肉豆腐

vol.

トップシェフのヘルシーレシピ

肉豆腐

1人分 191kcal 食塩相当量 1.4g

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

家庭でできる簡単プロの味。
寒い季節にぴったりのレシピです。

「熱ぬる」で食べるのも
また美味しい。

日に日に寒さが増すこれからの季節は、体が温まる料理が恋しくなります。今回はごはんにも良く合う、和風の肉豆腐をご紹介しましょう。

肉豆腐に使うのは、牛ひき肉。いろいろな料理に応用できる活用範囲の広い素材です。ひき肉調理のポイントは、水からゆでること。沸騰しているところに投入すると、急な温度変化によって肉がギュッと締まって食感が硬くなってしまいます。また、ゆでるときに肉の塊を無理にほぐしてもいけません。せっかくの肉の旨味が逃げてしまいます。この手法はイタリア・ボローニャ地方の名物料理「ボロネーゼ」にも共通します。小さい粒もあれば、大きな塊もあり。ミンチ、つまりひき肉の塊は均一ではありません。その食感の違いがまた、おいしさでもあるのです。煮込む前に一度下ゆでして余分な油を落とせば、さっぱりとヘルシーに仕上がります。あとから出汁で煮込むときにもアクが出にくくなり、雑味のないクリアな味わいになります。

もうひとつのポイントは、たくあんです。まず切り方ですが、薄いいちょう切りにします。たくあんは干した大根を使うので、皮ごしに切るのはなかなか難しいものです。ここは急がず、ゆっくりと丁寧に切りましょう。

たくあんはカリカリとした独特の食感が楽しめるだけでなく、適度な塩味を加えることができます。豆腐はたとえば冷奴にしょう油が必要なように、結構な塩分を必要とします。そのままではおいしさを十分に引き出せないのです。かといってひき肉に味を濃く付けてしまうと、今度はしょっぱく感じてしまう。そこで、たくあんです。豆腐との味の距離感を塩味でつなぐ役割。たくあんの塩味をちりばめることで、食べたときに口の中でおいしくなる、という作戦です。長く漬け込んだ古漬けがおすすめで、乳酸発酵による適度な酸味も加わり味に広がりが出ます。今回は塩分を控えるために、一度下ゆでしてから加えましょう。

良質な植物性タンパク質を多く含む豆腐はスプーンなどで大きめにすくって、餡に落とします。一緒に煮こむと味が染みておいしいですが、熱々の餡に冷たい豆腐。「熱ぬる」で食べるのもまたおいしいものです。水溶き片栗粉でとろみをつけると冷めにくいだけでなく、口当たりも滑らかになります。 日本料理の命は「出汁」といわれますが、出汁の旨味だけに頼らない。素材の組み合わせが際立つひと品と言えるでしょう。

材料(2人前)

肉豆腐 材料

牛ひき肉

80g

たけのこ(水煮)

60g

たくあん

20g

絹ごし豆腐

100g

粉山椒

適宜
A
A|一・五番出汁
400g
A|濃い口しょう油
60cc
A|薄口しょう油
15cc
A|みりん
60cc
A|
30cc
A|砂糖
20g
<水溶き片栗粉>
大さじ2
片栗粉
大さじ2

*一・五番出汁の取り方

  1. (1) 昆布はかたく絞ったふきんで表面の汚れをさっと拭う。
  2. (2) 鍋に水をはり、強火にかける。指を入れてふっと温かい程度になったら昆布を入れる。鍋底から泡が離れて浮かび上がる70℃になったらかつお節も加える。
  3. (3) 沸き立たないくらいの火加減に落とし、そのまま3分間煮出す。
  4. (4) 火を止めて、かつお節が自然に沈むまでおく。おおよそかつお節が沈んだら、ペーパータオルを敷いて静かにこす。出汁が自然に流れ落ちるところでやめる。出汁を引いてから2日間くらいは冷蔵庫で保存できる。
  1. たけのこは3〜5mmのあられ切りにし、さっと湯がく。

    肉豆腐

  2. たくあんは薄いいちょう切りにする。

    肉豆腐

    たくあんは古漬けがおすすめ。長く浸かることで乳酸菌発酵し、独特の酸味が加わる。

  3. 鍋に水と赤身の牛ひき肉を入れ、沸かしながら脂とアクを取る。

    肉豆腐

    牛ひき肉は沸騰していない段階から加える。無理にほぐすと旨味が逃げてしまうので、塊のまま火入れする。

  4. (3)の鍋にたけのことたくあんを加え、ひと煮立ちさせておか上げ(*)しておく。(*おか上げ:ゆでたり、煮たりした材料を水に落とさずに、ざるなどに引き上げて冷ますこと)

    肉豆腐

    ひき肉は下ゆですることで余分な脂と雑味を取り除く。出汁に加えてもあくが出ずに、きれいな味わいに仕上がる。

  5. 鍋に一・五番出汁を沸かし、(4)を加える。Aを加え混ぜ、水溶き片栗粉でとろみをつける。

  6. スプーンなどで豆腐をすくい取り、(5)に落としていただく。

肉豆腐

ひき肉の火入れの仕方

ひき肉は、いろいろな料理に応用できる便利な素材です。しかし上手に火入れをしないと、旨味が抜けてパサパサとした食感になってしまいます。下ゆでする際は、水から加えて火を通していきましょう。沸騰したところに加えてしまうと、旨味が煮汁にすべて流れ出てしまいます。また無理にほぐしたりしてもいけません。せっかくの肉の旨味が逃げてしまいます。よりおいしさを求めるなら、もも肉を購入して挽きたてを使うといいでしょう。

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

これからの季節にぴったりな土鍋仕立てにしてみました。牛ひき肉に食感の良いたけのこと、アクセントにたくあんを加えた具だくさんの仕上がりです。今回は出汁を使った和風の味わいですが、鶏ガラスープを使い、たけのこの代わりにシナチク、たくあんの代わりにザーサイを加えると中華風にアレンジできます。豆腐は餡で煮込んでもいいですし、熱々の餡に冷えた豆腐を落として食べるのも、温度にコントラストが生まれて楽しめます。

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

1949年、徳島県生まれ。料亭『青柳』店主。日本料理の技と精神を伝えるべく後進の育成、海外での日本料理普及に力を注いでいる。 2004年春には日本料理人としてはじめてフランス共和国農事功労章シュバリエ受章、同じく2010年冬には同共和国農事功労章オフィシエを受章。著書に『味の風』(柴田書店)、『小山裕久の日本料理で晩ごはん』『続小山裕久の日本料理で晩ごはん』(朝日新聞社)『古今料理集』(アシェット婦人画報社)『鯛の本』(淡交社)等がある。

青柳

青柳

住│
東京都港区麻布台2-3-20
電│
03-6435-5776 *完全予約制
営│
11:30AM〜L.O.2:00PM/6:00PM〜L.O.10:00PM
席│
カウンター6席、個室4室(2名〜最大16名)
休│
日曜、祝日

カード│使用可

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2014.11.17 UP次回は12月1日更新予定です。

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