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フレイル予防・対策講座

高齢者の低栄養防止やフレイル予防対策に!

監修:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
病院長 老年学・社会科学研究センター長 荒井 秀典 先生
老年学・社会科学研究センターフレイル研究部 特任研究員 木下かほり 先生

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筋力UP!
間食のすすめ

バックナンバー

知っておきたい「フレイル対策」

加齢に伴い、筋肉の力が落ちるなど体の機能や、内臓などの生理的な機能が低下して、疲れやすく動けなくなる、食欲が湧かないなどの、心身の活力が低下した「虚弱」な状態は、近年では「フレイル」と呼ばれます。
フレイルの状態ではまだ健康を維持していますが、多くの高齢者がこのフレイルの段階を経て要介護状態になることがわかっています。
現在、日本における65歳以上の高齢者の割合は27.7%、実に4人に1人が高齢者という計算になりますが(※1)、この高齢者全体の約12%がフレイルに該当しており、その割合は年齢を重ねるごとに大きくなっていきます(※2)。

今、フレイルが注目されているのは、フレイルの状態であれば、心身ともにある程度回復する力が残っており、適切なケアにより、健康な状態に回復する可能性があるからです。
そして、フレイルの予防・改善に特に効果があるとされているのが「食事」によるタンパク質を中心とした栄養摂取と筋力トレーニングなどの「運動」なのです。

> フレイルについての詳しい情報や「セルフチェックシート」はこちらから

(※1)総務省統計局,2017年9月15日(※2)Shimada H et al: J Am Med Dir Assoc 2013

高齢者人口推移

1947年〜2015年は「国勢調査」、2016年、2017年は「人口推計」
注1)2016年、2017年は9月15日現在、その他の年は10月1日現在
2)国勢調査による人口及び割合は、年齢不詳をあん分した結果
3)1970年までは沖縄県を含まない

フレイルの有症率

フレイルの有症率は65歳以上の高齢者全体では11.5%(予備軍32.8%)であった。加齢に伴い有症率の増加が認められた。

高齢者に必要な「食事」とは?

フレイル対策として摂取した方がよい栄養素には、筋肉の合成に必要な「タンパク質」、骨の形成に欠かせない「カルシウム」、そしてカルシウムを吸着させるのに必要な「ビタミンD」などがあります。タンパク質とはアミノ酸が結合したもののことですが、中でも「必須アミノ酸」は自分の体の中で合成できないので、食事で摂取する必要があります。

人は高齢になるにつれ、筋肉の量がどんどん減っていきます。筋肉量の減少を予防するタンパク質(アミノ酸)を十分に摂るには、朝昼晩の3食をしっかり食べることが大切です。食事を抜くと、1日に必要な栄養素を摂ることが難しくなるので、時間をきめて、一定以上の量を食べるよう心がけましょう。また、タンパク質はただ摂るのではなく、運動をすることによってより効果的に筋肉をつくることができるようになるので、食事と運動、どちらも欠かさず行う必要があります。

年齢に伴う全身筋肉量の変化

出典:谷本芳美、渡辺美鈴、河野令、広田千賀、高崎恭輔、河野公一
日本人筋肉量の加齢による特徴 日本老年医学2010:(47)52-57.
(出典を参考にしてわかりやすくしています)

「運動+間食」のすすめ

ただし高齢になると、食べ物が噛みにくくになったり、飲み込みにくくなったり、さらには食事を作ること自体が億劫になったりと、どうしても1食の食事量が減ってしまうことがあります。また、食べてはいても、麺類や菓子パンなどの炭水化物ばかりを好んで食べるなど、栄養バランスが偏ってしまっている方も多く見受けられます。エネルギーとタンパク質を十分に摂れなくなると、筋肉や脂肪に蓄えた“貯金”が減り、体重が減ってきてしまうので要注意です。特にタンパク質は筋肉の素になるため大切です。

そこでおすすめしたいのが、運動のあとの「間食(おやつ)」です(※3)。タンパク質は、運動によって筋肉をつくる力が高まる時間(運動直後)に、血液中にアミノ酸が豊富になるように摂取するのが効果的であることがわかっています(※4)。特に積極的に摂ってほしいのが、タンパク質が豊富な卵や豆類(小豆など)を使ったおやつです。また、牛乳やヨーグルトなどの乳製品を使ったものは、タンパク質だけではなく、カルシウム補給にも最適です。ただし、砂糖や脂肪、塩分の量に気を付けて、食べ過ぎないようにしましょう。

フレイル対策には、正しい食習慣が大切です。ただし、その「正しく」食べること自体にストレスを感じてしまっては、身体だけではなく、精神的にも逆につらくなってしまいます。今回紹介した間食など、おいしく食べられるものから賢く栄養をとるコツを取り入れながら、無理せず楽しい食事を心がけましょう。

(※3)糖尿病や腎機能に障害のある方など食事療法が必要な方は、医師や管理栄養士に相談ください。
(※4)参考文献:岡村浩嗣「市民からアスリートまでのスポーツ栄養学」

小倉豆腐白玉豆腐を練り込んだ白玉。タンパク質を補い、冷めても固くならないので一石二鳥。

  1. 01.ボウルにAを入れてよく混ぜ合わせ、耳たぶ程度のかたさに練る。24等分し、丸めて中央をくぼませる。
  2. 02.沸騰した湯で01をゆで、浮き上がってきたら冷水にとる。水けをきって器に盛り、ゆであずき、黒すりごまをかける。

材料(6人分)

  • A白玉粉100g
  • A絹ごし豆腐120g
  • ゆで小豆缶詰125g
  • 黒すりごま小さじ1

グリンピースのみるく寒天グリンピースを牛乳寒天に加えて食べやすく。カルシウムやビタミンDも摂れるおやつ。

  1. 01.鍋にAを入れて火にかけ、グリンピースがやわらかくなるまで煮る。粗熱がとれたらミキサーにかけてペースト状にする。
  2. 02.鍋にBを入れて火にかけ、沸騰したら中火にし、混ぜながら1〜2分加熱して寒天を溶かす。01を加えて混ぜ、火を止める。
  3. 03.水で濡らした流し缶に入れ、粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やし固める。12等分に切り分け、飾り用のグリンピースをのせる。

材料(6人分)

  • A1 カップ
  • Aグリンピース(冷凍)135g
  • A砂糖40g
  • B牛乳300g
  • B粉寒天4g
  • グリンピース(冷凍)15g

バナナとキウイのヨーグルトアイス材料を混ぜ合わせて凍らせるだけの簡単おやつ。ヨーグルトでカルシウムも摂れます。

  1. 01.キウイは皮をむいてすりおろす。
  2. 02.ジッパーつきの保存袋に01、ヨーグルト、バナナ、はちみつを入れ、袋を閉じて手でつぶしながら混ぜ合わせる。
  3. 03.冷凍庫で冷やし、1時間ごとに手でもみ混ぜる。これを3回繰り返す。
  4. 04.器に盛りつけ、ミントの葉を飾る。

材料(5人分)

  • キウイ2個(100g)
  • プレーンヨーグルト200g
  • バナナ(大)1本(120g)
  • はちみつ42g
  • ミントの葉適量

高野豆腐かりんとうビタミンB群が豊富で、鉄分、カルシウムも含む高野豆腐を素朴なおやつに。

  1. 01.高野豆腐は水につけて戻す。水けを絞り、7mm厚さに切る。
  2. 02.鍋にAを入れて火にかけ、黒砂糖を溶かす。01を入れて合わせ、20分ほどなじませる。
  3. 03.02の汁けを軽く絞り、ビニール袋に入れて片栗粉をまぶす。
  4. 04.70℃の揚げ油で03を3分半〜4分、こんがり揚げる。合わせたBに入れ、全体にまぶす。

材料(2人分)

  • 高野豆腐2枚(32g)
  • A黒砂糖30g
  • A60g
  • 片栗粉大さじ3
  • B砂糖大さじ1
  • Bきな粉大さじ1
  • 揚げ油適量

栗とほうれん草の抹茶蒸しパンおやつで野菜も摂取。ホットケーキミックスを使って失敗なく簡単に。

  1. 01.ほうれん草は熱湯でゆでて冷水にとり、水けを絞って細かく刻む。栗は小さめに切る。
  2. 02.ボウルにAを混ぜ合わせる。
  3. 03.別のボウルに卵と砂糖を入れてよくすり混ぜ、油、01のほうれん草を加えて混ぜる。02を加え、粉っぽさがなくなるまで混ぜる。
  4. 04.型の8分目まで03を入れ、01の栗を散らす。蒸気の上がった蒸し器に入れ、中火で約15分蒸す。

材料(2人分)

  • 栗の甘露煮50g
  • ほうれん草90g
  • Aホットケーキミックス100g
  • A抹茶6g
  • 1個(55g)
  • 砂糖50g
  • 大さじ3

黒糖のところてんつるんとした喉ごしで、水分補給にもなるおやつ。寒天で食物繊維も補えます。

  1. 01.鍋にAを入れて火にかけ、沸騰したら弱火にし、2分ほど煮て黒砂糖を溶かす。
  2. 02.水で濡らした流し缶に01を入れ、粗熱がとれたら冷蔵庫で冷やし固める。
  3. 03.ところてん突きの幅に合わせて02を切り、器に突き出す。黒みつ、きなこをかける。

材料(2人分)

  • A黒砂糖大さじ2
  • A粉寒天4g
  • A2 1/2 カップ
  • 黒みつ大さじ2
  • きな粉適量

※ところてん突きが無ければ、包丁で細く切る。

次回は「脱・低栄養 ワンプレートで彩りよく」です。
お楽しみに!