会津牛

福島県

会津牛

盆地特有の寒暖の差が激しい気候と肥沃な大地、 清廉な天然水が支える、黒毛和牛「会津牛」

盆地特有の寒暖の差が激しい気候と
肥沃な大地、清廉な天然水が支える、
黒毛和牛「会津牛」

太平洋と阿武隈高地に挟まれた「浜通り」、阿武隈高地と奥羽山脈に挟まれた「中通り」、奥羽山脈と越後山脈に挟まれた「会津」と、大きく3つの地域からなる福島県。県の西側に位置し、同県の面積の4割を占める会津地方は、中心部が盆地となっており、山間部から流れ込む河川に沿って平地が点在する。四季の移り変わりがはっきりとした寒暖の差が大きい気候風土、粘土質の肥沃な大地と清廉な天然水により、日本有数の良質米をはじめ、農作物の栽培に適した地域でもある。肉用牛肥育や和牛仔牛生産が盛んなこの地で肥育されているのが「会津牛」だ。

今回、会津若松市から車で約40分ほどに位置する喜多方市塩川町で畜産経営が今年で50年になる中川幸谷さんの肥育畜舎を訪ねた。長年、高品質の牛肉生産に取り組んできた同地区では「姥堂牛」や「塩川牛」の名称を前身に「ふくしま会津牛」と一本化。地元JAが一体となり平成17年に商標登録証を登録しブランド化の促進を積極的に展開してきた。現在は、県食肉流通センターのほか東京・芝浦の東京食肉市場の2市場へ出荷。「会津牛」は各種肉牛共励会において数々の受賞歴を誇り、全国トップクラスの肥育産地として高い評価を得ている。

旅の1 石川県 加賀れんこん

きめ細やかな霜降りと柔らかな肉質、
常温でもとろける甘みのある脂が特徴

のどかな田園風景に囲まれた塩川地区は、会津地域の中でもトップクラスの成績を収める肉牛の先進地。中川さんはここで、40頭前後の肉牛を飼養している。黒毛和牛の場合、市場で高く評価されるには血統が重要な要素となる。会津牛は福島県の家畜市場、鹿児島、宮崎、長崎などの産地から生後9ヶ月前後の肥育素牛を買い付け。6か月間はビタミンを多く含む乾牧草を十分に与え、肥育期間20〜22カ月で会津こしひかりの稲わらと8種類の穀物を配合した飼料で肥育。800キロの大きさまで育て上げる。

今回4月に出荷されるという牛を見せてもらった。肉づきがしっかりとして、背中の中央部分がくぼんできたら、仕上がってきた証拠だという。「会津牛の素牛はサシが入りやすい血統で、3代前までさかのぼって選んでいます。そのせいかこれ以上ないという霜降りが入り、市場でも期待されるようになりました。“米どころ”は“酒どころ”とも言われるように、水がきれいな喜多方には酒蔵も多い。うちの牛も万年雪を頂く霊峰・飯豊山からの伏流水をたっぷり飲んで育ちます」と、中川幸谷さんは言う。

会津牛は、色鮮やかできめの細かい良質な霜降りと柔らかな肉質、常温でもとろけるような甘みのあるねっとりとした脂が特徴。市場での評価が高いため地元ではなかなか味わえないそうだが、県内の飲食店や旅館ではステーキをはじめ、すきやきやしゃぶしゃぶで美味しさを広めている。その一方で、会津牛の生産者は高齢化に伴い年々減少傾向にあると言う。会津牛のみならず、霜降り肉に代表される黒毛和牛は先人たちが育種・改良を重ねた結晶であり、誇るべき財産。会津の自然の恩恵を受け、生産者が愛情を注ぎ、ブランド牛を守り継いでいることを実感した訪問だった。

福島県の
地産地消事情

気候風土と自然に恵まれた会津地方を中心に
“食の王国・福島” の復活に掛ける

米、野菜、果物など全国有数の農産物山地である福島県。浜通り、中通り、会津と気候風土が異なる3つの地域では、地元の食材を生かした食文化も育まれている。今回取材した会津では、「会津牛」(写真左)や全国各地の米の美味しさを比較する「米の食味ランキング」で毎年高い評価を得てきた「会津米」をはじめ、450年以上も前から会津地方にのみ生息してきた貴重な地鶏を元に交配を重ねた120日間平飼い肥育の「会津地鶏」。赤身を特徴とし、栄養豊富な「会津産馬肉」など、ブランド化にも力を入れてきた。2012年3月11日の震災以降、食の王国・福島を復活させるために、放射能モニタリング検査で安全性が確認された福島の食材を使ったイベントを展開したり、地元の大手スーパーと協力し、県内での消費拡大に取り組んでいる。