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加賀屋

「笑顔で気働き」が
加賀屋のモットー。


北陸新幹線の金沢・富山〜長野間が開業したことや、輪島市がNHK連続テレビ小説「まれ」の舞台となったことで、いま注目を集めている石川県にて、国内随一との高い評価を得ている老舗旅館がある。創業109年の歴史と伝統を誇り、2015年には「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において、35年連続総合第1位となった加賀屋だ。

風光明媚な能登半島の海沿い、和倉温泉の老舗旅館である加賀屋は、日本人らしいきめ細やかな「おもてなし」が評判を呼び、かつては昭和天皇・皇后両陛下もご定泊賜われた宿で、いまなおその伝統を保ち、人々に愛され続けている。しかし、意外なことに和倉温泉の旅館の中では、決して古参の宿ではなかったという。2014年4月より5代目社長に就任した小田與之彦氏は、先代より伝え聞いたという創業時の話を、次のように語る。

「和倉温泉は発見されてから1200年の歴史があります。津幡町出身で百姓の家の生まれだった祖父母の小田與吉郎が、田畑を売って創業したときは新参者だったと聞いております。当時は客室も質素で、ほかの宿を羨ましく思っていたそうです。あるとき地元の大きな会社がたくさんのお客様をお連れして和倉温泉にいらっしゃった際、ひとつの旅館に収まりきらないことから、加賀屋にもお客様をお招きすることになったのですが、孝はついうとうと眠ってお出迎えの時間に遅れてしまい、幹事様にきびしく叱責されたそうです。それ以来、孝はお客様一人ひとりにしっかりと向き合い、一期一会の気持ちでおもてなししなければいけないと、気持ちを新たにしたといいます。現在の加賀屋のおもてなしの原点には、祖父母のそうした熱意があるのです」

先代の意思は代々受け継がれ、お出迎えからお見送りまで徹底した気配りで接する加賀屋のサービスは、新たな旅客をもてなすたびに磨かれていった。そんな加賀屋のモットーは「笑顔で気働き」だ。

「“笑顔に勝る化粧なし”と謳われるように、お客様との距離を近づけるためにいちばん大切なのはやはり笑顔です。そして気働きは、五感を働かせて目の前のお客様のご様子をしっかりと伺い、いまなにを望んでいるか、的確に把握して臨機応変に最適なサービスを提供することだと考えています。たとえばお水の出し方ひとつ取っても、お客様は暑くて喉が渇いているのか、それともお薬を服用されたいのかによって、どうお出しすべきかは変わってきます。そうした対応はマニュアルだけに頼っていてはできません。状況に応じて経験や知識を活かすことが大切です」

正確性とホスピタリティが
お客様の喜びと感動を生む。


加賀屋では、サービスの本質を“正確性”と“ホスピタリティ”と定め、その精度を高めるため、なにをしたらお客様に喜んでもらえたか、勉強会の中でその体験を共有するという。スタッフがとっさの機転を利かせた“暗黙知”の成功事例を、客室係で共有することによって“形式知”に変え、おもてなしのレベルを上げていくーーそうした教育システムが加賀屋には根付いている。そしてそのおもてなしは、海外からの旅客にも伝わると、同氏は続ける。

「経験則からいえるのは、言葉が通じなくとも“笑顔で気働き”することで、海外からのお客様にも満足していただけるということです。一方で、我々は日本流のサービスを維持しながらも、可能な限りご要望にはお応えできるように努力しています。たとえば台湾からのお客様は、わさびを好まれるので、通常より多く提供したり、赤色を好まれるので、お膳紙を赤にしたりといった工夫をしています。台湾からのお客様に関しては、添乗員にどうすれば喜ばれるのかを伺って、20年にわたってノウハウを蓄積してきました。そうした一つひとつが私たちにとっての“おもてなし”なんです」

そうした加賀屋の流儀は、土地柄に依るところも大きいようだ。「能登は優しや 土までも」という言葉があるほど、北陸の人はさりげないおもてなしの心を持ち、でしゃばらない人が多いという。また、多くの伝統工芸品がいまも残るように、古き良き物に敬意を払う文化が根付いている。

「加賀屋では“半歩先”といって、お客様に寄り添い、ご要望を汲み取りながら、しかし決して押しつけがましくないサービスを心がけています。また、能登という土地は半島にあることから、かつて京都で流行したものがいまもたくさん残っています。流行や文化が伝播するとき、中間地点にある土地はどんどん新しいものに染まっていきますが、北陸では次の土地に文化が流れていかないため、当時の仕来りや風流が伝統として残るんです。我々はそれに敬意を払い、近代的な便利さと調和させることを大切にしています。よく、能登を訪れたひとは、どこか懐かしい思いを抱かれるそうですが、もしかしたら我々日本人にとっての原風景が、この土地には息づいているのかもしれません」

現在、新社長となった小田氏は、おもてなしの心や古き良き伝統は残しながらも、旧体制には甘んじず、社員一人ひとりがさらにやりがいと誇りを持って仕事に望めるよう、同社を進化させていきたいと語る。和の心をつたえる加賀屋のおもてなしは、さらに丁寧で心温まるものへ成長していきそうだ。

PRESIDENT

YOSHIHIKO ODA小田 與之彦

加賀屋 代表取締役社長。1968年生まれ。91年慶應義塾大学商学部卒。丸紅にて運輸関係の業務に携わる。シェラトン・ワイキキ・リゾートホテル勤務を経て、99年コーネル大学大学院ホテル経営学部修了。99年加賀屋経営企画室。2000年専務取締役。07年副社長。14年4月に代表取締役社長就任。

COMPANY

日本一のおもてなしの宿

株式会社 加賀屋
明治39年9月、小田與吉郎が12室30名収容の宿として創業。徹底したおもてなしの精神で人気旅館へと成長し、昭和33年10月には、昭和天皇・皇后両陛下が、能登ご視察の際にご定泊を賜る。昭和56年1月には、第6回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において、初めて総合第1位の評価を頂き、以来、35年連続総合第1位に。名実ともに日本随一の旅館として、日々多くの旅客に最上級のサービスを提供し続けている。

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2015.6.22 UP