
ご利用いただいている皆さまには突然のお知らせとなりますが、ご了承のほどよろしくお願いいたします。
詳細については、こちらのページをご覧ください。
1人分 202kcal 食塩相当量 1.5g
パプリカの色みも鮮やか
旬の野菜を味わう一品。
野菜の旨みをたっぷり含んだ
最高のだしが味のベース。
新鮮な夏野菜がおいしく、安く手に入る今の時期。ぜひとも作りたい焼き野菜のマリネをご紹介します。野菜が食べきれないほどたくさん穫れる季節の保存食として、ヨーロッパで広く親しまれている料理。スペインのカタルーニャ地方ではエスカリバーダと呼ばれ、パプリカやなすで作るのがポピュラーです。
日本の焼きなす同様、野菜を真っ黒になるまで焼いて、焦げた皮をむいて実をマリネにします。直火で炙って焼く方法もありますが、私はこのマリネを作る際は断然、オーブン派。理由は3つあります。
第一に、オーブンで焼いたほうが、じっくり火が通り、より実がトロトロになる。第二に、直火で焼くと香ばしい香りが付くのですが、この料理にその香りは要らないと考えるからです。第三に、焼き上がりにアルミホイルを被せて蒸らすことで、野菜から水分が出るのですが、この水分が野菜の旨みをたっぷりと含んだ最高のだしになるのです。直火で炙ったのでは、このだしは得られません。
スペインでは“涙”と呼ばれるこのだしをベースに、シェリービネガーやオリーブ油を合わせてドレッシングを作ります。
まだ熱いうちに野菜の皮をむいてパプリカの種を取り除いたり、サイズをそろえて細切りにしたりと、手間はかかりますが、難しい工程は一切なし。アルミホイルを被せて蒸す工程を経ることで、皮も少しむきやすくなるので、一石二鳥です。細切りにした野菜をバットに戻したら、シェリービネガーやオリーブ油などの調味料を加えて馴染ませるだけ。できるだけ新鮮で、味の濃い野菜を用意すれば、あとはじっくり焼くことで引き出された甘みとトロトロの食感が味を作る。火と時間がおいしくしてくれる、シンプルな料理です。余分なロースト香がなく、野菜の甘みとドレッシングの酸味が生きたさっぱり味で、暑さに食欲が減退する季節でも、すいすいと食べられる。冷蔵で一週間ほど保存が可能なので、野菜が安いときにまとめ買いして、あるいは週末など時間があるときにたっぷりと作っておくと、毎日の食卓の「もう一品」としても、大助かりです。
オーブンは220°Cに温めておく。パプリカ、なすは洗って表面についた水けをキッチンペーパーでとる。そのまま、ときどき上下を返しながら220°Cのオーブンで30分焼く。
オーブンで焼くことで、余分な香りが付かず、直火よりトロトロに仕上がる。
焼き上がりにアルミホイルをかぶせて、30分蒸らす。
蒸らすことで野菜から水分が出る。この水分をドレッシングの材料として使う。
(2)のパプリカは種を取り除き、なすの皮はむいてヘタを取り、細切りにする。
細切りにした野菜をバットに並べ、シェリービネガー、塩、オリーブ油、薄切りにしたにんにくを加えてなじませる。
パプリカはピーマンと同じくナス科トウガラシ属の果菜。露地ものは6〜9月の夏の時期が旬。ピーマンのような青臭さや苦みがなく、肉厚で、火を通すと甘みが出るのが特徴です。オレンジや黄色、赤色のものがありますが、緑黄色野菜の栄養価を豊富に含んでいて、特にビタミンCの含有量はピーマンの倍以上。買うときの注意は、色が均一でシワなどがなく、張りがあるものを選んで。生で食べればみずみずしく、火を通すととろりと甘く、彩りも美しい。いろんな料理に活用して下さい。
1981年、埼玉県生まれ。2002年、渋谷のスペイン料理店『サン・イシドロ』(現閉店)に入店。スペイン研修を経験しながら8年勤め、内2年はシェフを務める。同店の移転を機に退店。牛込神楽坂のスペインバル『バル・マコ』を1年手伝い、2012年6月、代々木八幡に『アルドアック』を開業。2021年8月より鎌倉への移転に伴い、店名を改めて『アンチョア』としてオープン。伝統料理をベースとしたスペイン各地の料理を上質なワインと併せて提供する。