ビール 木内酒造合資会社

元気が出る会社

ビール

木内酒造合資会社

日本発の世界に通用する
ビールを売っていきたい。


世界の名だたるコンテストで金賞に輝き、国内外の多くのビールファンから絶大な人気を誇る「常陸野ネストビール」。“世界でもっとも有名な日本のクラフトビール”と呼ばれるこのビールの製造元は、190年の歴史を持つ蔵元・木内酒造だ。日本の酒造りのノウハウを取り入れ、素材や味にこだわった“Made in Japan”のビールは年々需要を伸ばし、今では生産が追いつかないほどの人気となっている。伝統ある酒蔵でビール事業をスタートさせ、常陸野ネストというブランドを育ててきた取締役の木内敏之氏に、事業開始の経緯や今後の展開などについて伺った。

20年ほど前、酒税法改正に伴う規制緩和によって小規模ビール醸造が可能となり、全国各地に多くの醸造所が建設された。木内酒造もほどなくして日本酒の仕込みができない“夏場の事業”としてビール醸造をスタートさせる。だが、当初から木内氏の目線は国内ではなく海外に向いていた。
「当時は“地ビール”と呼ばれていたのですが、私たちはいわゆる観光地で販売するビールを作るのではなく、日本発の世界に通用するビールを作って海外に売っていきたいと考えていたのです」

醸造設備は海外から直接購入し、酒蔵の一部を改造したビール工場に社員自らが設置した。身をもって醸造の過程を学びながら初期費用を大幅に削減。その分、モルトやホップといった素材にこだわった味わい深いビールを造ることができた。そういった技術者たちの努力はすぐに実を結ぶことになる。1997年に大阪で開催された日本初のビールコンテストで金賞を受賞し、その後は2000年、2004年のワールドビアカップでのゴールドメダルなど、国内外の数多くのコンテストで高く評価され、「常陸野ネストビール」の名前は世界に広まった。
現在は、新作などをあわせて常時15種類ほどの銘柄が並ぶ。中でも一番人気なのは、コリアンダー、オレンジピールなどのスパイスの味わいが爽やかな「ホワイトエール」だ。海外では“ジャパニーズ・ホワイトエール”と呼ばれ、愛されている。「NIPPONIA」は、日本で交配されたビール麦の原種「金子ゴールデン」を復刻栽培し、同じく日本で育種されたホップ「ソラチエース」を使った日本でしか作れないビール。新作の「セゾン・ド・ジャポン」は、日本酒の麹と酵母に柚子を合わせて開発された季節のビールで、いずれも日本色が全面に打ち出されている。
「アメリカ、ヨーロッパから求められているのは“Made in Japan”であって、アメリカやヨーロッパのコピーではないのです。我々は日本の材料や技術を上手く使って、日本だからこそ造れるビールを常に考えています。ビールのレシピは社員のアイデアから生まれるのです。」

本物を追求しながらも
“楽しい”ことをしたい。

海外も含めた需要は現在の供給量の4倍はあるといい、6月には本社から5分ほどのところにある額田醸造所の規模を拡大し、供給量を増やす。そして、8月には昨年完成した韓国工場に続いて2つ目の海外拠点となる香港工場が完成予定だ。
「醸造所を拡大し、工場を増やして生産量を2倍にしてもまだまだ足りない状況ですが、広めながら小出しにしていくのも、マーケティングの手法のひとつだと思っています。特に日本のアルコールマーケットは、売りすぎないことが肝心。売り出す前に、欲しがってもらえる状況をいかに保つかが重要なのです。営業するのではなく、欲しいと言ってもらえる出荷先を徐々に増やしていけば、長く売り続けることができる。もともとお酒って、地域にある原料で地域の人が作り、地域の人が飲むという形だったのです。ただ、地域だけで売っていると価格のバランスを取るのが難しいので、この土地で育まれた豊かな材料を生かして作ったものを世界に売って行く。これが私たちのビジネスです。もともと那珂市は日本一の麦の産地で、水もとてもきれいですから、ビール造りには適した土地なのです。」

取材前に額田醸造所を案内していただいたのだが、働いている社員は若く熱心な人々が多い印象を受けた。木内酒造では、社員が新しい文化を学べるように、海外研修制度を取り入れている。木内氏自身も年間20回くらいにアメリカを始めとした海外諸国を訪れ、たくさんの刺激を受けているという。
「一番大切なのは新しい文化を学ぶこと。そのために多くのスタッフを海外研修に派遣します。私も先日、アメリカに行ってきたのですが、全米の代理店の方々に集まっていただき、常陸野ネストがどのように評価されているかを聞いてきました。面白いビール、売れるビールだという声を多くいただき、供給量をいかに増やすかが今後の課題だとは思いました。でも、供給量を増やすためにアメリカに工場を建てるのは違うのです。アメリカやヨーロッパからは“Made in Japan”が求められている。その国の事情にあったマーケティングが大事です。また、アジアは欧米とは、ビール文化の歴史が違います。アジア戦略の為に、韓国、香港に設置した自社工場を活用していきます。日本も含め、アジアではクラフトビールの文化がまだまだ浸透していないので、これからさらに広めていきたいですね。」

今年1月には、神田マーチエキュート内に手軽にビール造りが体験できる「常陸野ブルーイングラボ」をオープンしたばかり。さらに、拠点となる都市に宣伝効果を持つ場所を作りたいという思いから、「常陸野ネストビール」と和牛、蕎麦が楽しめるレストランを今年10月にサンフランシスコにオープンするなど、“世界の木内酒造”への勢いは止まらない。
「世界に物を売りたいなら、売れる物を作る。もしくは発掘することが先ではないかなと思います。まずは日本の本当に良い物を探して、美味しい物を作る。それだけです。美味しいお酒と料理があると楽しいですよね。本物を追求しながらも“楽しい”ことをしたい。それが我々の仕事でもあるかなと。このコンセプトはこれからも守り続けていきたいですね」

PRESIDENT

TOSHIYUKI KIUCHI木内 敏之

木内酒造合資会社取締役。1963年、茨城県生まれ、1986年に木内酒造合資会社入社。1986年に取締役に就任。1994年の規制緩和を受け、1997年にビール醸造免許を取得し、「常陸野ネストビール」の醸造を開始。常に「本物」にこだわり続け「常陸野ネストビール」を世界に広めた立役者。

COMPANY

1823年(文政6年)に創業した茨城県那珂市にある酒造メーカー

木内酒造合資会社
1823年(文政6年)に創業した茨城県那珂市にある酒造メーカー。清酒「菊盛」の酒蔵として古くから地元の人に愛されてきたが、1997年に「常陸野ネストビール」の醸造を開始。バラエティ豊かな多くのクラフトビールを造っている。2000年からは輸出事業を開始し、現在ではアメリカを始め30ヵ国以上に輸出している。さらにはビール造りが体験できる工房や、本社の中や水戸に酒と蕎麦の店「な嘉屋」といった飲食業など、幅広く手がけている。今年1月からは神田マーチエキュート内にだれでもビール造りを学ぶことができる“ラボバー”「常陸野ブルーイングラボ」をオープン。
http://www.kodawari.cc/

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2015.5.25 UP