なすとこんにゃくと三度豆の半ずり胡麻和え

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なすとこんにゃくと三度豆の半ずり胡麻和え

1人分 123kcal 食塩相当量 1.2g

簡単にできる本格和食の味。
秋にぴったりのレシピを紹介します。

素材の滋味溢れる“素朴”さがおいしい家庭料理

おいしい日本料理は、野菜など素材の持ち味を最大限引き出すのが身上。味付けはほとんどがしょう油と塩だけです。隠し味にみりんや砂糖をほんの少々加えますが、基本的に素材の甘みを活かしてしょう油と塩の味をのせる。それこそが日本料理独特の淡口の味付けの極意です。

今回の料理「なすとこんにゃくと三度豆の半ずり胡麻和え」も淡口の味付けがよく分かるひと品です。これからの時期は、秋なすがおいしくなる季節。旬の素材は栄養価も高いのでおすすめです。意外にもこんにゃくは手ごわい食材。柔らかいようで硬さもある。歯あたりを揃えるように切りますが、これがなかなか難しい。あまり急がずに丁寧に切るといいでしょう。胡麻はいり胡麻を使います。胡麻は焙煎することで香り立つため、煎り立てがいちばん良い香りがします。料理屋では使う前に必ず煎ってから使いますが、ご家庭では市販のいり胡麻でかまいません。胡麻はすりつぶすことで香りが立ちやすくなります。また皮が固く粒が小さいので噛み砕きにくいもの。すりつぶすことで消化吸収も良くなり、栄養面でもおすすめしたい食べ方です。すり鉢はしっかり乾燥させておくことがポイント。すり方の程度により呼び方もさまざまで、半分ほどつぶれて粒が残っている状態が「半ずり」です。すり鉢のへりに調味した胡麻をすり付けておき、そこにおか上げ(レシピ内参照)した素材を入れて和えれば、瞬間的にまんべんなく混ぜ合わせられます。

三度豆は「インゲン豆」のこと。胡麻和えにするなら、やはり歯触りのいい三度豆がおいしいと思います。こんにゃくはそれ自体に味はありません。打たれ強い素材ですが、自己主張が少なく、寄り添う相手と調和する。舌に対する圧迫感がおいしさといえます。食べてみるとこのふたつの素材が際立ちますが、この料理の主役は「なす」。たくさん入っているのに、その存在を感じさせないのです。けれどもシャキシャキとした三度豆と歯応えのあるこんにゃく、それをつなぐようにあるとろりとした食感のほとんどが、なす。実は旨みのベースになる、名脇役です。

ここにコクのあるベーコンやシーチキンを加えて仕上げても、それはそれでいいおかずにはなりますが、この料理の本来のおいしさはしみじみとした滋味にあり、ハンバーグなどの旨味とは別次元のもの。非常に低カロリーで、栄養バランスもいい。こういう素朴さをぜひ味わって、おいしさをわかっていただきたい。素材の滋味溢れる、なかなか良い料理だと思います。

材料(2人前)

なす

2本

白こんにゃく

1/4枚

三度豆

10本

少々
<胡麻和え>
A|いり胡麻
大さじ2
A|濃口しょうゆ
大さじ1
A|砂糖
小さじ1
A|みりん
小さじ1
A|
小さじ0.6g
  1. 鍋に湯をわかしておく。こんにゃくを細切りにして下ゆでする。

    こんにゃくは薄切りにしてから、タテに細切りにする。柔らかく切りづらいので、急がず、丁寧に包丁を入れること。

  2. なすは上下を切り落として皮をむく。たて半分に切ってから薄い半月切りにし、(1)に加えて下ゆでする。

  3. 三度豆は筋を取ってから3cm程度の乱切りにする。塩をして軽くもみ込み、(2)に加えて下ゆでする。三度豆に火が通ったら、おか上げ(*)しておく。(*おか上げ:ゆでたり、煮たりした材料を水に落とさずに、ざるなどに引き上げて冷ますこと。)

    三度豆は味が入りにくいため、茹でる前に軽く塩をしてもみ込んでおくといい。ゆで上がりの色味も鮮やかになる。

  4. <胡麻和えを作る>すり鉢にいり胡麻を加え、すりこ木で当たる。半ずりにしたところにAを順番に加えながら、軽くすり混ぜる。

    すり鉢のへりにごまをすり付けておき、そこに素材を入れて混ぜると短時間で簡単に胡麻和えが作れる。

  5. (4)に(3)を加え、よく混ぜ合わせる。

そのままザルに上げて冷ます

野菜などの素材をゆでた後、水に取らずにそのままザルに上げて冷ますことを「おか上げ」といいます。これは素材の熱でそれ自身の水分を蒸発させる「調理」でもあり、水分を飛ばして滋味を充実させるためのもの。水にさらして冷ますと水っぽくなったり、味を損なう場合におか上げを用います。空豆のように色が悪くなりやすい青ものは重ねず、広げて冷ますこと。今回の胡麻和えは、すぐに食べるならそのまま胡麻に和えてもいいでしょう。

今回の胡麻和えは、おかずにぴったりのひと品です。必ずしも、力を入れておいしいものばかり作ったからといって、トータルでおいしいごはんになるとは限りません。おかずはいろいろな料理を取り合わせることが前提です。すき焼きのように力のあるおかずもあれば、薄味の煮物もある。そんな風に素材の濃さ、味の強弱、油っぽさ、味わいの深さなどを考えると、たくさんの料理の中から無限の取り合わせが生まれ、おかず上手になります。

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

1949年、徳島県生まれ。料亭『青柳』店主。日本料理の技と精神を伝えるべく後進の育成、海外での日本料理普及に力を注いでいる。 2004年春には日本料理人としてはじめてフランス共和国農事功労章シュバリエ受章、同じく2010年冬には同共和国農事功労章オフィシエを受章。著書に『味の風』(柴田書店)、『小山裕久の日本料理で晩ごはん』『続小山裕久の日本料理で晩ごはん』(朝日新聞社)『古今料理集』(アシェット婦人画報社)『鯛の本』(淡交社)等がある。

青柳

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2014.09.16 UP次回は10月6日更新予定です。

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