里芋の揚げだし

vol.

トップシェフのヘルシーレシピ

里芋の揚げだし

1人分 179kcal 食塩相当量 0.9g

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

シンプルな食材を
日本料理の技で華やかに

今が一番美味しい里芋を
思う存分に味わうシンプルレシピ。

里芋は、産地により旬もさまざまですが、初秋から早春に収穫され、貯蔵性が高いので1年中出回っています。品種により違いはありますがねっとりと粘りのある食感は冬の寒い時期に心安らぐ温かさを演出してくれる食材です。今回の「里芋の揚げだし」はただ、出し汁で炊いただけでは、見た目には地味ですし、油脂分がないのでは主菜としてのインパクトに欠けます。そこで、今回は、揚げて旨味や風味をさらにアップさせ、あんかけで豪華さをプラスし、華のある里芋料理をご紹介します。

「揚げだし」というと、油で揚げてカロリーがあがると心配されるかもしれませんが、この料理は、揚げてはあるけれど、実はヘルシーなんです。先に里芋を出し汁で炊きますが、砂糖は使いません。煮物として食べるにはやや物足りないかもしれませんが、これを揚げることで、里芋自体の甘味、旨味が引き出されますし、しょう油やみりんの糖分がコクや香ばしさとなって風味が豊かになります。

つまり、調味料の塩分や糖分で味を濃くしなくても、油の力で味にコクをもたせることができるのです。また衣をつけず、素揚げにするのもカロリーを押さえるポイントです。

さらに調理のポイントとしては、里芋を茹でてすぐに揚げると、中が熱くて油の熱が入らず、美味しさを充分に引き出すことができません。ですから、里芋が中までしっかり冷めるまで待ってから揚げてください。

揚げただけでも美味しいのですが、里芋を炊いた時の出汁を利用したあんをかければ、ひと際主役感がでます。このとき、甘みとしてハチミツを加えると、あんに艶が増すのでおすすめです。鶏そぼろを加えてうずらあんに仕立てるなど、見た目や味わいをさらにボリュームアップすることもできますが、里芋本来の美味しさを存分に味わっていただくために、敢えてこのシンプルなあんにしました。味や素材を重ねるのではなく、厚化粧では見えない純粋さを大切にするために、引いて作ることも日本料理の楽しさではないでしょうか。

材料(2人前)

里芋の揚げだし 材料

里芋(中)

6個

柚子

適量

揚げ油(サラダ油)

適宜
A(煮出汁)
A|一・五番出汁
300cc
A|薄口しょう油
40cc
A|みりん
40cc
B(あんかけ)
B|片栗粉
大さじ1.5
B|
大さじ1.5
B|はちみつ
大さじ1

*一・五番出汁の取り方

  1. (1) 昆布はかたく絞ったふきんで表面の汚れをさっと拭う。
  2. (2) 鍋に水をはり、強火にかける。指を入れてふっと温かい程度になったら昆布を入れる。鍋底から泡が離れて浮かび上がる70℃になったらかつお節も加える。
  3. (3) 沸き立たないくらいの火加減に落とし、そのまま3分間煮出す。
  4. (4) 火を止めて、かつお節が自然に沈むまでおく。おおよそかつお節が沈んだら、ペーパータオルを敷いて静かにこす。出汁が自然に流れ落ちるところでやめる。出汁を引いてから2日間くらいは冷蔵庫で保存できる。
  1. 里芋は、まず上下を切り落としてから六角形になるように、また地肌がきれいに出るように上から下へと厚めにむく。

  2. 里芋を芯まで均一に柔らかくするために、米のとぎ汁(あるいはゆで水にひとつまみの米を入れる)で下茹でをする。火加減が強いと芯まで柔らかくなる前に、表面が煮くずれてしまうので、お湯が沸き立たない状態で静かに火を入れる。

    里芋の揚げだし

    調味料を入れると素材が締まって柔らかくなりづらいので、まずは下茹でする。

  3. 鍋にAを合わせて温め、(2)の湯を切って移し、沸騰させないような火加減で炊く。7〜8分で火を止めたら、そのまま冷まし、引き熱で中まで味を染み込ませる。

    里芋の揚げだし

    揚げる場合、里芋が充分に冷めていないと、こんがりとした色になりにくいので、(3)までの下ごしらえを前日に済ませておくと手際よく調理ができる。

  4. 170℃に熱した油で表面がカリッと濃い目の茶色になるまで素揚げにする。

    里芋の揚げだし

  5. Bの分量で水と片栗粉を作り、(3)の出汁を温めたところに加えよくかき混ぜてとろみをつけ、さらにはちみつを加えてあんに仕立てる。

    里芋の揚げだし

  6. 皿に(4)を盛り、(5)のあんをかけて、好みで千切りにした柚子の皮を飾る。

里芋の揚げだし

日本料理は本来ヘルシーなもの

今回、油を使って揚げてはいるけれど、実はヘルシーという調理にしましたが、これは下味をつけてから素揚げ、というのがポイント。逆に、肉じゃがやカレーの場合、「先に油で炒めて煮崩れを防ぎましょう」というレシピがありますが、油で炒めても煮崩れしますし、油を加えた分だけ、塩や砂糖を多めに入れないと味が感じづらいなど、さらにカロリーアップしてしまいます。日本料理は本来素材の甘みや旨味を引き出す工夫が凝らされた料理。下茹でならともかく、先に油で炒めるという調理は本当に必要なのかどうか見極めるとよいと思います。

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

里芋はぬめりがあり、むく時にヌルヌルとしてすべったり、手がかゆくなるなど調理を苦手にされている方もいらっしゃるようです。このヌルヌルを防ぐには、泥を落としたあと濡れたまま下ごしらえするのではなく、一旦皮を乾かしておくと、断然むきやすくなります。ただ、里芋は乾燥に弱いので、保存する時には泥付きのまま新聞紙にくるんで日の当たらない場所に置いてください。低温にも弱いので、冷蔵庫での保存は避けなければなりませんが、下茹でしておけば、冷凍保存ができます。

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

1949年、徳島県生まれ。料亭『青柳』店主。日本料理の技と精神を伝えるべく後進の育成、海外での日本料理普及に力を注いでいる。 2004年春には日本料理人としてはじめてフランス共和国農事功労章シュバリエ受章、同じく2010年冬には同共和国農事功労章オフィシエを受章。著書に『味の風』(柴田書店)、『小山裕久の日本料理で晩ごはん』『続小山裕久の日本料理で晩ごはん』(朝日新聞社)『古今料理集』(アシェット婦人画報社)『鯛の本』(淡交社)等がある。

青柳

青柳

住│
東京都港区麻布台2-3-20
電│
03-6435-5776 *完全予約制
営│
11:30AM〜L.O.2:00PM/6:00PM〜L.O.10:00PM
席│
カウンター6席、個室4室(2名〜最大16名)
休│
日曜、祝日

カード│使用可

毎月2回更新Powered by 東京カレンダー

2015.1.19 UP次回は2月2日更新予定です。

  • ピン