イノベーション家電 バルミューダ

元気が出る会社

イノベーション家電

バルミューダ

我々がやりたいことは、
イノベーション。
イノベーションとは、
工夫+役にたつこと。

冬は暖かく、夏は涼しく――。快適に過ごす上で私たちの暮らしに欠かせない、空調・季節家電。“自然界の風”の再現にこだわった扇風機「GreenFan」シリーズで高級扇風機ブームの火付け役となったバルミューダは、今年で創立11年目を迎える家電メーカー。代表取締役社長・寺尾玄氏は、30歳のときにたった一人で会社を立ち上げた。それ以前はミュージシャンとして活動していたという異色の経歴を持つ寺尾氏に話を伺う。

2003年に有限会社バルミューダデザインとして始動した当初は、「デザインにこだわったプロダクトを開発しよう」と、ノートパソコン用の冷却台、デスクライトなどの開発・販売を手がけていた。だが、2008年に世の中をリーマンショックが襲い、その余波で会社の業績が悪化する。そのどん底の経験が、冷暖房分野への進出を決意させる。
「それまではやりたいことをやろう、作りたいものを作ろう、ということだけ考えていましたが、使ってくれる人が増えない、つまりは売れない中で、もっと多くの人にバルミューダの製品を使ってもらうにはどうしたらいいのかということを考えました。人間は困らないと考えないものですね(笑)」

そこで着目したのが、「扇風機」だった。地球温暖化などの環境問題が取り沙汰されはじめた時代に、エアコンのように高い消費電力を使わない「扇風機」はマッチした。
「まず、扇風機で提供したいものは“涼しさ”です。扇風機は風を送り出す機械というのはメーカーサイドの見解で、ユーザーが扇風機を使うのは“暑いから”です。風から涼しさは連想できるけれど、辞書をひけば違う概念。涼しさを提供することと風を送り出すことは違う、と私たちは考えました。風を涼しさに変えるためには、多くの“工夫”が必要だと。我々がやりたいことは、イノベーションです。イノベーションは工夫の一種ですが、工夫プラス役に立つことじゃないかと。工夫して製作した商品を世界中で役に立ててもらいたい。それが私たちのチームの壮大な夢です」

そして徹底的に“自然界の風”と“扇風機の風”の違いを調べたという。
「風のあたる面積、風速、風の形状など、さまざまな違いがありました。どうやって自然界の風を生み出すかが、私たちのイノベーション。結果、二重構造の羽根で風速差も気圧も違う二種類の風をぶつけて渦成分をなくしました。そうすることで、自然な“面”で移動する風を生み出す仕組みを発明したんです。ユーザーに“何を提供したいか”を考えることが、私たちのものづくり原点です」

給水タンクをなくした壺の形状の加湿器「Rain」など、従来にはない画期的なアイデアでさまざまなイノベーションを起こしてきた。すべての製品開発は、まずは実験から始まる。アイデアを出し、技術的な面で必要な大まかな計算をし、それが間違っていないかを確認するための実験機を作成。社内でその実験機は“原理試作”と呼ばれている。
「私たちがやっていることは、原理からの立ち上げなので、開発には強い気持ちが必要です。やり続ける、いいものを作るという強い気持ちがないと、お客様には届かないですから」

そんなバルミューダの新製品は、ホコリも音も立てず乾燥もしない“睡眠のための、まったく新しい暖房”「SmartHeater2」。ロイヤルスリープモードを使えば、室温は冬期の睡眠時に最適な15℃〜16℃に保たれ、起床時に徐々に20℃になるよう自動運転。質の良い睡眠とすっきりとした目覚めを提供してくれる。開発する際、まずは寝室暖房として優れているオイルヒーターに注目した。
「部屋を早く暖めるには、何かを燃やすのが一番です。でも寝室暖房となるとそうはいかないですよね。寝るときはホコリを立てても、燃焼ガスを出しても、火事になるような温度になってもいけない。そこで、寝室暖房として普及してきたオイルヒーターについてもう一度よく考えました。部屋が暖まるのが遅い、廃棄するのが大変といったいくつかの弱点は、アイデアで克服できるなと。そのときにふと“液体いるのかな?”と思ったんです。そこで我々が開発したのは、独自のアルミラジエーター。一枚の面状のシートヒーターの両側に、熱伝導に優れたアルミニウムのラジエーターを直接くっつける方式。これならオイルはいらないし、すぐ暖まる上に構造も簡単。このアイデアからSmartHeaterの開発が始まりました」

やり続ける、
良いものを作るという
強い気持ちがないと、
お客様には届かない。

バルミューダのすべての製品のデザインは至ってシンプル。「付加価値で差別化するのではなく、価値を高めるべき。価値を高めるには、むしろシンプルにするべき」というのが寺尾氏の持論だ。
「ヒーターからオイルをなくしたことで、部屋を早く暖める、静音性と安全性に優れた製品と“上質な睡眠”という付加価値が生まれました。私たちの製品は空調・季節家電がメインなので、結果、健康に結びつきますが、目指しているのはユーザーの人生を良くすることです。例えば美味しいパンを食べたとき、幸せを感じるじゃないですか。それは人生の良化につながっている。すべてのサービスはそのためにあると思うんです」

「健康な生活」を提供しながらも、トップとして多忙を極める自身の健康管理については、おろそかになりがち…。「なかなか時間がないんですが、運動したいとは思っています。きっと同じように思っている人は多いですよね。そこに対してサービスや商品はないかな?」と、また仕事の話に…。
「多くの人が困っていたり、やりたいのにできなかったり、といったニーズに新しいソリューションを提供するとポンと上手くいくことが多い。発想の原点は、大体不満や困っていることですから」

2013年からは海外展開を本格的に始動。今期の売上げの約3割は海外の顧客だ。日本で良いと思われている機能が海外では認められないなど、文化の差を感じることもあるが、「五感で感じる」ということを重要視して製作されているバルミューダの家電は、軽やかに国境を越える。
「良い風は良い風ですし、美しいは美しい。言葉も文化も関係なく受け入れられることが多いです。電気を使う道具はまだまだたくさんありますし、さらに良くするためのアイデアもたくさんあります。生きるために道具は必要ですが、数は少ないほうがいい。家電にはイノベーションポイントがたくさんありますから、今後もさまざまな“感覚”を提供していきたいと思っています」

PRESIDENT

GEN TERAO寺尾 玄

1973年生まれ。17歳で高校中退後、スペイン、イタリア、モロッコなどを旅する。帰国後、音楽活動を開始し、バンド活動に専念。2001年バンド解散後、もの作りの道を志す。独学と工場への飛び込みで設計、製造を学ぶ。2003年、有限会社バルミューダデザイン設立(2011年4月バルミューダ株式会社へ社名変更)。同社代表取締役。

COMPANY

最小限の要素やフォルム、エネルギーで
最大の効果をもたらす。

2003年3月「有限会社バルミューダデザイン」設立。2ヵ月後の5月、製品第一弾となる「X-Base」を、2008年には初の金型を使ったデスクライト「Airline」を発売。リーマンショックの余波を受けて倒産の危機が訪れるも、2010年4月に「GreenFan」を発売し業績を回復。高級扇風機ブームの火付け役となる。2011年、社名を「バルミューダ株式会社」に変更。2014「AirEngine」「SmartHeater」の2製品がドイツのiFの最優秀賞である「iFゴールドアワード」、日本では「Rain」「SmartHeater2」「GreenFan Japan」の3製品がグッドデザイン賞を受賞。

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2014.10.16 UP