「おいしい」のコツ
「おいしい」のコツ
「切る」とは何かを考えてみましょう。
大きなものを小さくする、ということは万国共通。
しかし日本料理では、「切る」技術いかんによって、
その料理が、よりおいしい状態にレベルアップします。
つまり、「切る」=「料理」と考えているのです。
ということは、「生の魚=刺身」でもありません。
「刺身」もひとつの料理であり、「切る」ことで味を表現しているのです。
今回はそれを、鯛を例にとって、お伝えします。
「おいしい」のコツ
「切る」とは何かを考えてみましょう。
大きなものを小さくする、ということは万国共通。
しかし日本料理では、「切る」技術いかんによって、
その料理が、よりおいしい状態にレベルアップします。
つまり、「切る」=「料理」と考えているのです。
ということは、「生の魚=刺身」でもありません。
「刺身」もひとつの料理であり、「切る」ことで味を表現しているのです。
今回はそれを、鯛を例にとって、お伝えします。
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魚を「おろす」という本当の意味魚をおろすということは、骨や身を切ってばらばらにするということではなく、皮・身・筋・関節、この4つを「切る」、ということです。 魚体の大きい鯛の兜や尾などの太い骨も、関節を意識すればスムーズに切れます。 皮、身と包丁を入れていき、刃先が骨の関節に当たったところでトンと押し切るのです。 躊躇なく、一瞬でスパッと落としてください。 またそもそも、「切る」という行為は、素材の組織を断裂すること。 ということは、繊維を最小限の範囲でスパッと切断すれば、組織の損傷が少なく、そこから失われる旨味や水分も少なくてすみます。 ですから、調理の前に、包丁はよく研いでおくことも重要です。 |
魚をおろすということは、骨や身を切ってばらばらにするということではなく、皮・身・筋・関節、この4つを「切る」、ということです。 魚体の大きい鯛の兜や尾などの太い骨も、関節を意識すればスムーズに切れます。 皮、身と包丁を入れていき、刃先が骨の関節に当たったところでトンと押し切るのです。 躊躇なく、一瞬でスパッと落としてください。 またそもそも、「切る」という行為は、素材の組織を断裂すること。 ということは、繊維を最小限の範囲でスパッと切断すれば、組織の損傷が少なく、そこから失われる旨味や水分も少なくてすみます。 ですから、調理の前に、包丁はよく研いでおくことも重要です。
「皮・身・筋・関節」を意識して、魚をおろすまず刃先でスーッと腹や背の「皮」を切り、骨の上ぎりぎりのところで包丁をすべらせ、中骨までの「身」を切ります。 中骨に当たったら、腹の方にある「関節」を切り、次に中骨の「筋」をプチプチと切っていきます。 そして、背までまた「身」を切ったら、最後に「皮」を切っておしまい。 「今、どこを、何を切っているのか」を意識することが、魚を上手におろすコツなのです。 |
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まず刃先でスーッと腹や背の「皮」を切り、骨の上ぎりぎりのところで包丁をすべらせ、中骨までの「身」を切ります。 中骨に当たったら、腹の方にある「関節」を切り、次に中骨の「筋」をプチプチと切っていきます。 そして、背までまた「身」を切ったら、最後に「皮」を切っておしまい。 「今、どこを、何を切っているのか」を意識することが、魚を上手におろすコツなのです。
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身の縁がザラザラでは刺身失格柵取りをした身の縁は、小骨やヒレの一部が残っていますから、これをきれいに切り落として仕上げましょう。 口に入れた時に骨やヒレが舌にあたってはおいしさも台無し。 歯触りをよくするための細かい配慮も「切る」技術の大切な要素です。 |
柵取りをした身の縁は、小骨やヒレの一部が残っていますから、これをきれいに切り落として仕上げましょう。 口に入れた時に骨やヒレが舌にあたってはおいしさも台無し。 歯触りをよくするための細かい配慮も「切る」技術の大切な要素です。
日本料理では、皮を切る、はがすとはいわず、 「引く」といいます。 その言葉通り、包丁を止めたまま皮を引っ張るとうまくいきません。 包丁が前へ前へ、常に動いていることを意識しながら、 皮を引っ張ると身が皮に残ることなくきれいな仕上がりになります。
日本料理では、皮を切る、はがすとはいわず、 「引く」といいます。 その言葉通り、包丁を止めたまま皮を引っ張るとうまくいきません。 包丁が前へ前へ、常に動いていることを意識しながら、 皮を引っ張ると身が皮に残ることなくきれいな仕上がりになります。
上手に魚の皮を引くために![]() |
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長い刃渡りを使い、自然のスピードに任せて包丁を引く美味しい刺身を造るには、包丁をおろしていく角度と、引くスピードとのバランスが大事です。 素材の厚みに対して、「上から下」へ刃をおろしていく方向と長い刃渡りを使って「前から後ろ」へ引いていく方向、このふたつの動きが組み合わさったバランスの良さが重要なのです。 「上から下」は最短時間で切ることになりますが、ここに「前から後ろ」の動きを合わせると、引く距離が長くなり、より鋭利な刃で切るのと同じになります。 切り終わるまでの時間は長くなりますが、魚の組織を圧する力は分散し,無理なく切ることができるというわけです。 |
美味しい刺身を造るには、包丁をおろしていく角度と、引くスピードとのバランスが大事です。 素材の厚みに対して、「上から下」へ刃をおろしていく方向と長い刃渡りを使って「前から後ろ」へ引いていく方向、このふたつの動きが組み合わさったバランスの良さが重要なのです。 「上から下」は最短時間で切ることになりますが、ここに「前から後ろ」の動きを合わせると、引く距離が長くなり、より鋭利な刃で切るのと同じになります。 切り終わるまでの時間は長くなりますが、魚の組織を圧する力は分散し,無理なく切ることができるというわけです。
「切る」というより「切れていく」のに手を合わせていく鯛のような粘性と弾力のある身を艶よく切るには、長い刃渡りを充分に使い、一定以上の時間をかけて包丁を引いていくことが必要。 包丁に必要以上に力を入れず、「切る」というより「切れていく」のに手がついていくという感覚です。自然なスピードを追い越して切り急いでしまうと、余計な力、つまり圧力がかかってしまい、切断面が滑らかに仕上がらないのです。 長い直線の刃渡りをスムーズに、全部使い切って切りましょう。 すると、刺身の表面はつやつやとして、エキスが外に出るということもない旨い刺身が造れるのです。 |
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鯛のような粘性と弾力のある身を艶よく切るには、長い刃渡りを充分に使い、一定以上の時間をかけて包丁を引いていくことが必要。 包丁に必要以上に力を入れず、「切る」というより「切れていく」のに手がついていくという感覚です。自然なスピードを追い越して切り急いでしまうと、余計な力、つまり圧力がかかってしまい、切断面が滑らかに仕上がらないのです。 長い直線の刃渡りをスムーズに、全部使い切って切りましょう。 すると、刺身の表面はつやつやとして、エキスが外に出るということもない旨い刺身が造れるのです。
盛り付けも、おいしさの大切な要素です。 「へぎ造り」は、切った面が大きく艶やかなので、 それを強調して切り口を上にして盛りつけます。 「平造り」は、少しずつずらして角の立った エッジを見せることで、見た目の美しさが倍増。 勢揃いしているよりも、ちょっと動きを見せると新鮮でおいしそうに見えます。 最後に、わさびは、箸跡をつけて。 自然に見えながら、どこかに人の手が入っていることを さりげなく表現するのが、日本料理の心なのです。
盛り付けも、おいしさの大切な要素です。 「へぎ造り」は、切った面が大きく艶やかなので、 それを強調して切り口を上にして盛りつけます。 「平造り」は、少しずつずらして角の立った エッジを見せることで、見た目の美しさが倍増。 勢揃いしているよりも、ちょっと動きを見せると新鮮でおいしそうに見えます。 最後に、わさびは、箸跡をつけて。 自然に見えながら、どこかに人の手が入っていることを さりげなく表現するのが、日本料理の心なのです。
「切る」コツを習得して、魚のおいしさをレベルアップ以上の7つのコツをしっかり押さえたら、今度は映像で、魚のおろしかた、刺身の造り方を見てみましょう! ![]() |