おひとりさまサービス

ヘルシー探偵団

おひとりさまサービス

ひとりで旅行、
ひとりでカラオケ。
そんな“おひとりさま”サービスが
増えてきているという。

 

おひとりさまサービス

長らくメディアで取り上げられるように、現在の日本は超高齢化社会。同時に国勢調査の統計から若者世代の晩婚化や未婚率の高さも伝えられ、独身者の数は確実に増加傾向にある。そんな中、いま、ひとりで食事や旅行に出かける、いわゆる“おひとりさま”のイメージが変わりつつある。“ひとり=孤独、さびしい”はもう昔のこと。年代を問わず、ひとりでアクティブに過ごす行動派が増え、また、そのおひとりさまのニーズに答えたサービスもまた次々と現れている。話題に満ちた“おひとりさま”の現在をリポートする。

まず、ひとりではなかなか腰が重くなってしまうことの上位に挙げられるのが“旅行及びレジャー”だろう。実際のところ、“おひとりさま”の需要はどうなのか? 観光・交流を専門分野とするシンクタンク「JTB総合研究所」に話を聞いた。同研究所主任研究員の早野陽子さんはこう語る。
「おひとりさまの需要が高まっているのは確かなことだと思います。例えば、海外旅行はひとりで行くのはかなりハードルが高いイメージがありますが、本社の統計によりますと、1961年に16.1%だったひとり旅の割合が、2013年は22.6%に上昇しています。実際、各旅行会社を訪ねていただくと解るのですが、どこもいまは、ひとり旅企画やひとり参加型ツアーを扱っています。また、インターネットの普及も大きい。エアチケットや宿泊の手配などが容易にできるようになったことで、個人旅行を楽しむ人が増えているんです。ここ数年、テレビや雑誌などのメディアで“おひとりさま”が注目され、ブームにもなり、“ひとり”に対する社会の意識が変わったのではないでしょうか? “おひとりさま”がいわばひとつのスタイルとなって、社会に受け入れられるようになった。旅行でいえば、以前は女性のひとり客を嫌うホテルや旅館も少なくありませんでした。いまは、そんなところはほとんどありません。観光地自体も、団体一辺倒というより、個人客の受け入れにも積極的に取り組んでいます。世代別で見て、ひとり旅の熱が特に高まっているのが団塊の世代。この世代は若いころ、バックパッカーとして世界を旅した人も少なくない。そうした世代が昔行けなかったところへ再びひとりで行くケースも多いようです。また、いまはバブル世代の女性がちょうど子育てにひと段落ついたころ。この世代は若い頃から普通に海外旅行へ行っていましたから、旅慣れてもいる。子供の手が離れた彼女たちが再び自由に旅行に出かけるようになったことも、おひとりさま旅行に少なからず影響を与えていると思います」

では、実際のおひとりさま向け旅行の現場はどうなっているのか? ひとりで参加可能な旅行ツアーをいち早くスタートさせた旅行会社「クラブツーリズム」の広報担当、青木之(あおき・ゆき)さんに聞いた。
「当社は“ひとり参加限定の旅”(パッケージツアー)の販売を1997年にスタートさせています。始めたきっかけは、お客様の声。“複数名の参加の中、ひとりでの参加は寂しくもあり気兼ねもする。気兼ねなくひとりで参加できるツアーがないか”というご要望がありました。そこで、まずはお誕生月が一緒の方が集うお食事会やイベントなどをスタートさせました。それが現在では、日帰りのみならず、宿泊や海外までのツアーを企画するものになりました」
ツアーをスタートさせた頃から年を追うごとに、ニーズは高まっているそうで、男女比は国内が3:7、海外が 2:8で、ともに女性が多く、年々参加人数は増えており、昨年度は5万名が利用しているという。寄せられる要望をもとに、さまざまなツアーも用意。
「“大曲花火を楽しむ旅(1泊2日・2泊3日)”といった各地の花火や夏祭りを楽しむツアーや、8日間かけて瀬戸内海を回るリッチなバスツアー『ロイヤルクルーザー四季の華の旅』などが人気です。変わったものでは、今年初めて企画したバスツアーで“日本一周の旅22日間”といった企画もあります。今後はさらにひとり参加型ツアーを充実させていきたいですね。普通のツアーではなかなか体験できないテーマ性の強い企画を強化していく予定です。人気のある“女性限定”ツアーも充実させ、旅慣れた女性のお客様が満足できる企画を増やしていこうと思っています。また、少人数でも出発できるよう工夫を凝らし、少人数ならではの体験や観光箇所にご案内し、ひと味違った旅を多くラインナップしていきますのでご期待ください」

一方、グループで行って一緒に盛り上がるイメージの強い“カラオケ”にも、いま“おひとりさま”の波が押し寄せていることをご存知だろうか? 現在、都市部に10店舗を数える「ワンカラ」は、ひとりカラオケ専門店。その誕生の経緯を、手がけた株式会社コシダカホールディングス広報室の江澤貴行さんに話をうかがった。
「当社はカラオケボックスのほか、フィットネスクラブなどの運営をしている綜合余暇サービス提供企業です。近年、カラオケボックスの利用状況で目立つことがありました。それはひとりでのご利用です。いまはレジャーも多種多様で、各人の趣味趣向も違う時代。お客様のニーズも多義にわたる。そこで“カラオケ店に求められるものも変わってきているのではないか?”というとき、このおひとりさまの利用のニーズに応えてみようと。その中で誕生したのが“ワンカラ”です」
宇宙船をイメージしたルームは、歌をトコトン楽しめる空間。プロ仕様のマイクと歌に集中できるよう高音質のヘッドフォンが備えられ、ミキサーや録音用のレコーディング機器も用意されている。
「当初、ひとりで利用されている方は、プロの歌手を目指す歌が大好きな人が多いのでは?と想定しましたが、蓋を開けてみたら、単純に喫茶店でコーヒーを飲むようにサクッと立ち寄って、サクッと歌って帰られるお客様も多かったんです。主に都市部に出店していることもあって、若い世代に加え、学生からサラリーマン、それからシニアのご利用が多い。ご利用の仕方も様々で、例えば、お友達同士ふたりでいらっしゃって、別々に歌って、終わったら一緒にまだどこかへ遊びにいく。そんなお客様もいらっしゃいました(笑)」
想定外の客層を巻き込んだ“ひとりカラオケ”。人気の秘密はどこにあるのだろうか?
「グループでのカラオケは、例えば会社の集まりの場合、歌う前に参加者の曲の好みを考えたり、歌っている間も気を遣うなど意外とルールやしばりが多い。そういうことを抜きに、“自分の好きな曲を誰に気兼ねすることなく、順番を待つこともなく、思いっきり歌いたい”と思っていた人が潜在的に多かったのではないでしょうか。また、ここ1年ぐらい、バラエティ番組で、“ひとりでカラオケによく行きます”といったコメントをされる芸能人の方がけっこういらして、ひとりでカラオケに行くことが、“ひとり=さびしい”から、ちょっと違ったイメージに変わった気がします」

この“ワンカラ”のほか、ひとり焼肉専門店も登場。いまや、おひとりさまは、“ひとり寂しく”から、“他人に気兼ねぜず、楽しみ尽くす”ことに変わりつつある。ひとりであってもアクティブに生きることができる時代が、すでに到来しているのかもしれない。

JTB総合研究所

http://www.tourism.jp/

クラブツーリズム

http://www.club-t.com/

株式会社コシダカ

http://www.koshidaka.co.jp/

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2015.5.18 UP