「おいしい」のコツ
「おいしい」のコツ
「炊く」とは液体の中で加熱すること。
日本料理の中で、もっとも出番が多い加熱方法です。
ごはんも言ってみればすべて「炊く」に当たります。
「炊く」は加熱方法であると同時に、味付け方法でもある。
表面は硬いのに、噛んだら中がグニャっと柔らかい、
反対に、外側が柔らかく芯に硬さが残っている、あるいは
中まで味が染みてない。そんな悩みを解決する、
均質に柔らかく、均質に味が付いた小芋の炊き方を紹介します。
「おいしい」のコツ
「炊く」とは液体の中で加熱すること。
日本料理の中で、もっとも出番が多い加熱方法です。
ごはんも言ってみればすべて「炊く」に当たります。
「炊く」は加熱方法であると同時に、味付け方法でもある。
表面は硬いのに、噛んだら中がグニャっと柔らかい、
反対に、外側が柔らかく芯に硬さが残っている、あるいは
中まで味が染みてない。そんな悩みを解決する、
均質に柔らかく、均質に味が付いた小芋の炊き方を紹介します。
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下炊きか、味付け炊きか日本料理の加熱方法は「焼く」「蒸す」「揚げる」「炊く」が基本です。その中で「炊く」だけは加熱技法であると当時に“味付け方法”でもあります。調味した液体の中で加熱することにより、素材の内部に味を含ませることができます。何を炊こうとしているのか、素材を柔らかくするための「下炊き」なのか、味を付けるための「味付け炊き」なのか。あるいは、同時進行なのか。「下炊き」と「味付け炊き」を分けて捉え、それを自覚することからはじめましょう。 |
日本料理の加熱方法は「焼く」「蒸す」「揚げる」「炊く」が基本です。その中で「炊く」だけは加熱技法であると当時に“味付け方法”でもあります。調味した液体の中で加熱することにより、素材の内部に味を含ませることができます。何を炊こうとしているのか、素材を柔らかくするための「下炊き」なのか、味を付けるための「味付け炊き」なのか。あるいは、同時進行なのか。「下炊き」と「味付け炊き」を分けて捉え、それを自覚することからはじめましょう。
まず上下を切り落としてから、六角形になるよう皮をむきましょう。この時、皮を厚めに深くむいてやると地肌がきれいに出て、均質においしく炊き上がります。包丁の刃が入りづらい、あるいは赤くなっていたり、色が違う部分は他と比べ硬かったり、組織に差があります。こうした部分は包丁で切り落とすこと。細かい点が味の差になります。
まず上下を切り落としてから、六角形になるよう皮をむきましょう。この時、皮を厚めに深くむいてやると地肌がきれいに出て、均質においしく炊き上がります。包丁の刃が入りづらい、あるいは赤くなっていたり、色が違う部分は他と比べ硬かったり、組織に差があります。こうした部分は包丁で切り落とすこと。細かい点が味の差になります。
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芯まで均一に柔らかくまず、小芋を柔らかくするための「下炊き」。ここでの目的は、芯まで均一に柔らかくすることです。調味料を入れると素材が締まって柔らかくなりません。まずは味を付けられる状態まで柔らかくするのが先です。今回は米のとぎ汁の中で炊くとしましょう。火加減が強いと、芯まで火が入らないうちに表面だけが変質して崩れてきます。煮ものの場合、総じて80℃くらいのやわらかい火加減で、じっくり時間をかけて煮ると失敗がありません。お湯がボコボコと沸き立たない状態に保ち、静かにゆっくりと火を入れていきましょう。ほぼ柔らかくなったところで、今度は「味付け炊き」に移ります。 |
まず、小芋を柔らかくするための「下炊き」。ここでの目的は、芯まで均一に柔らかくすることです。調味料を入れると素材が締まって柔らかくなりません。まずは味を付けられる状態まで柔らかくするのが先です。今回は米のとぎ汁の中で炊くとしましょう。火加減が強いと、芯まで火が入らないうちに表面だけが変質して崩れてきます。煮ものの場合、総じて80℃くらいのやわらかい火加減で、じっくり時間をかけて煮ると失敗がありません。お湯がボコボコと沸き立たない状態に保ち、静かにゆっくりと火を入れていきましょう。ほぼ柔らかくなったところで、今度は「味付け炊き」に移ります。
「等温」で小芋を移動する下炊きした小芋を冷たい水にさらしたりしないこと。柔らかさが少なからず戻ってしまうからです。人間に例えるなら、いい湯加減の湯につかって毛穴も開きポワーンとして気持ちがいい状態。そこにいきなり冷水を浴びせかけられたら、身はかじかんで毛穴もギュッと閉じてしまう。当然表面は硬くなり、味も入らなくなります。小芋には出来るだけ環境の変化を気付かせないよう、ポワーンとした気分のまま糠を抜き、だしに浸け替えてやる。具体的には、下炊きと同じ程度に熱した湯にさらし、沸かさないように気を付けながら少し炊きます。大切なのは、「等温」での移動。急激に温度や環境を変えて、小芋をびっくりさせないことです。 |
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下炊きした小芋を冷たい水にさらしたりしないこと。柔らかさが少なからず戻ってしまうからです。人間に例えるなら、いい湯加減の湯につかって毛穴も開きポワーンとして気持ちがいい状態。そこにいきなり冷水を浴びせかけられたら、身はかじかんで毛穴もギュッと閉じてしまう。当然表面は硬くなり、味も入らなくなります。小芋には出来るだけ環境の変化を気付かせないよう、ポワーンとした気分のまま糠を抜き、だしに浸け替えてやる。具体的には、下炊きと同じ程度に熱した湯にさらし、沸かさないように気を付けながら少し炊きます。大切なのは、「等温」での移動。急激に温度や環境を変えて、小芋をびっくりさせないことです。
「炊く」工程の中で一番難しいのが、味を煮含めること。せっかく柔らかく下炊きした素材が調味料を加えると、浸透圧の関係で硬く締まってしまいます。素材が締まるとどうなるか? 硬くなり、味の染み込みが悪くなります。コーティングしてしまう、と言えばわかりやすいかもしれません。特に砂糖。一度に加えたりでもしたら、せっかくの下炊きが台無し。食べてみて味が表面にしかのってない、歯ごたえがグリグリと硬いとしたら、それは砂糖の入れ方が乱暴すぎたことが原因です。砂糖は2度3度どころか、何度にも分けて少しずつ加えること。小芋が気付かないくらい少しずつ糖度を上げていけば、柔らかさを邪魔せず、均質に味が染み込んでいきます。
「炊く」工程の中で一番難しいのが、味を煮含めること。せっかく柔らかく下炊きした素材が調味料を加えると、浸透圧の関係で硬く締まってしまいます。素材が締まるとどうなるか? 硬くなり、味の染み込みが悪くなります。コーティングしてしまう、と言えばわかりやすいかもしれません。特に砂糖。一度に加えたりでもしたら、せっかくの下炊きが台無し。食べてみて味が表面にしかのってない、歯ごたえがグリグリと硬いとしたら、それは砂糖の入れ方が乱暴すぎたことが原因です。砂糖は2度3度どころか、何度にも分けて少しずつ加えること。小芋が気付かないくらい少しずつ糖度を上げていけば、柔らかさを邪魔せず、均質に味が染み込んでいきます。
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ひき加熱で味を染み込ませる「味付け炊き」をしたら火を止め、そのまま冷やしていきます。これを「ひき加熱」と言います。80℃から70℃、60℃と温度が少しずつ下がっている間も小芋は加熱されています。加熱しないで、実は加熱しているのです。この状態では煮崩れもしないし、30分もおけば中まで十分に味が染み込みます。食べるときにはもう一度温めてもいいでしょう。冷たいままでもおいしく味わえます。 |
「味付け炊き」をしたら火を止め、そのまま冷やしていきます。これを「ひき加熱」と言います。80℃から70℃、60℃と温度が少しずつ下がっている間も小芋は加熱されています。加熱しないで、実は加熱しているのです。この状態では煮崩れもしないし、30分もおけば中まで十分に味が染み込みます。食べるときにはもう一度温めてもいいでしょう。冷たいままでもおいしく味わえます。
「均質に炊く」「均質に味を染み込ませる」ポイントは、多くの素材に共通することです。たとえば、たけのこなどはもっと気を使う素材でもあります。表面は変化がないように見えて、実は繊維の間の水分が膨張して、内部の身が割れてくる。たけのこは、内側の水分をだしと入れ替えてやる、という感覚。小芋より形が大きく、硬くなりやすい素材ですから、段階を踏んで、少しずつ味にならしていくのです。「炊く」とはそうした目に見えない部分まで考え、素材の性質を見極めなければなりません。
「均質に炊く」「均質に味を染み込ませる」ポイントは、多くの素材に共通することです。たとえば、たけのこなどはもっと気を使う素材でもあります。表面は変化がないように見えて、実は繊維の間の水分が膨張して、内部の身が割れてくる。たけのこは、内側の水分をだしと入れ替えてやる、という感覚。小芋より形が大きく、硬くなりやすい素材ですから、段階を踏んで、少しずつ味にならしていくのです。「炊く」とはそうした目に見えない部分まで考え、素材の性質を見極めなければなりません。
小芋の炊き方以上の7のポイントをしっかり押さえたら、今度は映像で小芋の炊き方を見てみましょう! ![]() |