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1人分 137kcal 食塩相当量 1.4g
クタクタになるまで煮込んで
ほうれん草の甘みを引き出す。
旬のほうれん草とひよこ豆の
ヘルシーで食べ応えのある一皿。
スーパーなどには1年中並んでいる、ほうれん草ですが、旬は11〜1月の冬の間。葉が厚く、色みも濃く、風味も増します。今回は旬のほうれん草とひよこ豆を使った、ヘルシーで食べ応えもあるアンダルシア地方の煮込み料理をご紹介します。
まず下準備として、乾燥ひよこ豆を水に浸して戻しておきます。水煮の缶詰なども売っていますが、この料理は豆から出るだしが味の土台になるので、乾燥ひよこ豆を使っていただいたほうがベターです。
作り方はとても簡単です。オリーブ油でにんにくを炒めて香りを立て、ほうれん草を加え、しんなりするまで炒めます。そこにひよこ豆を戻し汁ごと加えて、蓋をしたらほうれん草がクタクタになるまで煮込みます。
和食には色止め(ゆでたほうれん草を氷水に浸して余熱での加熱を防ぐ)という仕事があるほど、鮮やかな緑色にこだわりますが、ヨーロッパ諸国では、緑色が抜けるまで煮込むことがよくあります。やや抵抗があるかもしれませんが、このクタクタ、トロトロのほうれん草は味わい深いものです。
煮込んでいる間に様子を見て、水分が足りなくなったら適宜水を加えて焦げ付かないようにします。蓋をしたほうが、水分の蒸発を防ぎながら、蒸し煮のように旨みを閉じ込められます。
しっかり火が通ったら、スパイスで風味付けをして、パンをオーブンでカリカリに焼いたクルトンを加えて塩で味を調えましょう。このクルトン、本場アンダルシアでは油で揚げたものを使いますが、オーブンで焼くことでカロリーを抑えます。
味の決め手は、パプリカパウダー。いろいろなメーカーのものが手に入りますが、できれば燻製のかかったものを使うと、ぐっとスペインの香りに近付きます。パプリカパウダーは、必ず最後に加えることも重要。長く加熱すると、苦みが出てしまうので注意です。
煮込みに使うパンは、食べ残しの固くなったものでも十分。ほうれん草が多めか、豆が主役か、割合は現地でも店によって異なります。まずは基本のレシピで試して、お気に入りの味を見つけて下さい。
ほうれん草は根の泥をよく落とすように水洗いして刻む(根元は栄養豊富なので捨てずに刻む)。ひよこ豆は水で戻しておく(少なくとも12時間)。パンは1cm角程度に切り、オリーブ油(大さじ1/2)を回しかけてオーブンで約10分間焼く(スプレーで吹きかけると使用量を抑えられる)。
鍋にオリーブ油(大さじ1/2)をひき、にんにくのみじん切りを炒めて香りを立て、刻んだほうれん草を加えて炒める。
(2)にひよこ豆を戻した水ごと加えて蓋をし、ほうれん草が煮崩れるくらいまで煮込む。
鮮やかな緑色が完全に抜けて、葉の部分が溶けるくらいまで煮込むことで、甘みが立ち、煮汁にもだしが出る。
(3)にクミンシード、白こしょう、パプリカパウダーと(1)のパンを加えて全体を合わせる。味見をし、塩で味を調える。
パプリカパウダーは長く加熱すると苦みが出て香りが飛んでしまうので、必ず仕上げに加える。
緑黄色野菜の中でも、栄養価が抜群に高いのがほうれん草。鉄、マグネシウム、マンガンや亜鉛などのミネラル類、ビタミンCなどを多く含み、貧血の予防に効果があるといわれています。根元の赤い部分にも、骨の形成に必要とされるマンガンが豊富に含まれているので、きれいに洗って土を落とし、ぜひ根元から使って下さい。旬の時期の露地栽培のものは、甘みや風味だけでなく、栄養価も高まります。ヘルシーでおいしいほうれん草を、旬のうちにたっぷりと味わいましょう。
1981年、埼玉県生まれ。2002年、渋谷のスペイン料理店『サン・イシドロ』(現閉店)に入店。スペイン研修を経験しながら8年勤め、内2年はシェフを務める。同店の移転を機に退店。牛込神楽坂のスペインバル『バル・マコ』を1年手伝い、2012年6月、代々木八幡に『アルドアック』を開業。2021年8月より鎌倉への移転に伴い、店名を改めて『アンチョア』としてオープン。伝統料理をベースとしたスペイン各地の料理を上質なワインと併せて提供する。