かつお

高知県

かつお

伝統漁法、土佐の勇壮な一本釣りで釣り上げる 高知の食文化になくてはならない旬魚「かつお」

伝統漁法、土佐の勇壮な一本釣りで
釣り上げる高知の食文化になくては
ならない旬魚「かつお」

四国の最も南に位置し、北側に四国山地、南側に太平洋が広がる高知県。東西に伸びる地形により海岸線は714キロと長く、室戸岬と足摺岬に囲まれた土佐湾沖を流れる黒潮の恵みを受け、古くから漁業が発展してきた。中でも盛んなのが「かつお漁」で、勇壮な土佐の一本釣りは有名だ。かつおという魚は身が弱く、網で捕獲すると魚同志がぶつかり合い身が傷むため、土佐では古くからいわしを撒き餌に1本1本釣り上げる独特の漁法が受け継がれてきた。今回、初夏を告げる魚「かつお」を求め、高知県中土佐町久礼を訪れた。

高知市から南西へ47キロ、数々の岬を織り成す久礼は400年の伝統を誇る一本釣り漁の中心地であり「鰹乃國」を謳う小さな漁師町だ。漁獲量は黒潮町佐賀に次いで、土佐清水と並ぶ。回遊魚であるかつおはフィリピン沖で生まれ、黒潮にのって台湾近海から土佐沖を通り、三陸沖から北海道沖へと北上。サンマやイカをエサに成長し、海水温が下がりはじめる秋にUターンして南下する。4〜6月に水揚げされたものは「初かつお」、9〜11月にかけて土佐沖に戻ってきたものを「戻りかつお」と呼び、この時期に最盛期を迎える。

旅の3 高知県 かつお

捌いてみないとわからない難しい魚。
酸味、甘み、脂と味の違いを楽しむ。

一本釣り漁船はなぶら(群れ)を追って移動しながら漁を行い、漁を終えるとセリ値の高い水揚げ港を目指す。久礼には15tクラスの漁船が5隻あり、シーズン中は常に漁に出て、「日戻り」で鮮度の高いかつおを3〜4t前後水揚げする。高知県沖には表層型浮魚礁(ブイ)を浮かべた黒潮牧場があるそうだ。かつおなどの回遊魚が流木の周辺を泳ぎ回る性質を利用したもので、このブイを設置したことにより長時間、効率的な漁が可能になった。

「久礼港でいえば、去年と比べて出足はいいですね。黒潮の流れの関係で、土佐沖を通るあたりが丁度いい脂ののりになっている。地の利が良いことも幸いし、久礼では質の高いかつおが獲れるのです」とは、久礼漁業協同組合 参事の溝渕晃久さん。

セリを終えたばかりの活きのいいかつおを販売する、久礼大正市場に向かった。初かつおは3〜4キロのサイズが多く、高値が付く。高知県の郷土料理「皿鉢料理」に盛り込みやすいというのが理由だ。かつおはさばいてみないと良し悪しがわからない難しい魚だと聞く。仕入れたうちの2、3割は使い物にならないらしい。

「ここに住んどる漁師のおっちゃんらは獲りたての味を知っているから、かつおにはえらい厳しい。目利きはずいぶん鍛えられた」と、田中鮮魚店の田中隆博さんは言う。地元の人間はまぐろには目もくれず、かつおにはお金を惜しまないそうだ。「1本1本味が違う」といい、鉄分を多く含む魚独特の酸味、甘み、脂ののりを楽しむのだという。鮮度が高いため久礼や須崎の地元では刺身で食すのが一般的だが、藁焼きで一気に皮目を炙った「たたき」も格別だ。

水揚げ量でいえば高知県は全国6位だが、一本釣りという独特の漁法と、藁焼きで「たたき」にする誇るべき伝統の食文化が、かつおの名産地として知らしめている所以だろう。

高知県の
地産地消事情

「おいしい風土」をシンボルに掲げ
豊かな地産地消食材の発展に力を注

地産地消を推進する言葉として「おいしい風土」を掲げる高知県。農作物では生産量日本一を誇るしょうがや全国シェアのトップクラスを占めるニラ、郷土の食文化に根ざす「県の魚」かつお、海外では高級魚の「マヒマヒ」として知られるシイラなどの魚介に、全国初の卵肉兼用地鶏「土佐ジロー」など。数々の海の幸山の幸が高知産を代表する地産地消食材に名を連ねている。近年では地域内に直売所をはじめとした多様な販売ルートを確保し、学校給食では食育の場として活用するなど、地産地消の取り組みによって地域の活性化を図っている。高知県の地域食材、生産者、郷土料理、直販所マップなど地産地消に関するさまざまな内容をホームページ「おいしい風土こうち」に掲載し、情報発信している。