大学での新しい「学び方」

ヘルシー探偵団

大学での新しい「学び方」

大学改革が叫ばれる中、
“学び直し”や“働きながら学ぶ”ための、
新たな試みを行う大学が増えてきている。
今回は、その現場を覗いてみた。

 

大学での新しい「学び方」

仕事をリタイアした中高年層がセカンドライフを有意義に、元気に生きるために……各方面で様々な試みが行われている中、最近特に活発な動きを見せているのが、大学での「学び直し」だ。

その先鞭をつけたのは、2008年にスタートした「立教セカンドステージ大学」。現在、同大学に通っている木村栄作さん(67歳)は、金融関係の会社を早期退職し、その後、中小企業の社長を8年務めてリタイア。立教セカンドステージ大学への進学を決めた。
「自分の人生はこれでよかったのかと考えました。それを確かめに行きたい。そして、何よりも多くの人と出会いたいと思い、入学を決めました」
平日は月曜日から金曜日まで池袋の立教キャンパスへ通う。午前中は、自分でもっている畑仕事をしたり、授業の予習をしたり。午後は大学で授業。「終わると、大学の仲間と毎日、飲み会ですね(笑)」という。人との出会いは期待以上だったようだ。

事務室課長の足立寛さんは、同大学設立の狙いを次のように語る。
「いろいろな事情があって、若い頃学びたかった学問が出来なかった方々が“学び直し”を志したとしても、大学に入り直して4年間学び直すとか、大学院に通うというのは、物理的にとてもハードルが高いと思います。そこで、独自の“学びの場”を作ったのです。1年間学ばれた最後には修了論文まで書いていただきますし、教授陣がそのフォローもしますので、大変満足が得られる1年間だと思います」
立教セカンドステージ大学は、次のような特長が。
「まずは、魅力のある講義が高い評価をいただいています。著名な客員教授や、立教大学の専任の教授の講義が受けられます。また、一定の縛りはありますが、シニア層が若い学生と同じ全学共通カリキュラム科目を受けられる“異世代共学”も実践。通いやすい都心に位置する立教大学のキャンパスも魅力でしょう。200万冊の収蔵能力を誇る大学図書館は都内でも屈指の規模。学食はもちろん、こうした施設を自由に使うこともできます。また、すべての受講生にはゼミナールに参加していただきます。テーマごとに大学外でのフィールドワークも積極的に行っており、これらの場を通じて受講生同士のコミュニティーも生まれていきます。こうして、新たな“生きがい”を創り出しているのです」

前出の受講生・木村さんも「勉強をしたい人、時間ができたので何となく大学に来た人……。大学で学び直す目的は様々です。自分の場合は、仲間を集めていずれはまた起業したいと思っていましたが、想像を超えて、いろいろな経験を重ねられた優秀な方たちと出会うことができました。すでにふたつの勉強会を立ち上げています。私は立教の卒業生ですが、全共闘世代で大学に行くことが少なかったので、遅れてきたキャンパスライフを、まさに満喫している感じですね」と語ってくれた。今は1年間の本科を終え、春からもう1年間、専攻科に進むことを心待ちにしているという。

一方、世代を超えた通信での教育に力を入れているのが、東洋大学だ。通信教育部の受講生で、書道を学ぶ藤田理佳さんに話を聞いた。
「現在も教室などで書道を教えているのですが、もっと専門的に、教員免許を取るため東洋大学通信教育部に入学しました。子供が大きくなり、大学で勉強しても家族の迷惑にはならない……と思い、始めたんです。朝5時半に起きて高校生の息子のためのお弁当づくりをして、そのあと、仕事の合間を縫って勉強しています。寝るのはいつも深夜、睡眠時間は3〜4時間くらい。大変ですが、目標があるので充実した毎日です。通信といっても大学へ実際に行って取らなければならない単位があります。そこでたくさんの書道家の方々に会うこともできて、それは財産になりました。いま52歳ですが、今度、6月にある教育実習に行くのがとても楽しみなんです。薔薇色のキャンパスライフとは少しイメージが違いますけれど、本当に“勉強に取り組む”大学生活を送っていて、とても生きがいを感じています」

また、同大学には、イブニングコース(第2部)という昼間の時間を使えない生徒を対象にしたコースもある。いわゆる夜間部で965人の学生数は日本最大級だという。総務部広報課の榊原康貴さんは語る。
「いま注目していただいているのが、『“独立自活”支援推薦入試』という制度です。平日の昼間は東洋大学に勤務して給料をもらい、毎年奨学金も受けられる。東洋大学で働きながら、東洋大学で学ぶことができます。この制度は現在起きている進学格差を解消するひとつの手段で、意欲ある学生が進学を諦めないような道づくりをすることが目的です。。また、仕事を通じた学びということも結果としてあると思います。まさにイブニングコースだからできた新たな“学び”の制度なんです」

このように、新たな“学び”の価値を創出する動きは、様々な現場で進んでいる。少子化で大学倒産の危機が訪れようとしている時代、シニアを中心に学びたい人は増え続け、大学は新しい可能性を見出し始めている。そのマッチングが進めば、より豊かな知の社会が実現するに違いない。

大学で、新たな学びを得る場

立教セカンドステージ大学

50歳以上を対象に、人文学的教養の習得を基礎とし、学び直しと再チャレンジのサポートを目的とした新たな生涯学習の場である。

http://www.rikkyo.ac.jp/academics/lifelong/secondstage/index.html

東洋大学通信教育学部

高校を卒業して時間が経ってから大学で学びたいと思った人、社会人として職を持ちながら新たに資格を取りたい人、仕事をリタイアした人など、様々な人が受講している。

http://www.toyo.ac.jp/site/tsukyo/

早稲田大学エクステンションセンター

教養・ビジネス・語学・スポーツなど、昼夜合わせて、年間約1,800の講座を提供している。入学試験もなく、会員になれば誰でも受講することができる。「語学はもちろんですが、近年は歴史の講座の人気が高い。また、校外学習を伴う講座やスポーツ講座、中高年の方々限定の海外留学プログラムも人気です」(エクステンションセンターの安藤弘隆さん)

http://www.ex-waseda.jp/

東京農業大学グリーンアカデミー

1975年にスタートと40年の歴史をもつ。造園や園芸を学び、座学だけでなく実習までできるのが特徴。「修了後は、ボランティア活動を行う方が多くいらっしゃいます。公園緑地の維持管理、民間の庭の手入れ、竹林の管理など活動の場は実に多彩です」(主任講師の木村喜之さん)

http://www.nodai.ac.jp/seijingakou/

東洋大学通信教育学部

http://www.toyo.ac.jp/site/tsukyo/

早稲田大学エクステンションセンター

http://www.ex-waseda.jp/

東洋大学通信教育学部

http://www.toyo.ac.jp/site/tsukyo/

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2015.1.19 UP