栃木県

いちご

芳醇な甘さとみずみずしい味わい。
ビタミンCが豊富なパワーフルーツ。

45年連続、生産量日本一。
生産者のたゆまぬ努力が
品質を支える栃木のいちご。

世界遺産の日光の社寺をはじめ、日光国立公園に奥日光の湿原、渡良瀬遊水地など、歴史や文化、豊かな自然にも恵まれた栃木県。関東平野の北部に位置する内陸県であり、県内では広大な農地や良質な水源をもとにした農業や酪農・畜産業が盛んだ。

生産量日本一を誇る「かんぴょう」と並ぶ栃木県の特産品といえば「いちご」。収穫量は45年連続日本一を誇っている。栃木県は冬の日照時間が長く、肥沃な大地と水に恵まれており、いちご栽培には適しているそうだ。今回は収穫シーズンで忙しいさくら市の農家、笹沼恵介さんの畑を訪ねた。

東北自動車道の矢板インターから車で15分ほど。杉林に囲まれた田畑の一角に、笹沼さんのいちご畑はあった。寒い季節や気温が下がる夜間にはウォーターカーテンで保温するというビニールハウスに入ると、いちごの甘い香りが漂ってきた。こちらで育てているのは、鮮やかな赤い色と食味の良さで全国的に人気がある「とちおとめ」。県内の主力品種だった女峰の後継品種で、形の良さ、色鮮やかさを受け継ぎながら、粒はより大きく、果肉は柔らかくジューシーなのが魅力で、栃木県内の9割以上が「とちおとめ」を栽培しているという。

毎年9月中旬に苗を植え、ミツバチの助けを借りて受粉して2ヵ月もすると収穫できるそうだ。収穫は11月からスタートし6月上旬まで続けられる。真冬は朝の7時前後から、春になって日の出が早くなると5時から畑に出はじめるという大変な作業だ。いちごはとてもデリケートで、収穫は人の手でひと粒ひと粒丁寧にもぎとっていく。指と指の間にいちごをはさんで、茎の部分をくるりっとひねると簡単にもげた。よく見ていると、赤く色づいた実だけでなく、まだ小さく白い実ももいでいる。いちごの苗が重たくなって垂れ下がるのを防ぐのだそうだ。

「いちごは量を収穫しようと思うと水をたっぷり与えなければならず、水を与えすぎると味わいも水っぽくなる。それに大きな被害をもたらす、たんそ病などの怖い病気もあるので、なかなか難しいですよ。いつもいちごのご機嫌をうかがっています」と、笹沼さんの奥さん。毎日の味見は欠かせないそうで、「味を見るのも仕事です」と快活に笑う。

笹沼さんのお宅では品質管理にもこだわり、誰が収穫して、誰が出荷したかも分かるシステムを導入している。「だからみんな責任を持っていちごを傷めないように収穫して、傷めないように大事にパック詰めしています」。

「とちおとめ」に加え、2012年には「スカイベリー」も登場。高級ブランドとして開発された期待の新品種で、「とちおとめ」と比較すると果実は大きく、きれいな円すい形で、艶やかな光沢がある。みずみずしくジューシーな味わいで、酸味が少なく甘さが際立ち理想的なバランスを保っている。

 笹沼さんの奥さんによれば「真っ赤に色づいて形がいいものを選びがちだけれど、ややオレンジ色がかったさわやかな色で、へたは濃い緑色をしていてクルンと反り返っているものが美味しい」そうだ。鮮度の高いものほど香りが高いのも特徴。いちごはへた側ではなく、先端の方が甘味は強い。へた側から先に食べるとより美味しく味わえる。

いちごはへたを取り除けばすぐに食べられる手軽さがあり、ビタミンCが豊富なくだものの代表格。成人1人分1日あたりに必要なビタミンCは5粒で補える。見た目も愛らしくて栄養のあるパワーフルーツ。春の訪れを感じながら、ぜひ味わってみたい。

栃木県の
地産地消事情

かんぴょう、いちご、二条大麦。
自慢の“生産量日本一”食材。

栃木県といえば、全国シェア98.6%を誇る「かんぴょう」が有名。大きな「ゆうがお」の実を薄く長くむいて天日干しにしたもの。かんぴょう干しは夏の風物詩だ。「いちご」「二条大麦」も全国ナンバー1の生産量だが、カルシウムやカリウム、鉄分が豊富な緑黄色野菜であり、宇都宮の“ぎょうざ”にも使用される「にら」も全国トップクラス。国内生産量の3割を占める。鮮度の高いにらが手に入りやすいことも、宇都宮にぎょうざが広まった一因と言われている。濃い緑色でみずみずしくハリがあり、強い旨味と自然な甘さで市場から高い評価を得ている。かつては生産量日本一を誇っていたが、生産者の高齢化や後継者不足によって栽培面積や出荷量が減少。2006年以降、高知県にトップの座を奪われているが、12年度から「ナンバーワン産地奪回運動」をスタート。生産技術の向上、販売促進、後進の育成を実施し、産地の維持、発展に努めている。