デニム カイハラデニム

元気が出る会社

デニム

カイハラデニム

国境を越え、男女の別も問わない
デニムに魅せられた絣の老舗。
日本の染め職人の技術の高さが
海を越えて評価されている。

あなたが男性であれ女性であれ、若い方であれご年輩であれ、ワードローブに、必ずひとつはお持ちであろう。それが、デニムだ。今やそれほどまでに当たり前な存在だが、その歴史は意外と新しい。広島県福山市。デニムの国内シェア50%を誇る「カイハラデニム」の貝原良治会長を訪ねた。

明治期に創業、「備後絣」の老舗としてあった同社は、国内はもとより中近東の商社経由で「絣サロン」をイエーメン、アデンへ輸出し大成していたが、世界情勢の変化により輸出が激減、逆風の中にいた。
「ちょうど’60年代の学生運動が盛んな頃のこと。反戦運動の学生たちが着ていたのがデニム、まぁいわゆるジーンズですね」
その爆発的人気から需要拡大を見込み、同社はデニム生産に舵を切る。工程が複雑で職人の練度も求められる絣染めに、付加価値が付けにくいという時代背景もあった。デニム生産は、生き残りをかけた大転換だった。

当時デニムはアメリカからの生地の輸入に頼らざるを得ず、日本に送られてきたのはいわゆるBグレード。質の落ちるものを買わされていたのが実情だった。
「絣とデニムでは染め方が違うんです。身体に例えたら皮と肉、骨まで染めるのが絣、皮と肉を染めて骨は染めないのがデニム。染めずに白く残る部分があるから色落ちに風合いが出る。いわゆるアタリが出るんですね。それさえ知っていれば、染める技術自体は、私たちにはありましたから」
アメリカデニムと同じ染め方が可能な「ロープ染色機」を自社開発。「やるなら輸出できるようなものにしなければ意味がない。No.1ブランドのリーバイス社に売れるものをつくらなければ」と誓ったという。その誓いは見事果たされ、今や国内唯一の紡績、染色、織布・整理加工の一貫生産業者として、同社が作ったデニムは日本国内で取り引きされているのはもちろん、米国リーバイス社へも輸出されている。
「絣で日本一になったら、それは世界一です。よその土地にはありませんから(笑)。でもデニムは違う。各国の服飾関係者との付き合いや、工業として環境をケアする意識の高さ、デニムを扱うようになって世界の目線でものを見られるようになった。これは大きい」

古くても、穴があいていてもいい、
むしろ自分だけの一着として
ずっと長く付き合える。
デニムとは、エコな衣料である。

そもそもデニムは、ブルーワーカーの作業着として使われていたものだ。
「汗を吸うコットンで、頑丈。ノンウォッシュで店頭に並ぶので最初はカチカチ。平面裁断、低コストでジャンジャンつくる。そもそもブルーワーカーのブルーはブルージーンズから来ています。今のトレンドはソフト&ライト。ストレッチなどもそうですね。ダメージ加工の需要も多い」
染料に糸を漬けて、引き上げて、絞って酸化させる。これが藍染めの基本工程だ。その回数を多くするほど、堅牢な染めになる。ところが染める回数が多いほど、作業は複雑になるしトラブルの懸念もある。それを厭わない勤勉さと職人気質、「忍耐・希望・謙虚」という同社の気風が何よりの成功要因だ。糸、色、生地、そして加工の種類。糸の太いもの細いもの、藍色の濃いもの薄いもの、黒に近いもの色落ちしたもの…、時代とともにニーズが増え、同社はクオリティもバリエーションも、常に応え続けている。そもそも、プリウォッシュ、いわゆるワンウォッシュの新品は日本発祥だ。

今ではデニム地のスーツはもちろんモードの世界やウェディングドレス、ジュエリーに近いものまで、その役割は多岐にわたる。
「私もオフィシャルな場にはデニムのコサージュをつけて行ったりもします。染めや織の世界の人間だけでなく、いろいろなジャンルの人たちを巻き込んで行きたいし、それができるようになってきました」
良いものを長く使うスローファッションという役割も、デニムは担う時代になっている。

「デニムには国境も年齢も季節も宗教も関係ない。そして、例えばスーツが破れていたり、穴があいていたら具合が悪いでしょうが、デニムなら問題ない。わざわざ破ることもあるし、その方が高値で売買されもする(笑)。ビンテージデニムもそう。古いもの、つまりユーズドにも価値が出る。そんな繊維はありませんよ(笑)。むしろ自分用にカスタマイズしたMyジーンズになるんですね。なんなら切ってしまって短パンにだって、ほどいてスカートに組み合わせることだってできる。自分が好きなファッションが可能なんです。グランメゾンもリメイクしたものをコレクションで発表していますが、全く違和感がない。リユース。Re:オートクチュールですね」
地球にやさしく、持続可能な成長に欠かせないのが「リデュース・リユース・リサイクル」の“3R”だが、デニムはまさにうってつけの素材だろう。
「ジーンズは使い古すほど味が出るし、古着としても価値がある。何度も何度も、作り直すことだってできる。それだけ長い間付き合える、エコな存在だと言えます。他の衣料ではできないんじゃないかな」

PRESIDENT

YOSHIHARU KAIHARA貝原 良治

カイハラ株式会社代表取締役会長。昨秋、旭日小綬賞受賞。「ベストジーニスト」のプレゼンテーターとしても活躍。今秋、米国での綿花の会議に出席予定で、アリゾナ、フェニックスの綿花畑を見たり、世界の旧友に会うのが楽しみという。

COMPANY

徳あるところに、自ずと道は通じる
地方都市から世界へ、のお手本企業

明治26年創業。備後絣の家業から、昭和45年にデニム事業に転換。国内唯一のデニムの一貫生産企業に。地域密着を謳い、事実、社員の多くは地元からの採用で、史記にある「桃李もの言わざれども下自ずから蹊を成す」という座右の銘を地でいく。社員のユニフォームはもちろん上下デニム。

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2014.08.04 UP