冬至煮 甘鯛とかぼちゃの柚子餡

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トップシェフのヘルシーレシピ

冬至煮 甘鯛とかぼちゃの柚子餡

1人分 181kcal 食塩相当量 0.8g

梅原陣之輔

油は湯で流してヘルシーに
幽庵地ベースの優しいあんかけ。

完熟のゆずをかぼちゃと一緒に
冬至にぴったりの魚料理。

 冬至は一年のうちでもっとも昼間が短い日。かぼちゃを食べる、ゆず湯に浸かるといった風習は今も残っていますよね。今回はかぼちゃとゆずという、冬至に縁の深い2つの食材を使って、幽庵地のあんをかけた魚料理を作ります。
 幽庵地は、一般的には、つけ焼き用の代表的な地です。酒、みりん、濃口醤油で作ります。これにゆずで香りをつける。この地に魚や鶏などをつけて焼き上げるのが幽庵焼き。ゆずを使っているので柚庵と書くこともあります。
 実は今回のレシピ、この幽庵(柚庵)地の有効活用という裏テーマがあります。あまだいやさわらなどの魚を幽庵地に漬けて、焼いたり蒸したりする料理は、和食では非常にポピュラーですよね。でも魚の味付けに使うだけではもったいない、何か使い道はないかな、と常々考えていて、今回のレシピを思い付きました。残った地に、かつおだしと片栗粉を加えてあんにし、魚と一緒に食べてしまおうというもの。冬至ですから、ゆずも香り付けにとどまらず、たっぷり味わって頂きたいと思い、大分県安心院産の完熟ゆずのスライスを添えました。水菜で青みを、しいたけで旨みをプラス。しいたけは軸も細く割いて加えることで、心地よい食感とさらなる旨みが加わります。

 ゆずは完熟といえども、皮ごと使うのでアク抜きをします。水菜をゆでた湯を捨てずにゆずのアク抜きに再利用すれば、鍋を洗う手間と湯を沸かす時間が省けます。あまだいは、塩を振って臭みを取ってから、幽庵地に浸けること。かぼちゃ、しいたけとあまだいは、香ばしい焼き色を付けるため一度フライパンでソテーしますが、ザルに上げてさっと湯通しすると、焼き色はそのまま、油分は洗い流せてよりヘルシーになります。
 ソテーしたあまだい、かぼちゃ、しいたけを幽庵地で炊き合わせます。薄切りにしたかぼちゃは火が入りやすいので、ひと足先に鍋から上げて、煮崩れを防ぐようにしましょう。
 魚や具材は濃い地で炊き、しっかりと味を付けますが、片栗粉を溶いてあんを作る際にかつおだしで伸ばし、食べておいしい塩加減に味を調えます。
 冬に旨みの乗る魚を主役に、完熟のゆずも香り付けだけでなくたっぷり召し上がって頂ける。冬至にちなみ、ゆずとかぼちゃを一緒に。季節感を満喫できる一品です。

材料(4人前)

冬至煮 甘鯛とかぼちゃの柚子餡の材料

あまだい

2切れ(1切=約60g)

かぼちゃ

1/4個

しいたけ

2個

ゆず(完熟)

2個

水菜

1/4束
<幽庵地>

100cc

本みりん

80cc

濃口醤油

80cc

かつおだし

350cc

太白ごま油

大さじ2

小麦粉

適量

水溶き片栗粉

適量
  1. かぼちゃは厚さ5mmにスライスする。しいたけは軸を取り、軸は格子状の切れ目を入れて手で細く割く。ゆずは皮と実に分けてそれぞれを薄切りにする。種は取り除く。

    冬至煮 甘鯛とかぼちゃの柚子餡

    しいたけの軸は旨みが強いので、細く割いて一緒に炊くことで風味が豊かになり、食感も豊かになる。

  2. ベースの幽庵地を作る。鍋に酒を入れて沸かし、本みりんを加えて再び沸騰させ、濃口醤油を合わせる。冷ましてからゆずの皮(少々)を加える。

  3. あまだいは軽く塩(分量外)を振って30分置き、キッチンペーパーで臭みのある水気を取る。(2)に5分浸し、キッチンペーパーで余分な汁気を拭き取る。

  4. 鍋に湯を沸かし、水菜をさっとゆで、冷水に浸して色止めをしてから水気を切り、食べやすい大きさに切ってボウルに入れる。鍋に残った湯にゆずを入れ、ひと煮立ちさせ、アク抜きをする。

    冬至煮 甘鯛とかぼちゃの柚子餡

    ゆずは皮の内側の白い部分に苦みがあるので、アク抜きをして、えぐみ、苦みを取り除く。

  5. フライパンに太白ごま油をひき、かぼちゃ、しいたけを軽くソテーし、ザルに並べる。同じフライパンで軽く小麦粉を振ったあまだいを軽く焼き色が付くまでソテーし、かぼちゃ、しいたけと一緒にザルに並べ、熱湯をかけて油抜きをする。

  6. 鍋に柚庵地とかつおだし250ccを入れて火にかけ、ソテーしたあまだいとしいたけ、かぼちゃ、アク抜きをしたゆずの薄切り、手で割いたしいたけの軸を入れてさっと炊く。かぼちゃとゆずの薄切りを先に取り出し、キッチンペーパーなどで余分な汁気を取り除く。

    冬至煮 甘鯛とかぼちゃの柚子餡

    かぼちゃ、ゆずの順に、火が入りやすく、煮崩れしやすい食材を先に鍋から上げる。

  7. 器に(6)のあまだい、かぼちゃ、しいたけを盛り付ける。しいたけの軸を(4)の水菜、刻んだゆず皮と和えて、あまだいに添える。

  8. 鍋に残った幽庵地にかつおだし100cc、水溶き片栗粉を加えてあんを作り、(7)に盛り付ける。

冬至煮 甘鯛とかぼちゃの柚子餡

冬至と関わりが深いかぼちゃですが、これは「運盛り」といういい伝えに由来するといわれています。「運盛り」とは、「ん」が付くものを食べることで運気が上がるというもの。これは一年でもっとも日が短い冬至は「陰」の極みで、翌日から「陽」に返るという「一陽来復」という考えによるもの。にんじん、れんこん、ぎんなんなど「ん」が二つ付く食べ物は「運盛り」の食材の代表格。なんきん、つまりかぼちゃもそうですね。かぼちゃは野菜の中でもひときわ栄養価が高く、風邪をひきやすいこの時期に食べるのは実に理にかなっています。ビタミンA、C、E、食物繊維にカリウムがたっぷり。おいしく食べて、体が調い、運も付けば最高です。

梅原陣之輔

梅原陣之輔

梅原陣之輔 JINNOSUKE UMEHARA

1969年、大分県生まれ。京都『たん熊 北店』、福岡『浄水茶寮』(現閉店)勤務を経て、赤坂『BASSIN』料理長就任。2006年、東京・銀座のレストラン型アンテナショップ『坐來大分』の店長兼料理長に就任。大分県内の生産者と連携し、かぼす、椎茸、豊後牛、関あじ、関さばなど優れた食材の普及に尽力し、現在も顧問を務める。2011年農林水産省「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞。2014年、『八雲茶寮』料理長に就任。日本の風土が育んだ食材や郷土料理など、古来からの知恵を活かした料理を身上とする。

八雲茶寮

八雲茶寮

住│
東京都目黒区八雲3-4-7
電│
03-5731-1620
営│
朝茶9:00~10:30LO、昼懐石12:00~13:30LO、午申茶12:00~15:30LO、お茶・菓子・甘味9:00~16:00LO
休│
日・祝(朝茶、昼懐石は月・祝の翌日も休)
席│
カウンター10席、庭席14席、プライベートダイニング8席、茶房14席

カード│使用可

毎月2回更新

2018.12.25 UP 次回は1月15日更新予定です。

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