バーミキュラ 愛知ドビー

元気が出る会社

バーミキュラ

愛知ドビー

“自分たちの技術で世界にないものを”
会社存続の危機感から、
老舗鋳造メーカーが生み出した
予約待ち必至の鋳物ホーロー鍋。

“素材本来の味を引き出すことができる”と大評判を呼ぶ、鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」。“世界最高の鍋”をコンセプトに、日本の職人が技術を結集させて作り上げた同製品は、ユーザーから絶大な信頼を得て発売から4年以上が経った現在も予約納品待ちの状況が続いている。この製品の大ヒットで一躍注目のメーカーとなり躍進を続ける愛知ドビー株式会社の3代目社長である土方邦裕氏と副社長の土方智晴氏にお話を伺った。

「もともと弊社は社名が示すとおり、“ドビー織”という織物を作る繊維機械のメーカーでした。でも時代の変化とともに、船舶などで使う精密部品類を製造して発注元に収める、いわゆる下請けの仕事が主になっていきました」(邦裕) 「ただ今の時代、下請けで企業からの仕事にだけ頼っていては心もとない。そこでこう思ったんです。自分たちで一から商品を企画開発して製造販売する“メーカー”にもう一度トライしてみようと」(智晴)

こう二人が語るように会社の将来への危機感から生まれたのが実は“バーミキュラ”だった。会社の強みを考えたとき、二人は鉄を溶かして形を作る「鋳造」と、その鋳物を精密に削る「精密加工」の技術と確認。“この自慢の技術を生かして、世界にないものを作れないか?”と模索する中で、鋳物ホーロー鍋にたどり着く。

アフターサービスが入ってこそ、
初めて“メイド・イン・ジャパン”。
購入されたオーナー様の喜びが
職人の活力にもなります。

「調べてみると鋳物ホーロー鍋は世界で人気が高い。でも、密封性が低く無水調理ができないことから、密封性が高く素材の栄養素を壊さない無水調理ができるステンレス製の鍋の方が、鍋としての高評価を得ている。ただ、実際に双方の鍋で料理をしてみると格段に鋳物ホーロー鍋で作った方がおいしく感じる。ならば、無水調理のできる鋳物ホーロー鍋が、世界最高の鍋になるのではないのではないだろうか?と。当初は、うちの高い技術をもってすれば3ヶ月で出来ると高をくくっていました。でも、いままでそういう鍋がなかったということには理由があるわけで、現実は甘くなかった(苦笑)」(智晴)
「ただ、そこは“メイド・イン・ジャパン”のこだわりのものづくり、職人の意地と確かな技術で次々と出てくる課題をクリアして1万の試作を経て完成に至りました」(邦裕)

こうして鋳物ホーローの保湿性と遠赤外線効果は、他社製品に比べ、加熱によるビタミンCの損失を2分の1程度に抑えられ、β-カロテンに関してはほとんど失われず、糖度を高いまま調理できるなど、食材の組織を壊さず、無水調理を可能にした世界にいままでない鍋“バーミキュラ”が誕生。“肉・魚・野菜の本来の美味さを最大限に引き出すことができる”と口コミが広がり、同製品は瞬く間に大ヒットとなった。今も手にしたお客さんから多くのメールや手紙が毎日届くという。

「チャレンジが実を結び、業績につながったこともさることながら、それ以上に現場で働く職人たちが自分たちのものづくりに自信と誇りを取り戻せたことが大きい」(邦裕) 「入社したときから何より気がかりだったのは、いまひとつ冴えない職人たちの表情でした。やはり職人は新たなものを生み出すものづくりをしてこそいきいきと輝く。そのメーカー魂が復活したというか。お客さんからダイレクトに届く喜びの声を見た職人にはやる気と笑顔が、職場には活気が戻りました」(智晴)

精密部品を作る町工場がメーカーとして鍋を作ることはまったく勝手の知らない異業種分野への参入でもある。その中で愛知ドビーがすばらしいのは鍋の製造・販売で終わらせていないこと。バーミキュラを使ったレシピ本を作ったり、食育のイベントを開催したりと、食と健康に関する提案にも力を注いでいる。

「バーミキュラを開発する過程で、実際に他の鍋と比べての調理法による栄養素の変化などさまざまな検証を重ねました。それで自分自身も食と健康について見識を深め、これは購入してくださったお客様とも情報を共有したいなと。普段、皆さんが作られる家庭料理で使われる製品ですから、当然、食と健康に深く関わるわけで。そこも含めてお客様をサポートしていきたい」(智晴)
「バーミキュラのコミットメントのひとつが“購入した方を一生にわたってサポートする”こと。製品をそれこそ親子何代にも渡って愛用していだだけるようアフターサービスを充実させるとともに、お客様が健康な食生活を送れるようなサポートができるようにも心がけていきたいと思っています」(邦裕)

これからも顧客を第一に考え、ものづくりに励んでいきたいという。

「大量生産・大量販売などは考えずに、自分たちの目の届く範囲内でいいものを作っていきたい。そういうメイド・イン・ジャパンのものづくりをこれからも大切にしていきたいと考えています。現在、バーミキュラを手にしてくださった方にきっと喜んでいただける製品を開発中。今秋ぐらいにいくつか発表できるかと思います。期待してください」(邦裕・智晴)
※敬称略

PRESIDENT

KUNIHIRO HIJIKATA土方 邦裕

豊田通商に入社し、財務部門の為替ディーラーに。2001年、同社を辞め、愛知ドビーに入社。自社の技術をきちんとマスターしようと「鋳造」の現場に入り、その技術を学ぶ。家業を継ぎ、代表取締役社長を務める。

TOMOHARU HIJIKATA土方 智晴

トヨタ自動車に入社し、管理部門に勤務。2006年に兄の邦裕によばれる形で同社を辞め、愛知ドビーに入社。「精密加工」部門を任され、現場に入って技術を学ぶ。現在は代表取締役副社長を務める。

COMPANY

職人たちの経験と製品への強い思いが、
今までにない製造精度を実現させている。

1936年、現在の土方社長・副社長の祖父に当たる土方司馬一が土方鋳造所を創立。何度かの改称を経て、1965年に現在の社名「愛知ドビー」に。その社名になったようにドビー機の繊維機械メーカーとして発展する。その後、繊維産業の衰退もあって、精密部品の鋳造や精密加工の製造にシフト。メーカーへの再チャレンジとして2010年に発表した鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」が大ヒット。同製品は第4回ものづくり日本大賞で優秀賞を受賞する。また、昨年、経済産業省「がんばる中小企業・小規模事業者300社」に選定されている。
http://www.vermicular.jp/

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2014.05.19 UP