e食材辞典

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新鮮な食材の見極め方や旬の時期、下処理の仕方からその調理法まで、
毎日のお買い物や献立づくりに役立つ情報が満載です。

食材解説・監修|神戸女子大学家政学部教授 後藤昌弘(農学博士)

魚介類

アサリ/あさり

アサリ

この食材のレシピ

分類 マルスダレガイ科アサリ属
原産地 日本全国に生息
学名 Ruditapes philippinarum
外国語名 Short-necked clams (英)
別名 イソモ、コガイ
由来 どこの干潟でもとれることから「漁る(あさる)」が名の由来になったとされる。
歴史背景 縄文時代から食されており、江戸時代にはアサリは江戸前の名物だった。アサリを使った名物料理「深川飯」は、むき身をネギとともに甘辛く煮て、アツアツのご飯にかけたもの。下町には必ず屋台が出ており、庶民に大人気だった。
時期 冬から春が旬。春先からグリコーゲン、コハク酸などの含有量が増えて、うま味が増す。
国内分布 愛知、静岡、三重、北海道、熊本、福岡 など。 中国、韓国からの輸入も多い。
特徴 国内で獲れる貝類の中で最も漁獲高が多い。貝殻は美しい模様が入っているが、環境に左右されやすく、いい環境に住んでいるものほど殻が薄く、模様も美しいと言われる。アサリはカルシウム、鉄を含み、うまみのもとである有機酸に富んでいる。また貝には「コハク酸」といううまみ成分が多いが、アサリは、ホタテの次にコハク酸が多い。
下処理 砂抜きされたものも市販されているが、家庭で砂抜きをする場合は、海水程度の濃度の塩水(約3%)につけて冷暗所に3時間ほどおいてしっかりと砂をはかせる。そのあと、真水で殻と殻をこすり合わせて汚れをきれいに洗い落とす。
料理名 殻つきのものならあさりのみそ汁、あさりの吸い物、あさりのチャウダー、あさりのシチュー、あさりの酒蒸しやあさりのワイン蒸し、スパゲッティボンゴレ、あさりのバジル炒め、あさりの炒め煮、などに。むき身ならあさりのぬた、あさりの黄身酢みそ和え、あさりの佃煮、あさりのかき揚げ、あさりご飯、あさりのトマト煮、和え物、酢の物などにするとおいしい。
調理法 貝特有のうま味成分の「コハク酸」がたっぷりで、出し汁を必要としないほどうま味が濃く、汁物、煮込み、蒸し物、ご飯もの、酢の物、和え物などになどに利用する。身がかたくなるので、長時間の加熱は避ける。
加工品 佃煮、缶詰(水煮、味つけ)
選び方 内海の淡水の混じる浅い海でとれるものと、外海でとれるものがあり、色や模様はいろいろ。身が太りうま味も増す晩秋から4月にかけてが美味。ただし、晩春から初夏にかけては繁殖期になり、中毒を起こしやすくなる恐れがあるので注意。殻つきのものは必ず生きていて、触れるとキュッと殻をかたく閉じるものを選ぶ。水につけたときに水管を出すものや、磯の香りがするものは新鮮。殻が茶褐色に変色していたり開きっぱなしだったり、加熱しても口が開かないものは死んでいることが多いので要注意。むき身のものならつやつやしていて、弾力のあるものを選ぶ。
保存方法 できるだけ使う分だけを求める。塩水につけて冷蔵庫(10度以下)に。
栄養 特有の旨み成分のコハク酸、体の機能を調整する働きのあるビタミンB2・B12、鉄、肝臓の働きを助けるタウリンが豊富。とくに悪性貧血の予防に有効なビタミンB12の貴重な供給源で、5~6個で1日所要量の3分の1を満たせる。この成分は水溶性なので、溶け出た汁も食べられるように調理するとよい。
備考 アサリは塩分濃度の高くないところに生息しているので、砂出しするときもごく薄い塩水でいい。室生犀星「アサリのうた」おまえのにいさんはといえば はまぐりだとこたえる。そんならシジミは孫かとたずねると うんという。きょうだいけんかはめったにしないが アサリもシジミも 深い海の中にはついていけない。 にいさんのはまぐりだけは、きょうも深いところであくびをしている。