三浦 淳寛

アスリートライフ

体力増強はもちろん、“頭の運動”にも最適なサッカー。
心身の健康を保つのに最適な「生涯スポーツ」です。

サッカーは健康を増進するのに最適なスポーツです。試合で長距離を走るため心肺機能が高まり、また瞬間的なダッシュやジャンプも必要なので、筋力や瞬発力も鍛えられる。運動能力の全体的な底上げに、大きく寄与することは間違いありません。

加えて、その他の球技と比較したときに、「足」を使ってボールを操る必要があるのも大きなポイントです。足の裏は東洋医学で「第二の心臓」と呼ばれ、健康にかかわるさまざまな神経/ツボが密集しているとされます。普段は意識して使わない足を自在に動かすことで、体中にいい刺激を与える効果も期待できるんです。

また、日々を生き生きと暮らすためには、体の健康はもちろん、「頭」を若く保つことも大切。その点、サッカーは広いピッチで周りの選手の動きを把握・予測し、素早く判断して、しかも手ほど器用には動かない足を使ってプレーしなければいけません。サッカーをしていると頭の回転も早くなりますし、年配の方々のプレーヤーでも若々しい人が本当に多いんです。

スポーツに「引退」はない。
総合型のスポーツクラブが、
日本に普及するのが理想です。

プロはもちろん、ジュニアから社会人にまで、指導体制が充実しているのもサッカーの特長です。かつては「練習中に水を飲むな!」というような根性論的な指導も行われていましたが、特に93年のJリーグ誕生以降、プロの科学的なトレーニングが周知されるようになってきました。

僕がプロになって驚いたのは、練習や試合の前に多くの勉強会、説明会に参加することです。栄養のとり方については管理栄養士の話を聞き、トレーニングについてはプロのトレーナーに理論を教わる。そういうことが一般にも知られるようになり、オーバーワークをせず、けがの危険性を排除して体を鍛えられる科学的なスポーツになってきたと思います。最近の少年サッカーでは、ハーフタイムとは別に給水の時間を設けるのも当たり前になってきました。

サッカーはボールと広場さえあればできる、手軽なスポーツであり、そのことが全世界的に多くの競技人口を抱える理由にもなっています。日本のプレー環境を考えると、近年でフットサル場も増えてきていて、女性のプレーヤーやシニアの方もよく見かけるようになりました。そういう意味では「生涯スポーツ」に近づいていると思いますが、やはり一般の方が人を集め、フルコートでの試合をセッティングするのは、なかなか難しい。その点が、今後に向けた課題だと考えています。

ATSUHIRO MIURA三浦 淳寛

1974年生まれ。元サッカー日本代表。横浜フリューゲルス、横浜F・マリノス、東京ヴェルディ1969、ヴィッセル神戸、横浜FCなどでMFとしてプレー。フリーキックの名手としても知られ、99年からは日本代表としても活躍した。2000年には、オーバーエイジ枠でシドニー五輪に出場し、メキシコシティ五輪以来32年ぶりの決勝トーナメント進出に大きく貢献。2011年に現役を退き、現在はテレビ解説や講演、ジュニアの指導などを中心に活動している。

僕の理想は、ヨーロッパなどでよく見られる総合型のスポーツクラブが、日本全国に普及することです。休みの日にスポーツクラブに顔を出すと、老若男女問わずサッカー好きが集まっていて、気軽に試合を楽しむことができる。地域の社会人クラブやサークルだと、意外にガチンコだったりして、参加するのはハードルが高いかもしれません。その点、趣味として気が向いたときにプレーできる環境があれば、初心者も参加しやすいし、長く続けられると思うんです。

僕は2011年に現役を退き、いまは試合解説や子どもたちへの指導を中心に活動していますが、「引退」という言葉が嫌いです。「引く」に「退く」って、すごくネガティブな響きですよね。もちろん、プロ選手としては引退という言葉を使わざるを得ないのですが、スポーツを楽しむという意味では、誰もが「生涯現役」でいられるはず。みなさんも「サッカーは高校で引退したから」「仕事や子どもの世話が忙しいから、スポーツは引退」なんて言わずに、もっと気軽にスポーツと付き合っていただきたいと思います。海外では、それが当たり前だったりもするのですから。

女子日本代表の「なでしこジャパン」の活躍で女子サッカーにも注目が集まり、ちょうど今、ブラジルW杯でのザック・ジャパンの奮闘が話題になっている中で、日本のサッカー人気は不動のものになりつつあります。男性も女性も、社会に出たり、家庭を持ったりすれば、ストレスが溜まることも増えるもの。そんなときにサッカーで思い切り体を動かせば、心身ともにリフレッシュできるはずです。50歳になっても60歳になっても、休日に大好きなスポーツを楽しみ、その後にビールを飲みながら、仲間と話に花を咲かせる――そんな幸せな環境を作るために、少しでも貢献できたらいいなと考えています。

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2014.06.16 UP