キャラバンシューズ 株式会社キャラバン

元気が出る会社

キャラバンシューズ

株式会社キャラバン

創業から一貫してこだわるのは、
入門者が安全に登山できる靴づくり。

1956年、日本山岳会隊がヒマラヤ山脈の巨峰・マナスルに初登頂し、戦後の日本が沸いた。そのとき、隊員たちがベースキャンプまでのアプローチに履いた軽くて歩きやすい「キャラバンシューズ」を開発したのが、創業61周年を迎えるアウトドアメーカー、株式会社キャラバンの創業者・佐藤久一朗氏だ。何度も試作を重ねて作られたこだわりのシューズはのちに市販化され、トレッキングシューズの代名詞となる。創業者の想いを受け継ぎながら、さまざまなアウトドア製品の開発に取り組んできた株式会社キャラバンの鶴巻清哉代表取締役社長に話を伺う。

実はマナスル初登頂は、53年と54年の二度の挑戦を経て、三度目にようやく成し遂げられた。第一次マナスル遠征が決まった当時、日本にはまだ重装備の登山靴しかなく、ベースキャンプまでの長い道のりに履く軽くて歩きやすいシューズの開発が必要となる。そこで、日本山岳会に所属し、ヒマラヤ委員会の装備担当を任されていた佐藤氏に白羽の矢が立った。 「マナスル登頂は日本の威信をかけたプロジェクトでしたから、ほとんどの装備を日本製でまかなったんです。着火剤以外の登山道具は特注品で、アプローチ用の靴をつくる話になったとき、日本山岳会隊のリーダーの槇有恒さんが創業者の山岳部の先輩だったという縁もあり、開発を任されたそうです。もともと手先が器用な人で、多くの登山道具を自作していたこともあり、“あいつにつくらせてみよう”と」

佐藤氏は、アッパー(本体)には靴ずれしにくい綿帆布を、ソール(靴底)には濡れた地面でも滑りにくい凸凹が刻まれたゴムを採用し軽量化。隊員一人ひとりの足型を調べ、足にフィットするシューズをつくりあげた。登頂は果たせなかったものの、この画期的なシューズは隊員たちから「キャラバン」という愛称で呼ばれ称賛される。そして、「日本中の登山家や愛好者にこのシューズを履いてもらいたい」という声から、54年に前身となる株式会社山晴社を設立。56年のマナスル登頂達成の第一次登山ブームの追い風に乗って売り上げを伸ばし、幾度かのモデルチェンジを繰り返しながら総生産数600万足にも及ぶ“日本で一番愛されたトレッキングシューズ”となった。 「90年代後半には深田久弥さんの随筆『日本百名山』で第二次登山ブームが起きました。そして、“山ガール”や“富士登山”などの第三次登山ブーム。ブームには浮き沈みがありますが、その中でキャラバンが創業から一貫してこだわってきたのは、初めて山に行く方でも安全に登山できるための靴づくり。特にお子さんの場合、靴の中の状況が見えにくい。5〜6時間歩くと足がむくんだり、痛みだしたりと足の状態が変わってくるので、その変化を予測しながら独自に足型を作って形状を調節するなど、快適に登山を楽しめるよう、機能面にこだわって作り続けてきました」

競うのが目的でなく、自分のペースで進められる登山は長く続けられる趣味としても人気で、実際に登山愛好家には中高年の方も多い。健康寿命との関係性を聞くと、「身体を動かす体力的な面よりも、登ることによって生まれる達成感や仲間との連帯感といった精神的な面の健康に効果がある」と鶴巻氏は言う。 「人間は非日常的なことをやるのが一番楽しいんです。山という非日常的な環境で、普段はしないようなことをしたり、着ないような色のウェアを着たり。山頂で大きな声で叫ぶのも、日頃のストレス解消に良いですよね。あとは、変わりやすい山の天気や状況に対応できる知恵をつけると、精神的にもタフになる。できれば登山山行では1泊はしてもらいたいですね。山の静寂さや暗闇を味わいながら月明かりで過ごす経験は、日常に刺激を与えてくれると思います」

キャラバンは登山だけではなく、世界トップシェアを誇るドイツのブランド「LEKI」のポールを使ったノルディックウォーキングを推進し、さまざまな情報発信を行っている。クロスカントリーの選手が夏場に行っていたトレーニングを多くの人々が楽しめるように改良したスポーツで、フィンランドで始まり、現在では日本だけではなく、世界中から全身運動効果の高いエクササイズとして注目されている。 「ポールを使うことによって上半身を含むアクティブな動きができて、ただ単に歩くより運動量が増えるし、バランス感覚が落ちている方でもポールに支えられるので転びにくい。そういった点からリハビリにも多く用いられていますが、運動量が多いので、身体を動かしたいという高い意識を持たないと続かないかもしれません。登山もノルディックウォーキングもそうですが、外に出たいと思って行動する人は、気持ちが若いですよね。少なくとも私たちが開催するイベントに来られている方々は、本当に若々しい。“まずは外へ出よう”という気持ちが健康を維持することにつながるのではないでしょうか」

自身も山男として数々の山に登り「場数を踏んできた」という鶴巻氏。仲間とともに過ごし、助け合い、支えあった苦しくも楽しい経験は後の自分に良い影響を与えているという。この経験を次世代にどう伝えていくか?老舗アウトドアブメーカーとしての挑戦は続くーー。 「私たちが小さい頃は、小・中学校のときに学校登山がありました。今は実施する学校が少ないようですが、子どもの頃から課外授業として経験させることは大事だなと。学校登山以外でも、山で経験したことは、苦しみも楽しみもあったけれど振り返れば良い経験です。自分の子どもや孫はもちろん、多くの子どもたちに伝えていきたい。長くこの業界にいるわけですから、どのような形で私たちが貢献できるか、模索している最中です。これから同じような志を持つ同業者とともに考えて提案していきたいと思っています」

PRESIDENT

SEIYA TSURUMAKI鶴巻 清哉

株式会社キャラバン代表取締役社長。1975年に入社し、商品企画部や営業部などを経て、2011年に社長就任。自身も中学生時代はキャラバンシューズを履いて育つ。下町育ちでお祭り好き。

COMPANY

一足のシューズから始まった、日本の老舗アウトドアメーカー

1954年、マナスル遠征隊のために開発した「キャラバンシューズ」の販売を目的に株式会社山晴社を設立。登山ブームを追い風に売り上げを伸ばし、1958年ソールにトリコニーと呼ばれる鉄製スパイクを採用し、モデルチェンジ。1959年には当時困難だったナイロンとゴムの密着に成功し、アウトドアシューズの代名詞となった「キャラバンスタンダード」が誕生。高性能なシューズは高く評価され、1963年には総理大臣賞を受賞。1971年、株式会社キャラバンに社名を変更。創立60周年を迎えた昨年、創業時の社名を冠にした新ブランド「山晴社」を立ち上げ、Made in Japanにこだわったワンランク上のフィールド&トラベルウェアとして注目を集めている。
http://www.caravan-web.com
http://www.sanseisha-web.net

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2015.5.11 UP