバル『バル・マコ』を1年手伝い、2012年6月、代々木八幡に『アルドアック』を開業。2021年8月より鎌倉への移転に伴い、店名を改めて『アンチョア』としてオープン。伝統料理をベースとしたスペイン各地の料理を上質なワインと併せて提供する。