
ご利用いただいている皆さまには突然のお知らせとなりますが、ご了承のほどよろしくお願いいたします。
詳細については、こちらのページをご覧ください。
1人分 159kcal 食塩相当量 1.7g
旬のグリーンピースを使った
地中海沿岸地方の定番煮込み。
パンで煮汁にとろみを付けて
グリーンピースは仕上げ直前に。
イカをよく食べるスペインの地中海沿岸エリアで、イカと一緒によく使われる食材が、グリーンピース。軽い炒めものから煮込みまで、たくさんの料理があります。今回ご紹介するのは、イカとグリーンピースの煮込み。簡単ですが、スペイン料理ならではのポイントが詰まった一品ですので、ぜひ覚えて楽しんで下さい。
魚介や肉の煮込み料理に欠かせないのが、旨みのもととなる野菜です。この料理では、たまねぎとトマトを使います。スルメイカを軽く炒めたら、まずは薄切りにしたたまねぎを加えてしんなりするまで炒め、次にざく切りにしたトマトを加え、ソース状になるまで炒めます。煮込み料理は、ある意味、煮汁がごちそう。イカとたまねぎ、トマトの旨みを一体化させて味のベースをつくり、白ワインと水を加えて煮込んでいきます。
どこでも手に入る材料でつくる簡単煮込みを、スペイン料理の味にしてくれるのが、パンで作る“調味料”。
にんにくの香りを移したオリーブ油で香ばしいクルトンを作り、それをにんにくとパプリカパウダーと合わせながらつぶしてペースト状にする。スペインではこれを、煮込みのとろみ付けに非常によく使います。パプリカパウダーは、できれば燻製したものを使うと、味に深みが増します。先ほど「煮汁がごちそう」と言いましたが、とろみを付けることで、「汁まで食べられる」煮込みとなるわけです。
グリーンピースは、これからが旬。フレッシュのものが出回りますが、手に入らなかったり面倒だったりしたら、冷凍品を使っても構いません。イカが煮上がる直前に加えてさっと火を通し、あらかじめ用意しておいたパンのペーストでとろみを付けます。スペインでは、グリーンピースをクタクタになるまで煮込む人もいます。ここはお好みで。春先は鮮やかでフレッシュな黄緑色が生きる仕上がりのほうが、目でも季節感を楽しめる一皿に仕上がります。
スルメイカは皮を剥いてワタを取り、短冊切りにする(ゲソは一口大に切る)。たまねぎは薄切りに、トマトは大きめの角切りにする。
フライパンにオリーブ油(大さじ1)をひいて熱し、スルメイカを炒める。
(2)にたまねぎを加えてしんなりするまで炒める。トマトを加えてソース状になるまで炒め、白ワインを加えてアルコールを飛ばし、水、ローリエを加えて約20分煮込む。
白ワインのアルコール分を完全に飛ばしてから水を加えることで、白ワインの酸味と香りだけを楽しむことができる。
小鍋ににんにくとオリーブ油(大さじ1)を入れて香りを立て、にんにくを取り出して角切りにしたパンを入れて香ばしい焦げ目が付くまで焼く。焼いたパンと取り出したにんにく、パプリカパウダーをすり鉢でペースト状につぶす。
パンとにんにく、パプリカパウダーで、とろみ付けの調味料を作る。
(3)のスルメイカが煮上がる直前にグリーンピースを加えて軽く火を通し、(4)のペーストを加えてとろみを付ける。塩、こしょうで味を調える。
グリーンピースは冷凍や缶詰しか使ったことがないという人も多いかもしれませんが、旬の3〜6月頃はスーパーなどの棚にも並びます。和菓子などに使われるえんどう豆の未熟果で、さらに早採りしたものがさやえんどう。3つは、生長段階の異なる同じ豆なのです。グリーンピースは、栄養価の高い野菜です。でんぷんやタンパク質、カリウム、亜鉛、ビタミンB群などが豊富に含まれています。旬のフレッシュなものは、甘みや香りが違いますので、彩りではなく、主役になる料理でたっぷり摂りましょう。
1981年、埼玉県生まれ。2002年、渋谷のスペイン料理店『サン・イシドロ』(現閉店)に入店。スペイン研修を経験しながら8年勤め、内2年はシェフを務める。同店の移転を機に退店。牛込神楽坂のスペインバル『バル・マコ』を1年手伝い、2012年6月、代々木八幡に『アルドアック』を開業。2021年8月より鎌倉への移転に伴い、店名を改めて『アンチョア』としてオープン。伝統料理をベースとしたスペイン各地の料理を上質なワインと併せて提供する。