e食材辞典

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新鮮な食材の見極め方や旬の時期、下処理の仕方からその調理法まで、
毎日のお買い物や献立づくりに役立つ情報が満載です。

食材解説・監修|神戸女子大学家政学部教授 後藤昌弘(農学博士)

魚介類

サワラ/さわら

サワラ

この食材のレシピ

分類 サバ科サワラ属
原産地 北海道南部から東シナ海までに分布する。
学名 Scomberomorus niphonius Cuvier
外国語名 Japanese Spanish Mackerel (英)、Maquereau d'Espanue (仏)
別名 おきさわら(対馬)、かまち(隠岐)、ぐってり(香川)、さーら(愛媛、高知、沖縄)、さごち(東京)、やなぎ(高知)
由来 江戸時代、細身な姿から、狭い腹、「狭腹(さはら)」と呼ばれるようになったと言われる。50cm以下のものを関西や四国などでは「さごし」、東京では「さごち」。さごしより大きい50~70cm程度のものは、関西の一部では「やなぎ」と呼ぶ。さごしは「狭い腰」を意味すると言われている。
時期 魚偏に春と書くことから、春が旬と思われがちだが、土地によって旬の時期が異なる。瀬戸内では旬は春、関東地方では秋以降、特に「寒サワラ」とよび12から2月の真冬が旬とされる。
国内分布 福井、京都、石川、福岡、長崎、山口 など。中国、韓国、オーストラリアなどからの輸入もある。
特徴 背の青いサバの仲間だが、身は白くて脂が少なく、やわらかく、淡泊で上品な味の魚。大きさによって呼び名が異なり、体長70㎝以上の成魚をサワラとよぶ。成長すると体長1mにもなる。背に青褐色の斑点があり、側線が不規則にカーブしているのが特徴。日本近海の広い海域でとれ、とくに瀬戸内海のものが有名。体長が50cmまでの若い魚は関東でサゴチ、関西でサゴシと呼ぶ。すぐに身割れしてしまうので、扱いが難しい。大きいので、店頭では切り身で売られている場合が多く、姿そのものを見る機会は少ない。通常、魚は頭に近いほどおいしいとされるが、さわらは脂肪が多いため、尾に近い方がおいしいとされる。
下処理 身がやわらかいので、身割れしないようにていねいに扱うこと。
料理名 とれたての新鮮な物は刺身にするとおいしい。さわらのたたき、さわらのちり蒸し、さわらの酒蒸し、さわらのワイン蒸し、さわらの西京焼き、さわらの粕漬け焼き、さわらの塩焼き、さわらの照り焼き、さわらの木の芽焼き、さわらのつけ焼き、さわらの柚庵焼き、さわらのムニエル、さわらのフライ、さわらのグラタン。また酢じめにしてそのまま食べるか、さわらの黄身まぶし、すし種、さわらのサラダにしてもおいしい。
調理法 白身の上品で繊細な味を生かして蒸し物や椀種、塩焼き、柚子や木の芽を入れたつけ汁につけ込んで照り焼き、みそ漬け焼きにするとおいしい。その他、魚すき、ワインを使った酒蒸しやムニエルも、さわらの旨さが増す一品。新鮮なものは酢じめにしてすし種に。
加工品 関西ではくせのない高級魚として好まれ、若い魚を西京漬けにして食すことが多い(くずれやすい身を西京みそに漬けて身をしめると同時に、西京みその甘さで上品な持ち味を引き立てる)。
選び方 切り身なら皮肌がつやつやしていて、身に弾力があり、背の斑点の鮮やかなもの、血合いの色がはっきりしていてきれいなものがよい。腹側と尾に近い部分が脂がのって美味。
保存方法 保存する場合は、切り身をラップできっちりと包んで冷凍するとよい。またかす漬けやみそ漬けにして保存すると長持ちし、風味も高まる。
栄養 必須アミノ酸を多く含む良質のタンパク質。IPA(EPA)やDHA、カリウム、ナイアシン、ビタミンB2、ビタミンDも比較的多い。
備考 ボラの卵巣で作るからすみは、もともとサワラの卵で作られていた。高松藩ではサワラのからすみを将軍に献上していたといわれる。