菜種とイカの銀あんかけ

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トップシェフのヘルシーレシピ

菜種とイカの銀あんかけ

1人分 103kcal 食塩相当量 1.7g (*下ゆでの塩分は含まず)

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

プロの味を楽しめる簡単レシピ。
食卓に彩りを与えるメニュー。

「あら、春なのね」と心の温度をあげるほんのり温かな菜種のおかず

菜の花畑が一面黄色になる4月。菜種とも呼ばれるこの春の食材が市場に出始めるのは早ければ12月頃でしょうか。緑鮮やかなうえ、蕾の部分がほんのり黄色く、春の訪れを感じる彩り野菜として重宝されます。季節を先取りする日本料理ではお正月頃から使い始めます。ほんのり苦味がありますが、山菜と同様にこの苦味が冬の間、滞りがちだった体の巡りを活性化してくれるとも言われています。βカロテン、ミネラルも豊富で、食感も香りも充分にあるので、茹でてお浸しに、和え物に、油炒めでもいいでしょう。ちょっとした一品とはいえ、色合いが鮮やかですので食卓を華やかにしてくれる使い勝手のよい食材です。

ゴマ和え、からし和えなどの和え物と合いますが、今回は、大根おろしを合わせてさっぱりとした味わいに、食感を楽しめる山芋をのせ、その上に銀あんをかけて、ちょっとぬるい温度で味わう料理に仕立てました。大根おろしだけではさっぱりし過ぎて夏の味わいになってしまいますから、山芋で粘りを加えることによって温かみを演出。

また、熱々のあんかけでは冬の料理になってしまいますが、この料理は大根おろしと山芋の温度であんかけがぬるくなります。この「ぬるさ」こそ、この料理のポイント。春の熱くもなく寒くもない、心がゆるむ季節感を表現してみたのです。菜種を茹でる時のポイントは、蕾、葉、茎の部分で火の通りが違いますから、鍋に入れる時には、茎の部分から入れるようにしてください。緑鮮やかに茹で上がりますので、冷水にさらす必要はありません。菜種のほのかな温もりもこの料理の大切な温度感です。

山芋は、みじん切りにしても、擦りおろしてもいいですし、フードプロセッサーを使ったり、あるいは、ポリ袋に入れて麺棒や瓶底で叩くなど、とろとろにするか、ちょっと食感を残すか、などお好みの仕上げで楽しんで下さい。銀あんには、白コショウを加えると、味の輪郭が引き締まります。こちらもお好みで試してみて下さい。

材料(2人前)

菜種とイカの銀あんかけ 材料

菜種(菜花)

1/2束

イカ

60g

大根

60g

長芋

60g

1g
(銀あん)
A|出汁
300cc
A|
2g
A|みりん
大さじ1
B|片栗粉
大さじ1.5
B|
大さじ1.5
B|白コショウ
適宜
  1. 長芋をみじん切りにする。あるいは、瓶の底で叩くなどして、好みの食感にする。

    菜種とイカの銀あんかけ

  2. 大根をおろし、(1)と塩を加えてよく混ぜ合わせる。

  3. 塩をひとつまみ入れ、沸騰させた湯で菜種を1分ほど茹で、ザルに取る。

    菜種とイカの銀あんかけ

    菜種は、冷水に放さなくても色鮮やかに茹で上がるので、あげたまましばらくおいて粗熱が取れたら絞って水分を取る。

  4. イカの表面に細かく切れ目を入れてから短冊に切り、沸かした湯に放ち、30秒ほど茹でる。

    菜種とイカの銀あんかけ

  5. Bを合わせて水溶き片栗粉を作り、温めたAに少しずつ加えながら手早くかき混ぜ、とろみを出して銀あんを作る。最後に好みで白コショウを加えてもよい。

    菜種とイカの銀あんかけ

  6. (3)を器に盛り付け、(2)と(4)の銀あんをかける。

菜種とイカの銀あんかけ

微妙な季節感を食材や温度で表現する日本料理

春を代表する日本料理と言えば、若布の新芽と土から顔を出すか出さないかの筍を合わせた「若筍煮」。秋の料理では、出始めの松茸と旬のおわりの「名残の鱧」を合わせた「土瓶蒸し」も、季節の出合いを楽しむものです。温度感も大切で、冬は熱々、夏はひんやりは当然ですが、今回の料理のように熱々でもなく冷たくもなく「ほのかな温かみ」は気温が日によって定まらない今頃の季節にはおすすめの一品です。ご自分でも色々工夫して、春の温もりを表現してみてはいかがでしょう?

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

今回はとてもシンプルで短時間でできる料理です。食材は、菜種だけでなくアスパラ、山菜、グリーンピースなど春を感じさせる緑の野菜なら何でも合います。寒い地方なら、白い大根おろしと山芋を雪に見立てて、雪の下から春の伊吹が覗いているというような趣きで楽しんでみてください。

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

小山裕久 HIROHISA KOYAMA

1949年、徳島県生まれ。料亭『青柳』店主。日本料理の技と精神を伝えるべく後進の育成、海外での日本料理普及に力を注いでいる。 2004年春には日本料理人としてはじめてフランス共和国農事功労章シュバリエ受章、同じく2010年冬には同共和国農事功労章オフィシエを受章。著書に『味の風』(柴田書店)、『小山裕久の日本料理で晩ごはん』『続小山裕久の日本料理で晩ごはん』(朝日新聞社)『古今料理集』(アシェット婦人画報社)『鯛の本』(淡交社)等がある。

青柳

青柳

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2015.4.1 UP次回は5月1日更新予定です。

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