金目鯛

静岡県

金目鯛

日戻り操業の一本釣りでブランド化を図る 鮮度抜群、脂がのった高級魚「稲取キンメ」

日戻り操業の一本釣りでブランド化を図る
鮮度抜群、脂がのった高級魚「稲取キンメ」

日本のほぼ中央に位置し、南側に遠州灘、駿河湾、相模灘に沿う約500キロもの海岸線、北側に富士山、西側に浜名湖を抱く静岡県。海、山、湖とバラエティに富む自然と温暖な気候に恵まれ、県内では農林水産業が大きく発展してきた。とりわけ水産業は盛んで、変化のある海岸域や黒潮の恵みを受けた沖合、遠洋など様々な漁業が営まれ、国内有数の水産県として知られている。かつお、しらす、桜海老など数ある特産品の中でも、静岡を代表する魚といえば「金目鯛」。今回、風穏やかな冬晴れの日、伊豆半島・東伊豆町にある稲取漁港を訪れた。

東伊豆町随一の規模を誇り、遠く沖合に伊豆大島を望む稲取漁港。この港に水揚げされる金目鯛は「稲取キンメ」と呼ばれ、首都圏の市場では高値で取引されている。稲取キンメはまだ暗いうちに出港し、日の出とともに漁をはじめ午後4時までの日戻り操業で一本釣りする金目鯛のこと。一尾ずつ丁寧に釣り上げられると、船上でただちに水氷保存。脂がのって味がよいことから、遠方の海域で獲れる「沖キンメ」とは区別して扱われるそうだ。今年6月に地域団体商標に商標登録され、「関さば」「関あじ」同様、今後はさらなるブランド化を図るという。

鮮やかな赤色と金色に輝く大きな目玉
背が丸く腹がずっしりした小太り型が美味

稲取では明治時代から金目鯛漁を行っていたという記録があるそうだ。現在は約50隻の漁船が、稲取沖合で漁を行っている。

「陸に山があるように、海中にも山がある。夜明け前に、金目鯛は海山のてっぺんにいて、そこを目がけて短冊に切ったイカ、サンマやサバの切り身をえさに付けた仕掛け針を下ろし、一本釣りする。浅くても240メートル、深いところでは600メートルもあります」とは、伊豆漁業協同組合・運営委員長の鈴木精さん。聞けば今年は例年になく不漁だという。年明け1〜3月までは好調だったが、春以降、漁獲高は伸び悩んでいるそうだ。「底にいる魚とはいえ、温暖化の影響により黒潮の流れが強くなると漁も加減が難しい。かといって潮の流れがなければ魚は活性化されない」と言う。

稲取漁港では午前10時前後から船が一艘、また一艘と沖から戻り始める。水揚げされた金目鯛は漁協職員が大きさを選別し、すぐさま保冷庫の氷水で保存。なるべく外気に触れさせないよう配慮が行き届いている。獲れたての金目鯛は背びれこそ真っ赤だが、腹は薄い桜色で銀色を帯びていることから「ぎんでい=ぎん鯛」とも呼ばれているという。目は金色で透き通ったものほど新鮮で、体長よりも厚みを重視。背中が丸みを帯びて、腹がずっしりとした小太り型が美味しいそうだ。金目鯛は年間を通して水揚げされるが、産卵直前の6〜7月と冬場は脂ののりがよく、年2回の旬が楽しめる。刺身や煮付け、焼物、しゃぶしゃぶなどの鍋など幅広い料理と相性がいいのも人気の理由だ。

「稲取キンメ」と商標登録して以降漁は芳しくないが、来年は豊漁となることを願うばかりだ。

静岡県の
地産地消事情

海と山と温暖な気候に恵まれた、
静岡県産の農林水産物。

自然環境と温暖な気候に恵まれた静岡県。日本一のお茶の産地であり、温室メロン、わさび、温州みかんなどが広く知られている。水産業ではうなぎの養殖をはじめ、桜海老、しらすなどの沿岸漁業、かつおやまぐろなどの遠洋漁業も盛んだ。豊富な県産農林水産物による県民の豊かな食生活実現のため、毎月23日を「ふじのくに地産地消の日」、毎月19日から23日を「ふじのくに地産地消週間」と定めて地産地消運動を推進。また、静岡で生産した美味しい青果物を美味しいうちに地元で消費しようと「しぞーか野菜(果物)de 旬生活!」をキャッチフレーズに、露地栽培ものに限らず、ハウス栽培の青果物を含め、静岡県産の青果物を旬の時期に消費する取り組みを進めている。