根菜と豆乳のスープ、季節の魚介と共に

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トップシェフのヘルシーレシピ

根菜と豆乳のスープ、季節の魚介と共に

1人分 188kcal 食塩相当量 1.8g

石井義典 YOSHINORI ISHII

家庭でもできるプロの味。
ロンドンの日本料理人に教わる特別篇。

根菜の旨みを余すところなく。
ひと皿で三度おいしい珠玉のスープ

 味が濃く深くなった冬が旬の根菜をよりおいしく、そして目にも楽しく食せるスープをご紹介します。いわゆる、豆乳を使った「すり流し」のようなイメージです。そのままでも充分美味しいスープですが、その甘みや旨みをより鮮明に楽しむために、今回は季節の甲殻類と一緒に味わっていただきます。
 まず、素材となるかぶとごぼうをそれぞれ昆布と共に豆乳でゆでていきます。豆乳は高い温度にすると、たんぱく質が凝固して鍋の表面に皮膜=湯葉ができてしまうので、それを避けるために、クッキングペーパーを使って落し蓋をし、表面の空気を遮断して過熱していきましょう。根菜は、皮の部分に栄養分や旨みがたくさん含まれていますから、かぶは洗って皮のまま、ゴボウも汚れを落としてから包丁の背などで軽く表面をこそげ落とす程度でゆでていきます。
 素材を水で下茹でして、あとで豆乳と合わせれば、落とし蓋などもしなくてよく調理も楽ですが、その工程ですと、せっかくの旨味をゆで汁とともに捨てることになってしまう。かぶを水でゆでた時のゆで汁は、塩を入れただけでもおいしい出汁になるくらいですから、それはもったいない。ですから、昆布と豆乳でゆで、根菜の旨みを丸ごと味わおうというわけです。

 よく日本料理では「水でさらしてアクを抜いて」とか「米のとぎ汁でゆでてアク抜きをして」などと、「アク」というものをネガティブにとらえがちですが、今の野菜は昔と違って作り方も丁寧で、雑味の少ないものになっています。そんな中で、野菜それぞれがバランスをとりながら生育しているのですから、野菜に含まれたアクも含めて素材の旨みととらえ、それがある上でどういう味付けをするか、という風に考えたほうがいいと私は思っています。ですからこの料理では、浮いてきた余分なアクは捨てますが、それ以外のアクは素材の旨みとして豆乳に染み出させて、全てをフードプロセッサーにかけてしまうのです。
 また、かぶとゴボウは一緒にせず、別鍋でゆでて2種類のスープにします。最初から同じ鍋で作ってもいいのですが、料理として食べた時に、違った味わいのスープがひとつの皿の上にある……「かぶがおいしい」「ゴボウもおいしい」「混ぜてもおいしい」となったほうが、料理として楽しいじゃないですか。合わせる魚介類は、季節のものであれば、なんでも結構です。もちろん、スープだけで味わっても充分楽しめます。ただ、カニなどの甲殻類と根菜の相性は抜群ですので、是非お試しください。もちろん缶詰を使ってもおいしく味わえるでしょう。
 このスープには、昆布の旨みと薄い塩味しかつけていないので、本当に素材自体の滋味が際立つ料理です。しょうゆ味の“あん”も混ぜながら、様々に変わっていく季節の味わいを、存分に楽しんでみてください。

材料(2人前)

根菜と豆乳のスープ、季節の魚介と共に 材料

(かぶのスープ)

かぶ

300g

豆乳

300cc

昆布

10cmx10cm

少々

白胡椒

少々
(牛蒡のスープ)

ごぼう

120g

豆乳

150cc

昆布

10cmx10cm

少々

山椒

少々
(魚介類)

ゆで海老

2尾

ラングスティーヌ

2尾

ホタテ貝柱

1個

蟹の身

30g
魚介類は、身近で手に入るお好みのものならなんでも。あるいは、なくても可。
ラングスティーヌは手長海老で代用可。
(あん)

昆布だし

50cc

干椎茸

3枚

少々

濃口醤油

小さじ1と1/2

くず粉(葛粉)

小さじ1

ゆずの皮

適量

お好みの香味野菜

適量
  1. 魚介類は生のまま、さっとゆでて冷やす、軽く火を通すなどお好みで準備。

  2. かぶは水洗いし、皮をむかずに昆布とともに豆乳に入れ、弱火でゆで(串がすっと入る程度まで火を通す)、冷ます。

    根菜と豆乳のスープ、季節の魚介と共に

    豆乳のたんぱく質が凝固しないよう、クッキングペーパーで作った落し蓋をし、時々鍋の中の様子を見ながら、浮いてきたアクのみ取り除く。

  3. ごぼうは水洗いした後、包丁の背などで軽く表面の皮をこそぎ落とし、昆布とともに豆乳に入れ(2)のかぶと同様に火を通し、冷ます。

  4. かぶをゆでた鍋の中身全てと塩、白胡椒をフードプロセッサーにかけ、スープにする。

  5. ごぼうをゆでた鍋の中身全てと塩、山椒をフードプロセッサーにかけ、スープにする。

    根菜と豆乳のスープ、季節の魚介と共に

    かぶとごぼうの風味の違いを味わってほしいため、スープは別々に作る。

  6. あんを作る:昆布と椎茸でとっただしを沸騰させ、塩と濃い口醤油を加えた後、葛でとろみをつけ冷ます。

  7. かぶのスープとごぼうのスープを皿に盛りつけ、(6)のあんを適量添える。

  8. (1)で用意した魚介類をスープの上に盛り付け、仕上げにゆずの皮とお好みの香味野菜を添える。

    根菜と豆乳のスープ、季節の魚介と共に

    ふたつの味のスープが混ざらないよう、美しく盛り付ける。

根菜と豆乳のスープ、季節の魚介と共に

メインの根菜は、ジャガイモやニンジンなど、すり潰してスープになるようなものであれば、なんでもおいしく仕上がるでしょう。今回は冷たいスープにしましたが、寒い日は温かいまま、あんを多めに作ってたっぷりかけ、生姜汁などをアクセントに絞って、召し上がってみてください。添える食材も、今回は甲殻類を中心に使いましたが、いろいろなアレンジが可能です。魚介類なら、アサリやハマグリなども合います。また、蒸した野菜や肉類などをのせてもいいでしょう。

石井義典 YOSHINORI ISHII

石井義典 YOSHINORI ISHII

石井義典 YOSHINORI ISHII

1971年生まれ、千葉県出身。「京都吉兆」嵐山本店で研鑽を積み、副料理長に就任。1999年、ジュネーブの国連大使公邸料理長として渡欧、2002年からは同大使に随行し、ニューヨークへ渡る。一時帰国後、2006年再渡米、ニューヨーク「MORIMOTO」 に勤務。"Rising chef award" などの賞を受賞。2010年より、ロンドン「UMU」 の総料理長として招聘され、現在に至る。ロンドン屈指の懐石料理店として評価を高め、2015年、 ミシュラン2つ星を獲得。

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毎月2回更新

2015.11.24 UP 次回は12月7日更新予定です。

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