e食材辞典

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食材解説・監修|神戸女子大学家政学部教授 後藤昌弘(農学博士)

魚介類

ニシン/鰊、鯡

ニシン

この食材のレシピ

分類 ニシン科ニシン属
原産地 北太平洋のニシン、北大西洋のニシンなど北半球の水温13℃以下の寒流域に広く生息する。これらのニシンは、同種とする説と異種とする説がある。
学名 Clupea pallasii
外国語名 Pacific herring, California herring (英)、hareng du Pacifique (仏)、鯡魚 (中)
別名 春告魚、コウライイワシ、セガイ、かど、かどいわし、ばかいわし
由来 両親のそろって健在な者が、盆の15日にぜひ食べなければならなかった乾魚だったため、二親のマナとか二親の魚とか言った言葉で、もとは二親肴の意からニシンとなった説がある。他に、2つに割いて乾かすことから二身という説もある。鰊の漢字は、東の魚を意味する。鯡の漢字は、北海道の松前ではコメに匹敵する大切な主食で「魚に非ず」という意味がある。また、かつて北海道で春先に大群で押し寄せたため「春告魚」ともよばれる。
歴史背景 先史時代の壁画にニシンを捕獲している場面が描かれており、当時からニシンが食べられてきたことを物語っている。日本ではかつて北海道で大量に獲れ、一大産業となっていた。民謡のソーラン節は当時の労働歌である。近年は漁獲量が減少しており、国外産の本種および大西洋産の同属のタイセイヨウニシンの冷凍品や加工品が輸入されている。
伝来 1447年、陸奥国の馬之助という者が、松前白符村においてニシン漁を開始したとされている。
時期 春(3月、4月)が最多出回り期で、秋から冬にかけても漁獲される。
国内分布 北海の回遊魚で、北海道、北日本、カムチャツカ、アラスカ、カリフォルニア、中国北部、朝鮮半島にも分布している。昭和20年頃までは北海道沿岸に大量に群生していた。
特徴 イワシに似た赤身魚で、成分的にも類似している。体長は30cm程度になる。体は背びれと腹びれが体の中央にあって、上下に対立している。5~8年で成魚になる。春に大群で沿岸の海藻に産卵する。同じ科のマイワシとは体側に黒点がないことで識別できる。イワシと同様に、漁期、漁場、大きさなどにより成分含量は大きく変わる。特に可食部の脂質含量は最低1~2%から最高20%程度まで大きく変化する。欧米ではわが国以上に好まれる。数の子は、ニシンの卵である。
品種名 ニシン、タイセイヨウニシン(大西洋産)
下処理 生の魚は、うろこを取り、エラを外し、内臓を抜いて中を洗う。身欠きニシン(本干し)はたっぷりのとぎ汁に2~3日漬け、軟らかくし、洗った後用いる。生干し(ソフトニシン)はそのまま調理に使える。
料理名 三平汁(北海道の郷土料理)、照焼き、蒲焼き、みそ煮、汁物、昆布巻きなど。
調理法 脂ののった時期のごく新鮮なものは塩焼きにする。脂肪が多く旨味が少なく、しかも臭気が出やすいことから、一般に照焼き、蒲焼き、みそ煮、汁物など、濃厚な味付けの料理に用いる。西洋料理や中国料理では、下味をつけて油焼きにするものが多い。
加工品 身欠きニシン、糠漬ニシン、塩ニシン(スコッチキュアーなど)、ニシンの燻製(キッパーなど)、数の子(ニシンの卵巣。現在はほとんどが塩蔵品である。)など。
選び方 生の魚は目が澄んでいて白く濁ったり赤くなっていないものを選ぶ。新鮮なものはエラの色が赤く鮮やかで、はらわたの部分を押すと張りがあり、うろこが落ちずに光っている。皮は破れがなく、青々としているものがよい。切り身は、弾力があり切り口がなめらかで、トレーに汁や血が出ていないものがよい。
保存方法 下処理し、ペーパータオルとラップに包み、冷蔵保存する。解凍ものは再び冷凍せず使い切る。煮魚は冷蔵庫で1~2日程度保存可能。また煮魚は汁ごと保存容器に入れて冷凍することも可能で、解凍も煮汁ごとする。
栄養 最近は輸入物が多く、夏に漁獲される脂質含量の多いニシンが多く流通している。そのため食品成分表の脂質含量が高め(15.1g/100g)になっている。脂質の構成成分はイワシに比べて高度不飽和脂肪酸の含量が少なく、そのためイワシの脂質より酸化変敗しにくい。また、ビタミンD、Eの含量がイワシよりやや高い。