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1人分 76kcal 食塩相当量 1.3g
はまぐりのヘルシーな酒蒸しに
青菜のお浸しを添えて。
酒蒸しの地の三段活用
無駄なく春らしい白酒あんに。
春は貝がおいしい季節。ちらし寿司にはまぐりのお吸い物は、ご家庭でもなじみがあるひな祭りのご馳走です。桃の節句は過ぎてしまいましたが、まだまだ、はまぐりは旬。春らしさを演出して白酒のあんで仕上げるヘルシーな酒蒸しをご紹介しましょう。
味のベースは、昆布だしと酒、薄口しょう油で作る酒蒸しの地です。この地でまずはまぐりを蒸して、次に残った「地」の半分であんを作り、さらにその半分を野菜のお浸しにと「三段活用」します。酒蒸しをした地には、はまぐりのだしも染み出ています。旨みたっぷりなだしを、余すところなく使い切ります。
はまぐりはできるだけ大きいものを選び、あらかじめ、砂抜きをしておくこと。野菜は下ゆでをして色止めし、トマトを湯剥きするのも、和食の基本です。水菜や黄ニラは、ゆでるときに根元を糸で縛っておくと、あとで同じ長さに切りそろえるときに便利。ひとつひとつを丁寧に行えば、あとは酒蒸しの地が、おいしい味に仕上げてくれます。
はまぐりを酒蒸しにするときは、湯剥きしたプチトマトを半量加えると、旨みがさらにパワーアップ。火を通し過ぎると身がたちまち固くなるので、貝殻が開いたらすぐにフライパンから上げるよう注意しましょう。貝殻は器として使うので捨てずに取っておきます。身は小さく切ると食べやすく、白酒のあんもよく絡みます。あまり神経質にならなくて大丈夫ですが、管やエラの部分は雑味、臭みがでるので取り除きましょう。せっかく大きくて上等なはまぐりを使っているのだから、おいしく頂きたいですものね。やや固いピンクの部分に包丁で切り込みを入れておくと、食感が格段にアップします。
青菜はお好みのもので構いませんが、私は黄ニラが柔らかい今の時期、よく水菜と一緒にお浸しにします。水菜のシャキシャキ食感と黄ニラの香りがひとつになり、とてもおいしいんです。シンプルに酒蒸しとお浸しだけでも十分ですが、白酒のあんかけにすることで、見た目にも春らしく仕上がる。目で味わうおいしさも、和食の醍醐味です。
野菜を下ゆでする。水菜、黄ニラは揃えて、根元をタコ糸で縛り、さっとゆでて氷水で色止めし、水気を切る。トマトは湯剥きをし、1/2に切っておく。
酒蒸しの地(昆布だしは昆布ごと)と砂抜きしたはまぐりをフライパンに入れて強火にかけ、湯気が立ったらプチトマトを加える。沸騰したら火を中火にして、アクが出たら取りながら火を入れ、はまぐりの貝殻がひらいたらバットに上げる。
プチトマトを半量加えることで、昆布だしのグルタミン酸、はまぐりのコハク酸にトマトのだしも加わり、旨みがより増す。
(2)の酒蒸しの地のうちの140ccを取り、残りはバットに並べた水菜、黄ニラにかけてお浸しにする。
酒蒸しの地は、半分を白酒あん(4)に、残りをお浸しに使い、余すところなく使い切る。
(3)の140ccの酒蒸しの地をフライパンに戻し、甘酒を加えて水溶き片栗粉でとろみを付ける。
はまぐりを殻から外して角のように見える管の部分、エラを取り除き、貝柱、ひもをそれぞれ食べやすい大きさに切り、(4)の白酒あんに入れて余熱で軽く火を入れる。
ピンクの部分はやや硬いので、包丁の先で切り込みを入れる。
器に水菜、黄ニラのお浸しを揃えて食べやすい大きさに切り、盛り付けプチトマトを添える。その上に貝殻に盛り付けた(5)を載せて、すだちを絞って完成。
はまぐりの旬は2〜4月頃。5月から始まる産卵期にそなえ、身にたっぷりと栄養分をたくわえている時期で、旨みも抜群です。二枚の貝がぴったりと合わさることから「良縁」の縁起物としても知られます。古くは結婚式で供されるお吸い物に、そして女の子が良縁に恵まれますようにとひな祭りにも楽しまれます。鉄を多く含んでいて、ほかにもタウリン、亜鉛などのミネラルも豊富と栄養価の高い食材です。野菜などからは取れないビタミンB12も豊富。酒蒸しで、お吸い物でと、旬の時期にたっぷり味わって下さい。
1969年、大分県生まれ。京都『たん熊 北店』、福岡『浄水茶寮』(現閉店)勤務を経て、赤坂『BASSIN』料理長就任。2006年、東京・銀座のレストラン型アンテナショップ『坐來大分』の店長兼料理長に就任。大分県内の生産者と連携し、かぼす、椎茸、豊後牛、関あじ、関さばなど優れた食材の普及に尽力し、現在も顧問を務める。2011年農林水産省「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞。2014年、『八雲茶寮』料理長に就任。日本の風土が育んだ食材や郷土料理など、古来からの知恵を活かした料理を身上とする。
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