桃源豆冨

vol.

トップシェフのヘルシーレシピ

桃源豆冨

1人分 71kcal 食塩相当量 1.3g

ゼラチンと寒天を併用し、
複雑な食感に仕上げる。

滋養効果の高い長芋を
目にも涼やかな夏の一品に。

 5月のはじめごろから、みるみる日が長くなるのを感じはじめ、あっという間に夏至がやってきます。この時期におすすめしたいのが桃源豆冨。長芋のすりながしを冷やし固めた料理で、見た目とつるんとした食感が涼を呼びます。さっぱりと食べられて、かつ滋養豊かなヘルシーフード。私の店でも、今の時期の定番料理としてお出ししています。長芋寒天は、家庭でも作られるという方が多くおられると思いますが、私のレシピのポイントは、フルーツを加えて香り良く、そしてゼラチンも併用して食感も豊かに仕上げること。少々手間がかかりますが、うまくできればワンランク上のおいしさに仕上がります。
 長芋はすべてすりおろさずに、刻んだものを合わせて食感を出します。少量加えるやまと芋は粘り担当。果物は、夏らしく桃とすももを使います。ともに香りがよく、桃の豊かな甘み、すもものナチュラルな甘酸っぱさが、長芋寒天独特の芋臭さを消してくれます。すももの果皮に近い部分の果肉は別に取っておいて、赤色のアクセントとして使います。

 寒天とゼラチンは特性が異なります。寒天は口の中でほぐれ、ゼラチンは弾力がある。両方を合わせることで、より複雑な食感になります。液体と合わせる際も、寒天はしっかり沸かすことで固まりやすくなりますが、ゼラチンは溶ければオッケーですので、沸かす必要はありません。まずは寒天を加えて沸かし、粘度が出てきたら粗熱を取ってから、ゼラチンを加えて溶かす。それから山芋、やまと芋を加え混ぜます。
 寒天とゼラチンどちらも用意するのが難しい場合は、ゼラチンだけで作ってもかまいません。また、ラップで茶巾包みにするとより簡単です。でもやはり、型で固めて切り出したシャープなフォルムのほうが見た目にも涼を呼びますよね。栄養たっぷりの山芋を涼やかに食して、暑さを乗り切って下さい。

材料(6人前)

長芋

270g

やまと芋

30g

大1個(約150g)

すもも

3〜5個(約100g)

ゆず皮(あれば)

調味料A(芋だし)

※白だし

375cc

薄口しょう油

25cc

みりん

25cc

粉寒天

4g

ゼラチン

9g
調味料B(かけだし)

※白だし

180cc

薄口しょう油

20cc

みりん

20cc

かつお節

3g
※白だし

水500ccに真昆布3gを一晩浸し昆布だしを取る。85℃まで沸かして火を止め、かつお節10gを入れて1分置いて濾す。

  1. 長芋は150gをすりおろし、残り120gを包丁で粗く刻んでおく。やまと芋はすりおろしておく。

  2. 芋だしをつくる。みりんを入れた鍋を火にかけてアルコール分を飛ばし、白だし、薄口しょう油を加えてひと煮立ちさせ、粉寒天4gを入れ、沸騰した状態で溶かしていく。

    粉寒天を入れたら沸騰させ、しっかり煮詰めたほうが固まりやすい。

  3. (2)にとろみが出てきたら、氷水で粗熱を取り、ゼラチンを溶かす。ゼラチンが溶けたら、(1)と合わせる。

  4. 桃、すももは一口大に切り、すももの皮の内側の色が赤い果肉は盛り付け用に取り分け、包丁で叩いておく。

  5. 白だし、薄口しょう油、みりん、かつお節を合わせ、かけだしをつくっておく。

  6. (4)をバットに並べて(3)を流し、冷蔵庫で一晩冷やし固める。切り出して器に盛り、かけだしをかけて、叩いたすももの赤い果肉を載せ、おろしたゆず皮で香り付けする。

    (3)は鍋底に手を当てて、少し温かいくらいの温度が固まりやすい。

こん棒型の長芋や野山に自生する細長い自然薯、げんこつのような形をしたやまと芋などを山芋(やまのいも)と呼びます。いも類の中で、唯一加熱せず生で食べられるのがこの山芋類。漢方に使われるほど滋養強壮力が高いことで知られています。ビタミンB群やC、カリウムなどのミネラル、食物繊維がバランスよく含まれるヘルシー食材。切ったものを生で食べるとシャキシャキ、加熱するとほくほく、すりおろしはトロトロ、火を入れるとふんわりと、調理方法でさまざまな食感に。今回の桃源豆冨も、「切る」と「すりおろす」を組み合わせることで異なる食感を生む特性を生かした一品です。

梅原陣之輔 JINNOSUKE UMEHARA

1969年、大分県生まれ。京都『たん熊 北店』、福岡『浄水茶寮』(現閉店)勤務を経て、赤坂『BASSIN』料理長就任。2006年、東京・銀座のレストラン型アンテナショップ『坐來大分』の店長兼料理長に就任。大分県内の生産者と連携し、かぼす、椎茸、豊後牛、関あじ、関さばなど優れた食材の普及に尽力し、現在も顧問を務める。2011年農林水産省「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞。2014年、『八雲茶寮』料理長に就任。日本の風土が育んだ食材や郷土料理など、古来からの知恵を活かした料理を身上とする。

八雲茶寮

住│
東京都目黒区八雲3-4-7
電│
03-5731-1620
営│
朝茶9:00~10:30LO、昼懐石12:00~13:30LO、午申茶12:00~15:30LO、お茶・菓子・甘味9:00~16:00LO
休│
日・祝(朝茶、昼懐石は月・祝の翌日も休)
席│
カウンター10席、庭席14席、プライベートダイニング8席、茶房14席

カード│使用可

毎月2回更新

2019.6.10 UP 次回は6月24日更新予定です。

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