のっぺい汁

vol.

トップシェフのヘルシーレシピ

のっぺい汁

1人分 136kcal 食塩相当量 1.9g

秋山能久 YOSHIHISA AKIYAMA

プロの技でお馴染みの味を
ブラッシュアップ

身体がぽかぽかと
温まっていく郷土料理。

 新潟県の郷土料理として有名な「のっぺい汁」。大根、人参、れんこん、里芋などの根菜やきのこをごま油で炒めてから煮る料理です。とろみは里芋の自然なとろみを利用するのが一般的。煮込んで汁が粘り、餅のようになることから「濃餅」といわれるようになったとか。とても素朴ですが、それだけに、身も心もほっこり温まる雰囲気がありますよね。私の出身は茨城県なのですが、正月の雑煮は、こののっぺい汁をベースにしているほど大好物になっています。
 のっぺい汁とひと口に言っても、地方や地域、あるいは家庭によって様々。野菜だけ、いや、鶏肉や豚肉、あるいは鮭を入れるというところもあれば、味噌や酒粕仕立てにするというところも。それが郷土料理の面白さ、奥深さですよね。郷土料理は、気候風土はもちろん、節句や旬、あるいは生活習慣などが食に生かされていて昔の人々の知恵や、自然への感謝など学ぶこともたくさんあります。こういった日本の素晴らしい食文化を伝えていくことも料理を作る者の使命。現代の生活に合うように、栄養面なども考慮しながら再構築していくことも料理の一つの楽しみだと感じています。

 さて、今回は、火が通りやすいように具材は薄く切り、下ゆでしています。煮込む時間を短縮するだけでなく、見た目も繊細な感じに仕上がりますから、素朴な郷土料理とはいえ洗練の面持ちに。お客様にもお出しできるハレの日の料理になります。だしは、ごま油に負けないよう、かつおでとるのがよいと思います。だしにごま油を垂らして香りをつけるのではなく、あらかじめ具材を炒めてからだしを入れるのもポイントです。ごま油が野菜の表面をコーテイングし、人参らしさ、大根らしさなどを封じ込めるので、口に入れた時に野菜の輪郭がしっかり浮き出てきます。だしを加えて、ひと煮立ちさせたら、水溶き片栗粉、あるいはくず粉でとろみをつけます。寒い時期、できるだけ最後まで温かいまま食べられるようにという昔ながらの知恵なんですね。汁が冷めないだけでなく、身体の中にもとろ〜んと入っていきますから、ぽかぽかと温まってきます。
 お好みですが、仕上げにすりおろしたしょうがを加えると、ぽかぽか感がさらに持続します。根菜、鶏肉としょうがの相性もよいので味わいも増します。オプションとしては、木綿豆腐を、味が染みやすいよう手でちぎって入れてもいいでしょう。たくさんの具材を楽しみたいなら、鍋にするのもいいですね。冬に甘みが増す野菜でいろんなのっぺい汁を楽しんでください。

材料(4人前)

のっぺい汁 材料

大根(5cm)

1本

人参(5cm)

1本

椎茸

2個

油揚げ

1/2枚

鶏のもも肉

100g

ごま油

かつおだし

300cc

水溶き片栗粉

30cc
調味料A

薄口醤油

30cc

10cc

みりん

10cc

1つまみ

お好みで三つ葉しょうがなど

適宜
  1. 大根、人参は皮をむき、いちょう切りにしてさっと下ゆでする。

    のっぺい汁

    下ゆでしておくと、だしの味が染みやすく、煮詰めすぎることがない。人参の方が火が通りにくいので、先に入れ、冷水に取って色止めをすると仕上がりの色もよくなる。

  2. 鶏もも肉は2cmくらい、椎茸は4等分、油揚げは横半分に切り、5mm幅に切る。

  3. 鍋にごま油を入れ、鶏もも肉、野菜を軽く炒め、だしを加える。

    のっぺい汁

    ごま油が素材に染み、香りが生きる。また、煮崩れにくくなる。

  4. 調味料Aを加えて味付けをしたら、水溶き片栗粉を加えてとろみをつける。

    のっぺい汁

    水溶き片栗粉は、鍋の中を丸くかき混ぜて流れを作り、細い糸のように垂らす。とろみをつけると冷めにくくなる。

  5. 好みでおろししょうが、刻んだ三つ葉などをあしらう。

のっぺい汁

 のっぺい汁のように、いろいろな根菜を使った郷土料理は全国にあります。冬は身体を温める根菜たっぷりの汁、というのは、古くからの生活の知恵なのでしょう。土の中でパワーを蓄えて育つ根菜は滋養が豊かで身体を温める作用があります。体が温まると免疫力も上がるので、風邪など引きにくくなります。また、食物繊維も豊富で、デトックス作用もありますから、運動不足になりがちな冬に腸を元気にしてくれる強い味方ですね。ただし、根菜類は糖質が高めなものが多いので、あくまでも適量で。豚や鶏肉、あるいは豆腐などタンパク質を多く含む食品を加えれば栄養バランスもよくなりますし、満腹感も増しますよ。

秋山能久 YOSHIHISA AKIYAMA

秋山能久 YOSHIHISA AKIYAMA

秋山能久 YOSHIHISA AKIYAMA

1974年、茨城県出まれ。高校卒業後に上京し、東京・学芸大学の『割烹すずき』にて10年間修業を積む。その後、視野を広げるために『月心居』にて精進料理と向き合い、今後の料理人としての在り方を学ぶ。2005年、『六雁』の料理長に就任。完全オープンキッチンの店内で、固定観念に捉われない料理を生みだし続けている。「世界料理学会 in ARITA」ではディレクターを務めるなど活躍の場はキッチンに留まらない。

六雁

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電│
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営│
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2017.2.13 UP 次回は2月27日更新予定です。

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