トマトの赤だし

vol.

トップシェフのヘルシーレシピ

トマトの赤だし

1人分 73kcal 食塩相当量 1.4g

旬のトマトの鮮やかな赤が映える、
プロの技が光る味噌汁。

きりっとした赤味噌が味の引き立て役
箸で食べられる丸ごとトマト。

 夏の野菜のイメージがあるトマトですが、一番おいしい季節は4~5月。毎年この時期が近づくと、トマトを使った料理をあれこれ考えるのが楽しみで仕方ありません。私が子供の時分は「トマトは生のまま、サラダで食べる野菜」というイメージが強かったですが、中華料理のトマトと卵の炒め物やイタリアンのトマトソースが市民権を得た頃から、火を通してもおいしい野菜と認識されるようになりました。店でもすき焼きに加えたり、自家製ドライトマトを作って白和えにしたりと、さまざまな料理でお出ししています。とりわけ私自身が大好きでお客様からもご好評いただいているのが、トマトの赤だし。お椀にトマト丸ごと1個というビジュアルも愛らしく、ごちそう感あふれる1品です。
 お味噌汁ですから、難しいことは何もありません。必要な手間をきちんとかければ、どなたでもおいしく作ることができます。まず、トマトはきちんと湯剥きすること。生で肉の付け合わせなどに使うときは、皮の香りや食感が欲しくてあえて皮付きのまま使うことがありますが、お椀やおひたしにするときは必ず湯剥きします。ポイントは切り方。完全に切ってしまわずに、へたギリギリのところまで深く切り込みを入れることで、丸ごとの形を保ったまま、お箸でひと口ずつ食べられる仕上がりに。

 煎りゴマは使う直前に擦ると、香ばしさが格別です。そのまま入れると汁に馴染まずプチプチとした食感だけが際立ってしまうので、必ず擦りゴマにして下さい。
 トマトだけでも十分おいしいのですが、モッツァレッラチーズを使って、和洋折衷のモダンな仕立てに。一見「お豆腐?」というビジュアルですから、サプライズを演出でき、お味噌汁ながらおもてなしの食卓にも映える1品になります。モッツァレッラは、「ボッコンチーニ」という一口サイズのものがあれば、そちらをご用意下さい。通常サイズのものを切って使うと、熱で中身が溶け出してしまうからです。仕上げに添えたほんの少しの辛子が、色味と味わいのアクセントに。今回は三つ葉を使いましたが、青みはお好みで。セリやカブの葉など、なんでも結構です。
 私はトマトと相性がいいのは、赤味噌だと思います。これは好みですが白味噌だと味がぼやけるように感じるので、まずは赤味噌を試してみて下さい。旬のトマトの甘酸っぱさとだしの旨み、味噌のコクが一体となり、体に染み渡るような、滋味深い味はやみつきになるはずです。

材料(2人前)

フルーツトマト

2個

鰹だし

300cc

八丁味噌

大さじ2

ミニモッツァレッラチーズ

4個(20g)

三つ葉

1/3束

煎りゴマ

大さじ1

溶き辛子

適量
  1. トマトのへたを取り、たっぷりの熱湯にくぐらせ(約10秒程度)、氷水にさらして皮を剥き、4等分の切り込みを入れる。

    トマトは切ってしまわずに、へたギリギリのところまで切り込みを入れると、丸い形を残したまま、箸で食べやすく仕上がる。

  2. 三つ葉を刻む。

  3. 煎りゴマをやや粒が残る程度に擦る(時間がないときはすりゴマでもよい)。

    やや粒が残るよう粗く擦ることで、食感よく香りも豊かに仕上がる。

  4. 鰹だしに八丁味噌を溶き、モッツァレッラチーズを入れて火を止める。

  5. トマトをお椀に盛り、赤だしをかけて三つ葉、擦ったゴマをかける。トマトの上に辛子を盛り付ける。

ハウス栽培の恩恵で一年中、スーパーや八百屋の店頭に並ぶトマトですが、やはり旬に味わう露地ものの味は格別。夏のイメージがある野菜ですが、湿気に弱いので、梅雨入り前、初夏がもっとも味に凝縮感が出ます。糖度が高く、同時に酸味もきちんとあるフルーツトマトを選ぶと、さっぱりとして、かつ深みのある味に。トマトは栄養素も豊富。赤色の元となるリコピンには抗酸化作用があり、血管や血液の酸化を妨ぐことができ、動脈硬化などの生活習慣病予防に役立つといわれています。加えて味噌は、昔から「味噌は医者要らず」といわれるほど栄養価の高い食品。原料である大豆のたんぱく質や発酵によって生成されるビタミン類、アミノ酸が多く含まれています。味噌汁で、栄養をバランスよく効率的に摂取しましょう。

秋山能久 YOSHIHISA AKIYAMA

1974年、茨城県出まれ。高校卒業後に上京し、東京・学芸大学の『割烹すずき』にて10年間修業を積む。その後、視野を広げるために『月心居』にて精進料理と向き合い、今後の料理人としての在り方を学ぶ。2005年、『六雁』の料理長に就任。完全オープンキッチンの店内で、固定観念に捉われない料理を生みだし続けている。「世界料理学会 in ARITA」ではディレクターを務めるなど活躍の場はキッチンに留まらない。

六雁

住│
東京都中央区銀座5-5-19
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電│
03-5568-6266
営│
17:30~23:00
休│
日曜・祝日
席│
46席(個室あり)

カード│使用可

毎月2回更新

2017.5.22 UP 次回は6月12日更新予定です。

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