大人の新しい遊び

ヘルシー探偵団

大人の新しい遊び

かつては、子どもの遊びだった。
そんな遊びが大人の遊びになった。
大人の遊びだったものが、より健康になった。
いま、“遊び”が生まれ変わろうとしている。

 

大人の新しい遊び

“けん玉”“マージャン”“ゲームセンター”……。誰もが知っているこれらのイメージが、いま少し変わりつつある。単なる“遊び”から、ひとつの“生きがい”になりうるものに変化してきているのだ。その現場を取材した。

「日本が発祥の地であるけん玉ですが、いまや“KENDAMA”として世界中で認識されています。そのプレイヤー人口はもう数え切れません。それほど世界中で愛されています」と語るのは、一般社団法人グローバルけん玉ネットワークの代表理事、窪田保さん。日本人なら1度は手にしたことのあるけん玉だが、その人気は世界に飛び火、日本では2007年ぐらいから「大人のスポーツ」として、とりわけアメリカでブームとなっていったそうだ。
「日本ではいまだに子供の遊具というイメージが強いのですが、海外では完全にクール(かっこいい)なスポーツ。多くの観客を前に高度な技を競い、プレイヤーが最高のパフォーマンスを披露しようとするエクストリーム・スポーツとして人気を得ています。そのスタイルが逆輸入される形で、いま日本でも新たにけん玉を始める人が増え始めました」

2012年に設立されたこの団体は、世界中のけん玉団体やプレイヤーと連携をはかりながら、コミュニティを広げ、新たな歴史を作る“けん玉で世界をつなぐ”活動を展開。ここにきて着実に変化を感じるという。
「たとえば少し前までは、けん玉の愛好者は子供か70代以上の高齢者の方々が大半を占めていた。でも、いまは20代の若者をはじめ、中高年の方々にも人気が広がっているんです」 と、これからさらに幅広い世代から愛される新たな大人のスポーツとして、さらに広まる手応えを感じているそうだ。
「けん玉本来が持っている“遊び”としての“楽しさ”はいまも昔も変わりません。日本人はもともと手にしたことがあるモノですから、入りやすく始めやすい。老若男女関係なくトライできる。キャリアを重ねてようやくできる技もあったりして、年齢に応じて違う楽しみや喜びがある。その奥深さがあるのも魅力です。また、けん玉はやるとわかるのですが、けっこう身体を使います。しかも全身運動で同時に頭もすごく使う。けん玉自体は持ち運びが楽ですし、近所の公園などでまわりに迷惑をかけることなく気軽に練習ができる。ですから、意外と運動不足解消にもってこいのスポーツかもしれません。実際に“いい運動になって痩せた”なんて声もよく聞くんです。是非気軽に始めてみてほしいですね」

また、若者の場所のイメージが強い“ゲームセンター”も、いまではシニア世代も集える場に変化している。ゲームセンターをはじめとするアミューズメント施設の開発・運営を主に手掛けるアドアーズ株式会社の広報担当、佐藤彰宏さんはこう明かす。
「今までにないシニア世代のお客様が増えていることは確かです。理由はさまざまあると思うのですが、いまの中高年の方々はインベーダーブームやファミコンなどを経験し、ゲームに慣れ親しんできた世代。さほどゲームセンターで遊ぶことに抵抗がないのも大きな理由ではないでしょうか」

そのシニア世代の人気の高まりを受け、それまで個店別に行っていたシニア世代向けのサービスを2012年から全店で統一し、60歳以上であればどの店舗でも同様のサービスが受けられるようにするなど、高齢のファンに向けた取り組みをしている。佐藤さんは「お店に寄せられるご意見やご要望は、若い世代からのものがほとんどでしたが、最近では、たとえば“休憩する場所がほしい”といったシニア世代の方からの声も寄せられるようになってきています。私共はそんな声に応え、あらゆる世代が楽しめて、シニア世代にとっても居心地のいい場所になるような店舗運営をしていきたいと思っています」と語る。徐々に、ゲームセンターはシニアのコミュニティの場へと変化をはじめているようだ。

一方、“マージャン”のイメージはどうだろう? “雀荘のタバコの煙が立ち込めた中、お酒を飲みながら、一喜一憂……”。こんな不健康なイメージが一般的では?
しかし、いま、その反対に「健康」をキーワードにした“マージャン”が注目を集めているのだ。

その名も“健康マージャン”は、“賭けない、飲まない、吸わない”で楽しむマージャンだ。一般社団法人 日本健康麻将協会本部事務局の戸構亮(とがまえ・まこと)さんはこう語る。「マージャンを純粋にゲームとして、気楽に娯楽として楽しみたい。そんな声の高まりを受けて生まれたのが“健康マージャン”です」。

1988年に設立された同協会では、お金を賭けないマージャンの楽しさ、素晴らしさを伝える活動に務め、現在では“健康麻将”を開催する会場が100箇所以上にもなるほどの広がりを見せている。
「マージャンは頭脳スポーツですから、頭の体操になるし、他人とコミュニケーションを図りながら楽しめるのも魅力です。家にこもりがちな生活から、外へ積極的に出るようになった高齢者の方の姿を何人もみてきました。実際、いま各会場は地域のコミュニティスペースとなり、シニア世代の重要な社交場になっています。生活に張りや生きがいが出来たとおっしゃる高齢者の方が多いです」

実際に健康マージャンを楽しんでいる人の声はどうだろう? 埼玉にある会場「浦和スター」に通う女性二人に聞いた。中山明子さん(68歳)が健康マージャンを始めたのは約3年前。それまで未経験だったがトランプや将棋といったゲームが好きで、自分に向いているかもと思い始めたそうだ。「平均すると月3回ほど楽しんでいます。ゲームですけどやるからには負けたくない(笑)。だからいつも真剣勝負。その集中して物事に取り組む時間が、心の充実につながっています」。一方、石居敦子さん(83歳)が健康マージャンを始めたのはなんと80歳。神奈川から見ず知らずの埼玉に引っ越してきて、最初は友だちができればと参加し始めたそうだ。「マージャンはほかの3人とかけひきしながら、相手の状況を読み、最善の手を模索する。いろいろと学習することが多くて奥深い。その学ぶ楽しみがあるのが魅力です。いまでは私の生活の中にしっかりと組み込まれている。それほど大切な楽しみです」。

こんなシニア世代の生き生きとした声を受けて、健康麻将協会では“健康麻将”に“脳トレ”効果があるのではないかと、著名な脳科学者である諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授に調査を依頼。篠原教授による「健康マージャンが脳活動に及ぼす影響調査」の結果は、驚くべきものだった。篠原教授本人はこう語る。
「はじめに健康麻将協会の取り組みについてきいたとき、高齢化社会での認知機能低下予防にきっと役立つであろう活動だと思いました。実際、健康麻将の研究をして解ったのは、(1)実年齢に比べて健康マージャン愛好者の脳年齢は3歳若いということ (2)麻将は衰えやすい脳部位を活性化させること。(3)その結果、介護予防、認知症予防につなげることが期待できるということです。調査して一番驚いたのは、想像力や相手の裏の読むことに関連する側頭頭頂接合部の活動が目立ったこと。やはりマージャンは見えないものを想像する力が大事で、その力を鍛えるのだと思いました」。

これらの結果を受け“脳トレ”効果が期待できることから、高齢者の方々への福祉事業の一環として健康麻将・麻将教室を開催する自治体も増えているそうだ。戸構さんは「とかく悪いイメージのつきまとうマージャンでしたが、これからは健康作りに役立つものとして広めていけたらと思っています」と語る。

時代とともに、大人の楽しみや中高年の健康作りへと進化した“けん玉”や“ゲームセンター”、そして“マージャン”。これらを充実した毎日を送るための“楽しみ”に加えてもいいかもしれない。

一般社団法人グローバルけん玉ネットワーク

http://gloken.net

アドアーズ株式会社

http://www.adores.co.jp/

一般社団法人 日本健康麻将協会

http://kenko-mahjong.com/index.php

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2015.4.1 UP