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フレイル予防・対策講座

高齢者の低栄養防止やフレイル予防対策に!

ワンプレート料理の写真

監修:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
理事長 荒井秀典先生
老年学・社会科学研究センターフレイル研究部 特任研究員 木下かほり先生

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脱・低栄養
ワンプレートで彩りよく

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フレイルを招く低栄養

近年、高齢者の低栄養が取り上げられるようになってきました。低栄養とは、食事から摂るエネルギーやタンパク質等が不足している状態のことをいいます。平成29年の国民健康・栄養調査結果では、65歳以上の方では男性の12.5%、女性の19.6%が低栄養の傾向にあると報告されています。
低栄養はフレイルの原因です。フレイルは、

1)6ヶ月間で2ー3kg以上の体重減少
2)以前に比べて歩く速さが遅くなった
3)ウォーキング等の運動を週に1回以上していない
4)5分前のことが思い出せない
5)(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする

これらのうち、3つ以上に当てはまる状態です。低栄養の状態が続くと、体に蓄えている脂肪や筋肉を分解し、エネルギーに変えてしまいます。すると体重が減少し、筋肉量も減るため筋力が低下します。筋力が低下すると疲れやすくなり、活動性も低下するなど悪循環を引き起こし、フレイルを招いてしまうのです。

多様な食品を摂ってますか?

※サルコペニア肥満の方(BMI値30以上)は、体重を増やさないような食事制限と運動が必要です。

ではエネルギーやタンパク質さえ不足しなければ大丈夫か、というとそうではありません。栄養素には炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルがあります。これらは体の中で働くときの役割が違うので、バランスのとれた食事からいろいろな栄養素を補うことは、いきいきとした生活を送るためにも欠かせません。

多様な食品がとれているかどうかの指標として「食品摂取の多様性スコア」があります。下の表の10種類の食品をほぼ毎日食べる場合は1点、そうでない場合は0点で計算し、合計点が高いほど栄養素密度の高い食事になる傾向があります。また、近年では、いきいきとした老後を過ごすために「サルコペニア(※1)(筋肉量が減少し、握力や歩行速度が低下した状態)」を予防することが重要とされています。食品摂取の多様性スコアが7点以上の人は、筋肉量が減少しにくいことや、握力や歩行速度が低下しにくいことが報告されているため(※2)、多様な食品を摂ることはサルコペニアの予防にも重要な可能性があります。

ふだんの自分の食生活を振り返り、偏りがないかチェックしてみましょう。

年齢に伴う全身筋肉量の変化

食品摂取の多様性スコア表食品摂取の多様性スコア表出典:東京都健康長寿医療センター研究所
※1. Chen LK, et al. J Am Med Dir Assoc 2014; 15(2):95-101
参考:「フレイルの要因
※2. Yokoyama Y, et al. Dietary Variety and Decline in Lean Mass and Physical Performance in Community-Dwelling Older Japanese: A 4-year Follow-Up Study. J Nutr Health Aging 2017; 21(1):11-16.

主食・主菜・副菜のそろった食事で
栄養バランスよく

主食・主菜・副菜ごとの食品と栄養主食・主菜・副菜ごとの食品と栄養

これらの他に、牛乳・乳製品(タンパク質)、果物(ビタミン・ミネラル)から栄養を補いましょう。
1日の目安は、牛乳コップ1杯程度、果物は握りこぶし1個程度です。タンパク質が不足しがちな朝食や昼食に牛乳や乳製品を取り入れることで、手軽にタンパク質を補うことができます。

※糖尿病や腎臓病などで栄養管理をなさっている方は、主治医の先生や管理栄養士にご相談ください。

ワンプレートでいろんな食品を
まんべんなく

多様な食品をバランスよく食べるには、主食(ご飯・めん・パン)、主菜(肉・魚・卵・大豆)、副菜(野菜・海藻・きのこ)を毎回の食事に取り入れることがポイントです。しかし、いろいろなおかずが盛りつけられた器が食卓にずらりと並ぶと、「食べなければならない」というプレッシャーを感じて、かえって、食欲がわかないことになるかもしれません。

そこでおすすめしたいのが、1つのお皿に主食、主菜、副菜を盛りつけるワンプレートごはんです。1皿にまとめることで食べきりやすくなるだけでなく、食品のバランスが把握しやすい、洗い物が少なくて済むなどのメリットがあります。

各料理で器を使用せずワンプレートにまとめた写真

主食、主菜、副菜の3つを意識して、作りおきの常備菜や、市販のお惣菜、豆腐やチーズ、卵、納豆などそのまま食べられるものをバランスよく一皿に盛り合わせて、低栄養にならない食事習慣を身につけましょう。

さけ+厚揚げで高タンパク!ご飯のワンプレート主菜はレンジで簡単に、副菜の2品目は作りおきしてプレートにちょいのせで。

さけ+厚揚げで高タンパク!ご飯のワンプレート写真

献立

  • ○主食おにぎり
  • ○主菜さけのレンジ蒸し
  • ○副菜1焼き厚揚げのピリ辛野菜あん
  • ○副菜2アスパラとパプリカの焼き浸し
  • ●1人分:571kcal
  • ●食塩相当量:2.6g
  • ●タンパク質量:34.9g

さけのレンジ蒸し

  1. 01.さけは皮を取り除き、1切れを3等分のそぎ切りにする。チンゲン菜は食べやすい大きさに切る。
  2. 02.耐熱容器にチンゲン菜を敷き、さけを並べてしょうがを散らし、Aを振る。ラップをふんわりとかけ、電子レンジで5?・6分加熱する(加熱時間は2人分の目安)。
  3. 03.白ねぎは縦に切りこみを入れて芯を取り、ごく細いせん切りにして水にさらし、白髪ねぎにする。Bを混ぜ合わせる。器に02を盛りつけ、白髪ねぎをのせ、合わせたBをかける。

材料(2人分)

  • さけ(1切れ70g)2切れ
  • チンゲン菜120g
  • しょうが(せん切り)4g
  • A小さじ2
  • A塩小さじ1/6弱
  • 白ねぎ(5cm長さ)1本
  • B醤油小さじ1/2
  • Bだし汁小さじ1/3
  • Bにんにく(すりおろし)小さじ1/5
  • Bごま油小さじ1/3

焼き厚揚げのピリ辛野菜あん

  1. 01.人参は3cm長さの細切り、えのき茸、にんにくの芽は2cm長さに切り、白ねぎは斜め切りにする。
  2. 02.厚揚げは熱湯をかけて油抜きし、水けをふき取る。オーブントースターでこんがりと焼き、6等分する。
  3. 03.フッ素樹脂加工のフライパンにごま油、Aを入れて弱火にかける。香りがたったら01を入れて中火で炒める。全体がしんなりとしたら混ぜ合わせたBを加え、2分ほど煮る。
  4. 04.02を器に盛り、03をかける。

材料(2人分)

  • 厚揚げ230g
  • Aしょうがのせん切り10g
  • A赤唐辛子の輪切り1/2本分
  • 人参30g
  • えのき茸80g
  • にんにくの芽40g
  • 白ねぎ25g
  • B醤油大さじ1/2
  • B鶏ガラスープの素小さじ1/2
  • B3/4カップ
  • B砂糖小さじ1/2
  • B大さじ1
  • B片栗粉小さじ2
  • ごま油大さじ1

アスパラとパプリカの焼き浸し

  1. 01.アスパラはピーラーで皮のかたい部分をむき、穂先4cmは縦半分にし、残りは斜め薄切りにする。赤パプリカは4cm長さの細切りにし、大根は4cm長さのせん切りにする。フッ素樹脂加工のフライパンでアスパラをから炒りする。
  2. 02.鍋にだし汁、塩、淡口醤油、みりんを入れ、大根を入れて煮る。大根に火が通ったら赤パプリカとアスパラを加えて火を止め、ボウルに移し、冷ます。すだち汁を加えて味をととのえ、器に盛り、かつお節、塩昆布をのせる。

材料(2人分)

  • アスパラ40g
  • 赤パプリカ30g
  • 大根40g
  • だし汁120g
  • 0.4g
  • 淡口醤油小さじ1/3
  • みりん小さじ1/3
  • すだち,果汁小さじ1
  • 塩昆布(刻んだもの)2g
  • かつお削り節1g

おにぎり

(2個分)

  • ごはん200g
  • 0.5g
  • ごま適量

ゆうべのカレーをリメイク パンのワンプレート多品種の野菜がとれるラタトゥイユは、たくさん作って洋の常備菜として活用したいおかずです。

ゆうべのカレーをリメイクとパンのワンプレート写真

献立

  • ○主食&主菜トーストのカレーパン
  • ○副菜1ひよこ豆のサラダ
  • ○副菜2変わりラタトゥイユ
  • ○+αヨーグルト60g&カットフルーツ
  • ●1人分:633kcal
  • ●食塩相当量:3.1g
  • ●タンパク質量:32.7g

トーストのカレーパン

  1. 01.玉ねぎはみじん切りにする。人参とマッシュルームは粗みじん切りにする。
  2. 02.フッ素樹脂加工のフライパンに油、にんにくを入れて火にかけ、香りがたったら1と豚ひき肉を入れて炒める。Aを振り入れて炒め、粉っぽさがなくなったらBを加え、汁けがなくなるまで炒める。
  3. 03.食パンをめん棒で薄く伸ばし、2を等分にのせる。ふちに溶き卵をぬり、三角に折ってフォークで押さえて口を閉じる。

材料(2人分)

  • 食パン(10枚切りミミなし)230g
  • カレー(*前日の残りや市販のレトルトを活用してもよい)
  • 豚ひき肉,赤身120g
  • 玉ねぎ1/4個
  • 人参40g
  • マッシュルーム2個
  • にんにくのみじん切り1片分
  • 小さじ2
  • A小麦粉小さじ1
  • Aカレー粉小さじ2
  • B赤ワイン大さじ1
  • Bみりん小さじ2
  • B醤油大さじ2/3

ひよこ豆のサラダ

  1. 01.ミニトマトはヘタを取って四つ割りにする。ひよこ豆と枝豆はそれぞれ熱湯でサッとゆでてザルに上げ、枝豆はさやから実を取り出す。サラダ菜は半分に切る。
  2. 02.玉ねぎはみじん切りにし、水にさらして水けをきる。玉ねぎ、酢、オリーブ油、マスタード、塩、こしょうを混ぜ合わせ、ドレッシングを作る。
  3. 03.ボウルにミニトマト、ひよこ豆、枝豆を合わせ、ドレッシングを加えて和える。サラダ菜を敷いた器に盛りつける。

材料(2人分)

  • ひよこまめ,ゆで60g
  • 枝豆,冷凍40g
  • ミニトマト40g
  • A玉ねぎ20g
  • A大さじ1/2強
  • Aオリーブ油大さじ1/2
  • Aマスタード3g
  • A0.4g
  • Aこしょう少々
  • サラダ菜10g

変わりラタトゥイユ

  1. 01.じゃが芋、玉ねぎ、セロリ、キャベツ、ズッキーニは1.5cm角に切る。
  2. 02.フッ素樹脂加工の鍋にオリーブ油、にんにくを入れて火にかけ、香りがたったらじゃが芋、玉ねぎ、セロリを加えて炒める。じゃが芋が透き通ってきたら、ホールトマト、コンソメを入れ、残りの野菜を加えてふたをし、やわらかくなるまで弱火で煮、塩、こしょうで味をととのえる。

材料(2人分)

  • じゃが芋100g
  • 玉ねぎ60g
  • セロリ40g
  • キャベツ60g
  • ズッキーニ60g
  • オリーブ油大さじ1/2
  • にんにく(みじん切り)小さじ1
  • コンソメ顆粒2g
  • ホールトマト,食塩無添加140g
  • 1/6
  • こしょう少々

具だくさん焼きうどんのワンプレート缶詰や野菜チップスなど市販品を上手に取り入れると、めん料理でもいろんな食品が摂取できます。

具だくさん焼きうどんのワンプレート

献立

  • ○主食&主菜青菜とさば缶のごま味噌焼きうどん
  • ○副菜1海藻と根菜チップのせサラダ
  • ○汁ベジタブルスープ
  • ○+αカットフルーツ
  • ●1人分:580kcal
  • ●食塩相当量:3.3g
  • ●タンパク質量:29.9g

青菜とさば缶のごま味噌焼き うどん

  1. 01.うどんは熱湯でゆでてほぐし、ザルに上げる。
  2. 02.白ねぎは斜め切り、小松菜は4cm長さに切る。Aは混ぜ合わせておく。
  3. 03.フライパンにごま油、しょうが、桜えびを入れて弱火にかける。香りが立ったら強火にし、02の野菜、汁けをきったさばを加えて炒める。
  4. 04.01を加えて炒め合わせ、混ぜ合わせたAを入れて全体に味がなじむように2分炒める。器に盛りつけ、白炒りごまを散らす。

材料(2人分)

  • うどん,冷凍2玉
  • さばの水煮缶詰(190g)1缶
  • 白ねぎ40g
  • 小松菜80g
  • しょうがのせん切り15g
  • 桜えび6g
  • ごま油小さじ2
  • A大さじ1
  • A味噌小さじ1/2
  • A醤油小さじ1/2
  • Aみりん小さじ2
  • A白すりごま大さじ2
  • 白炒りごま小さじ1

海藻と根菜チップのサラダ

  1. 01.海藻ミックスは水につけて戻す。サニーレタスはひと口大にちぎる。きゅうりは斜め薄切りにし、トマトは乱切りにする。
  2. 02.ボウルに1とめかぶを合わせ、混ぜ合わせたAを加えて和える。器に盛りつけ、野菜チップスをのせる。

材料(2人分)

  • 海藻ミックス,乾燥10g
  • サニーレタス25g
  • めかぶわかめ80g
  • きゅうり1/2本
  • トマト1個
  • A練りわさび小さじ1/2
  • A和風ドレッシング大さじ1
  • 野菜チップス(市販)適宜

ベジタブルスープ

  1. 01.玉ねぎは薄切りにする。セロリは筋を取って薄切りに、人参はせん切りにする。
  2. 02.キャベツはザク切りに、ベーコンはせん切りにする。絹さやはヘタと筋を取り、サッと熱湯に通して湯をきり、細切りにする。
  3. 03.鍋に湯を沸かしてブイヨンを溶かし、玉ねぎ、セロリ、人参を加える。ひと煮立ちしたらキャベツとベーコンを加え、サッと煮る。
  4. 04.塩、こしょうで味をととのえ、最後に絹さやを加える。

材料(2人分)

  • 玉ねぎ40g
  • セロリ10g
  • 人参10g
  • キャベツ20g
  • ショルダーベーコン20g
  • 絹さや10g
  • 1・1/2カップ
  • ブイヨン2g
  • 少々
  • こしょう少々

次回は「噛む力を鍛えよう! オーラルフレイルの予防と対策」です。
お楽しみに!