千葉県

マッシュルーム

世界一食べられている「きのこ」  香りと旨味が詰まった健康食品。

きのこの芳醇な香りと軽快な食感。
多彩な料理にも使える高い汎用性、
食卓を彩る千葉のマッシュルーム。

温暖な気候と首都圏に位置する立地条件に恵まれた千葉県は、農業産出額全国第3位、海面漁業漁獲量全国第5位を誇る農林水産県だ。産出額第1位の落花生、日本なし、大根、漁獲量第1位のマイワシをはじめ、全国に誇れる品目も数多くあり、「食の宝庫」として首都圏への食糧供給を担っている。

千葉県北東部、房総半島の東側に広がる全長66キロもの海岸線が有名な九十九里浜に面する、旭市。2005年に旧・旭市と海上郡飯岡町、海上(うなかみ)町、香取郡干潟町が合併したこの市は、県内屈指と知られる農水産物の生産地。農作物の産出量は県内1位、漁獲量は県内2位を誇る。そんな旭市にある海上町は、稲作・畜産と並んでマッシュルーム栽培が盛んな地域。聞けば千葉県は、マッシュルームの収穫量が全国1位だそうだ。

日本に初めてもたらされたのは、明治の中ごろ。人工栽培に成功したのは1922年と、その歴史は意外と古い。日本では缶詰のイメージが定着しているが、英語で「きのこ」を指すように、欧米で「きのこ」といえばマッシュルームというほど浸透している。近年は生鮮品としての認知度も上がり、ヘルシー志向の高まりから需要も増えているようだ。特有の甘みと旨味、弾力に歯触りも魅力で、タンパク質、ビタミンB1・B2、カリウム、食物繊維も豊富。低カロリーでアミノ酸、グルタミン酸を多く含む健康食品のマッシュルームを求めて、JAちばみどり海上マッシュルーム組合組合長・佐久間俊和さんを訪ねた。

マッシュルーム栽培をはじめて46年になるという佐久間さん。栽培は室内で「菌床栽培」と呼ばれる方法で行われる。まず、馬の敷きワラ(厩肥:きゅうひ)に鶏糞を混ぜて屋外で1次発酵させた後、室内で2次発酵させる。発酵の際には60〜80℃程度の発熱をするため、この熱で有害な病害菌が除去でき、マッシュルーム菌がよく繁殖するそうだ。この後、種菌をまいて上からピートモス(農業用土)をのせていく。植菌したばかりの堆肥を見せてもらうと、ところどころ白くなっているのがわかる。マッシュルームの菌糸が十分に伸びている証拠だ。「ここからの成長はあっという間」と、佐久間さん。室内の温度と湿度を下げることで人工的に秋にしてやり、成長を促していく。収穫前のマッシュルームともなると、厚さ22cmもある堆肥のベッドに菌がびっしり詰まっている。毎日適量の水まきをし、17〜19℃に温度を保って管理をしていく。成長して密集すると形が悪くなるため、これ以上大きくならないと見極めながら、傷つけないようマッシュルームをひとつひとつ手で収穫していく。かさの部分を持ってくるっとひねると、プチッと軸が外れて簡単に採れる。

「海上のマッシュルームは無農薬で周年栽培を行っています。品種は白色種、クリーム種、ブラウン種とありますが、白色を主に栽培しています。作付は年間20回以上。1つの堆肥のベッドで3回は育てられる。足が早いので、収穫したら軸を落として水洗いし、乾燥させてからパック詰め。マッシュルームは栽培よりも、出荷に手が掛かる」と、佐久間さんは言う。
採り立てを食べさせてもらったが、驚くほどみずみずしくて香りが圧倒的。歯触りも良く、新鮮なのでえぐみも一切ない。見るとカサの内側がピンク色をしている。鮮度の証だ。

地元ならではの食べ方を伺ったところ、味噌汁や豚汁の具にすることが多いという。その日にいただいたマッシュルームで試したところ、貝のような旨味があり深みのある味わいが楽しめる。グルタミン酸由来の旨味なのか、豊かで食感もいい。何より簡単だから、日常的に食べられるというのもいい。シチューなどの煮込みやスライスしてサラダにと、汎用性も広いマッシュルーム。ヘルシーな食卓の一助となる地産地消食材だ。

千葉県の
地産地消事情

首都圏の台所を支える食糧供給基地。
マイワシや落花生、豚肉も高評価。

年間を通して温暖な気候と平坦で肥沃な大地が広がる、千葉県。四方を海に囲まれ河川も多く、首都圏に位置する好立地により農水産物の生産が盛んだ。特産品の落花生は国内産の7割を生産。「千葉半立」「ナカテユタカ」などの品種があり、畑でゆっくりと自然乾燥させる千葉県産の落花生は味の良さで評判に。緑区士気で300年以上前から栽培されている「士気(とけ)からし菜」など伝統野菜もあり。畜産は全国第5位の養豚県。やや小ぶりな中ヨークシャー種・富里町のダイヤモンドポークは時間をかけて肥育されるため、脂身は白く輝き、肉質はきめ細かくジューシー。市場価値も高いという。水産物でいえばマグロやカジキ、金目鯛の水揚げで知られる銚子、勝浦は全国屈指の漁場。銚子港はマイワシの漁獲量日本一。県をあげて地産地消を推し進め、首都圏を中心に安定供給を確保している。