宇宙開発 HAKUTO

元気が出る会社

宇宙開発

HAKUTO

民間の手で宇宙開発が
できることを証明したい。


月面ロボット探査を競う国際レース「Google Lunar XPRIZE」に、日本で唯一挑戦している民間チームがある。同レースはGoogleがスポンサーとなり、XPRIZE財団によって運営されるもので、賞金総額は3000万ドル。純民間開発のロボット探査機を月面に着陸させ、着陸地点から500メートル以上移動し、指定された高解像度の動画や静止画データを地球に送信するーーそれがこのレースのミッションだ。

ハクトのチームリーダー袴田武史氏がこのレースにエントリーしたのは2010年。その後、東北大学吉田研究室、そしてプロボノと呼ばれるボランティアメンバーとともに、月面を目指して動き始めた。2013年には公募によりチーム名を「HAKUTO(ハクト)」に決定、より広く賛同者を募り、宇宙開発分野の用語で”ローバー”と称される月面探査ロボットの開発を続けた。そして2015年1月、ハクトのローバーは宇宙空間でも機能する性能を持つと認められ、「モビリティサブシステム中間賞」を受賞。約6000万円の賞金を獲得し、2016年後半には、パートナーのAstroboticとともにいよいよローバーを月面に打ち上げる計画であることを発表している。

壮大なロマンを感じさせる同プロジェクトだが、前述の通り、携わっているのは民間である。特にプロボノと呼ばれるボランティアのメンバーは、普段は別の仕事を持つ社会人や学生などで構成されているという。彼らはなぜ、自らの手で宇宙開発に挑戦しようと思ったのか。そして、その先に目指すビジョンとはどんなものなのか。プロボノのリーダーを務める後藤拓也氏に話を聞いた。

「私自身は小学生の時に『アポロ13』という映画を観て以来、ずっと宇宙に心を惹かれていて、当時は宇宙開発の技術者になりたいと考えていたんです。しかし紆余曲折があって、宇宙開発からは離れた、ごく一般的な社会人として働いていました。そんな折りにハクトのプロジェクトを知り、自分も宇宙開発に携わることができるチャンスだと考え、即断即決で応募しました。私が所属するプロボノは主にコミュニケーションを担当していて、ハクトのプロジェクトを多くの人に知っていただき、賛同者を募るのが役割です。具体的にはWebのプロモーションやイベントの開催を行っています。宇宙にモノを打ち上げるのには莫大な予算が必要となり、月に重さ1キログラムのものを輸送すると、約1.4億円かかります。その資金を賄うため、ファンを増やし、スポンサーを募らなければいけません。そして、このプロジェクトの魅力を伝えるのは、民間人でありながら宇宙に夢を抱き続けている我々のような元宇宙少年宇宙少女が適任だと考えています」

民間の手で宇宙開発を行う事で、宇宙を誰にでも手が届く身近な存在に変える。ひいては、どんな夢にも手を伸ばしチャレンジする事の素晴らしさを伝えるーーそれこそが、ハクトが抱く真のミッションだという。もちろん、夢をただ語るだけではなく、それを実現するためにどう工夫するか、ハクトは提示している。

優れた民生品を使う事で
開発スピードをアップする。


「ローバーの部品は、誰でも手に入れることが可能な民生品を多く使用しています。日本には素晴らしいモノ作りの技術があり、民生品も日進月歩で進化しているので、これを使用することは開発コストを下げるだけではなく、開発のスピードアップにも繋がります。また、ハクトのローバーが他チームのそれと比較して最も優れているのが、その重量です。日本人が得意とする小型化/軽量化を徹底していて、これにより打ち上げコストを格段に下げることができます。一つ一つの機能や部品を取捨選択し、およそ10キロの重さにまでシェイプしました。このプロジェクトを成功させるには、月面にローバーを打ち上げるための資金調達と、それを走行させる技術の両方が必要で、民生品で小さなローバーを作るのは、とても理にかなっています」

月面のレゴリスと呼ばれるパウダー状の地面をしっかりと捉えるため、水車のような歯車となったホイールは、新素材のウルテム樹脂を使用し、3Dプリンターで製作。ボディには軽くて強い素材であるCFRPを使用し、月面の過酷な環境にも耐えうるよう、熱対策や振動対策も徹底している。ハクトのローバーは、まさに日本の民間の技術の粋を集めたものだ。

さらに、「ムーンレイカー」と「テトリス」という2種類のローバーを使い、ハクトはレースとは別に、オリジナルの実験も計画している。4輪の「ムーンレイカー」に対し、「テトリス」は2輪でさらにコンパクトなデザインだ。
「月面には縦孔と呼ばれる謎の洞窟があるのですが、ハクトでは世界で初めてこれを調査しようとしています。ムーンレイカーがテザー(強靭なワイヤー)で繋がれたテトリスを、縦孔に下ろし、中の撮影を行うんです。縦孔の中は宇宙線の影響も少ないため、将来的に月面基地を建設する際の有力な候補地となっています。月面基地が作られれば、そこを地球との中継地点とすることで、宇宙開発は劇的に進むと言われています。その第一歩にハクトは挑戦するんです」

取材の最後に、実際にローバーを見せてもらったが、それは手で持つ事ができるほど軽く、しかし驚くほど精緻に作られていて、随所に工夫が凝らされていることが素人目にもわかった。ローバーの機能を解説する後藤氏の目は輝き、宇宙開発に携わるということがどれほど魅力的なのかを、その穏やかな口調以上に雄弁に語っていた。「夢みたい」を現実にーーかつては手の届かないものと思われていた宇宙開発への門戸は、私たち一人ひとりにも開かれているようだ。

PRESIDENT

TAKUYA GOTO後藤 拓也

1982年生まれ。国内ITベンダに勤務する傍ら、2013年9月からハクトに加入。ハクトでは、主にプロモーション活動を担当するプロボノのリーダーを担当している。

COMPANY

新しいかたちのチーム

HAKUTO
ハクトは、ベンチャー企業ispace、東北大学吉田研究室、そしてプロボノと呼ばれるボランティアメンバーで構成されている新しいかたちのチーム。ispaceが資金の調達を、東北大学吉田研究室がローバーの開発を、プロボノがプロモーションを、それぞれ担当している。2016年後半に月面探査ロボットを月へ送り込み、月面ロボット探査を競う国際レース「Google Lunar XPRIZE」で優勝すること、世界で初めて月面の謎の洞窟(縦孔)の探査を行うことがミッション。サポーターやプロボノメンバーも募集中。
http://team-hakuto.jp/

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2015.6.1 UP