豚肉
豚ロース肉
外国語名 | Loin (英)、Carre, Filet (仏) |
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歴史背景 | 豚の祖先であるイノシシの家畜化は8000年以上前からユーラシア大陸の東西で行われ、各地で家畜の豚が誕生したと思われる。豚が禁じられている現在のイスラム圏でもかつては食されていた。東アジアでは中国の新石器時代から家畜とされていた。日本では弥生時代にすでに食用されおり万葉集や古事記にも「猪飼」などの名前で記載が見られるが、仏教の伝来とともに豚の飼育も途絶えたと思われる。沖縄や九州南部では豚が食べられていたが、本格的に豚が食べられるようになったのは明治維新以後で、特に関東大震災以後は供給量が増え、安価になった。 |
特徴 | ロースは肩ロースに続く背中から腰にかけての中央部分。肉質はほぼ均一で、キメが細かく柔らかく風味がよい。ブロック、厚切り、薄切りにされる。ごく薄くスライスしたものはすき焼きやしゃぶしゃぶに、炒め物などに向いている。 |
品種名 | ランドレース、大ヨークシャー、中ヨークシャー、ハンプシャー、デュロック、バークシャー |
下処理 | とんテキ、とんカツなど厚めに切った肉を用いるときは、赤身肉と脂肪の間にある筋を3~4カ所切って焼き縮みを防ぐ。肉の赤身と脂肪の部分では、加熱による繊維の収縮率が違う。特に豚肉の脂肪は、ばら肉以外は筋肉に混じることがないので、筋切りをしっかりとしておかないと、加熱したときに身がそり返ってしまう。脂肪の方にも数カ所切り込みを入れてもよい。筋の多いかたい肉の場合は、焼く前に肉たたきでたたくと火の通りが均一になる。肉たたきがない場合は、ビールびんなどで代用してもよい。 |
料理名 | かたまり肉は厚切りにしてポークソテーやとんカツに。薄切りはしゃぶしゃぶやしょうが焼き、鍋物に。りんごロールカツ、煮豚、豚肉のオレンジ煮、豚ロースの甘辛焼き、豚肉の竜田揚げ、豚肉とキャベツの蒸し煮、焼き豚、ゆで豚 |
調理法 | ロースや肩ロースをソテーやカツにする場合は、そり返らないように、脂肪と赤身の間の筋を切っておく。・豚ロース/チャップ 背中の中央部にある部位で、ヒレと並び最上。脂肪と赤身肉とのバランスがよく肉質はきめが細かくやわらかで、風味がよい。厚めに切って筋切りをし、肉たたきでたたいてから焼く。薄切りにして豚しゃぶ、豚すきにしてもおいしい。ロース肉を肋骨をつけて切り分けたものを「チャップ」と呼び、ポークソテーやパン粉をまぶしてバター焼きにするなど、主に焼き物に適している。・豚肩ロース 背中の肩の部分にある部位で、赤身の中に脂肪がほどよく網目状に入っている。肉質のきめは粗いが、赤身と脂肪がほどよい層になっているので風味がよく、ロースよりコクがありうまみ成分が多い。ソテー、炒め物、揚げ物など、ほとんどの豚肉料理に使える。 |
加工品 | ローストポーク、焼き豚 |
選び方 | 脂肪が白く、肉はピンク色でつやがあるものがよい。 |
保存方法 | 牛肉よりも日持ちしないので、早めに使いきる。その日のうちに使わない場合は、冷凍しておく方がよい。薄切り肉は生のままか下味をつけて、カツやソテー用は衣をつけたり、下味をつけた状態で、シチューやカレー用は、サッと炒めてから冷凍するとよい。解凍は冷蔵庫で自然解凍。半解凍状態で調理する(カツは凍ったまま揚げる)。 |
栄養 | タンパク質、脂質を同程度含む。ビタミンB1、B2が多い。 |
備考 | ・高級食材トリュフを掘り出すのにかつては雌豚が使われた。これはトリュフには雄豚が持つフェロモンと同じ成分が含まれているため、雌豚が興奮して掘り起こすため。しかし雌豚がトリュフを食べてしまうことも多いため、最近では犬が使われるようになった。・豚で食べられないのは鳴き声だけ、といわれるほど豚はすべてが使える動物。アメリカではヘビ除けのために豚を飼っている家もある。 |