e食材辞典

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新鮮な食材の見極め方や旬の時期、下処理の仕方からその調理法まで、
毎日のお買い物や献立づくりに役立つ情報が満載です。

食材解説・監修|神戸女子大学家政学部教授 後藤昌弘(農学博士)

魚介類

カキ/かき

カキ

この食材のレシピ

分類 イタボガキ科
学名 Crassostrea gigas Thunberg
外国語名 Oyster (英)
別名 すみのえがき、はなががき、いたぼがき、なががき、けがき
由来 牡蠣と書くようになったのは江戸時代。牡蠣を調べたところ、どれも雄だったことからこの字が当てられた。実際はカキは雌雄同体で、周期的に雄になったり雌になったりする。
歴史背景 一万年以上も前の世界各地の貝塚から、カキの貝殻が出土している。古代ギリシアやローマ人、ジュリアス・シーザー、フランスのアンリ4世など、どの時代でもカキは食されてきたようで、数々の英雄もカキを好んだとか。養殖の歴史は古く、紀元前1世紀、ローマのナポリ湾で始まった。日本では、縄文時代から食用にされており、すでに養殖していたと思われる遺跡も見つかっている。広島湾では300年ほど前から養殖されており、大正時代には垂下式養殖法が開発されてからは全国に広まり、生産量も増えた。
時期 うまみ成分を蓄える秋から冬が旬。カキは「R」のつく月がおいしいといわれ、「R」のつかない5月~8月は、身が細っておいしくないとされる。ただし日本海でとれる「岩がき」は夏が旬。
国内分布 日本の沿岸に22種類ほど生息し、すべて食用となるが、市場に流通しているのほとんどが養殖されたマガキ。産地としては広島県、宮城県、岩手県、北海道厚岸(あつけし)などが有名。北海道産のものは貝殻が大きく、ナガガキ、蝦夷ガキなどと呼ばれるが、種類的にはマガキと一緒である。宮城県でとられる種ガキは、アメリカ、フランスへも輸出されている。
特徴 世界中に分布し、ホタテとともにもっとも食べられている貝の一つ。うまみ成分はもとより、良質のタンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富なことから「海のミルク」とたとえられる。近年、亜鉛不足による子どもの味覚障害が問題になっているが、カキは2個で1日に必要な亜鉛量を満たすといわれている。
下処理 かきは下ごしらえが大切で、料理の味を左右する。かきの身(加熱用)は、海水程度の濃度の塩水か、おろし大根の中で軽くもみ洗いして汚れを落としたあと、ザルに入れて真水(流水)で2度ほど振り洗いする。きずつきやすいので、手早くサッと洗うこと。洗ったあとは水気をよくきり(急ぐときはキッチンペーパーで水気をふき取る)、かきの味を引き立てるために酒を振りかける。
料理名 酢がき、かきのカクテル、かきフライ、かき飯、かき雑炊、かき豆腐、かきのバター焼き、かきグラタン、かきのクリーム煮、かきの茶碗蒸し、かき鍋、かきの土手鍋、かきの殻焼き、かきの泡雪揚げ
調理法 かきの味を生かすには、火を通しすぎないことが大切。生食用と書かれた新鮮な無菌がきは、酢の物やカクテルなどにすると美味。加熱用を使うなら、煮る(みそ煮、土手鍋、チャウダー)、焼く(焼きガキ、バター焼き、グラタン)、炒める、蒸す、揚げる(かきフライ)、ご飯もの(かき飯、かき雑炊)など幅広く調理でき、エキスのうまみも堪能できる。
加工品 かきの燻製
選び方 天然のものは少なく、市場に出回っているほとんどのものが、広島、三重、宮城、岩手などで養殖されているもの。殻つきのものなら必ず生きているもので、殻が厚くて、大きさの割りに重いものを選ぶとよい。むき身のかきは、ふっくらと張りがあって、白い部分が乳白色で光沢をもち、黒いひだの部分の色がよく縮み、色の濃いものが良品。むき身がパックされたものは、生食用とか加工用(加熱調理用)と表示されているので、料理によって使い分けるとよい。
栄養 世界中で古代から食用にされて来たかきは、「海のミルク」とも称されるほど栄養の供給源として優れ、タウリンをはじめ、グリコーゲン、タンパク質、ミネラル、ビタミンが豊富。鉄や銅、亜鉛などの機能も見逃せない。ビタミンE、A、B6、B12が含まれる。
備考 魚介類の生食を嫌う欧米人も、カキだけは別。レモンを添えて生で食べる。ケチャップを添えるのは割と最近のアメリカ人の習慣。古代ローマ皇帝ヴィテリウスは嘔吐しながらも食べ続けたといわれ、シーザーのイギリス遠征はテムズ川河口のカキを手に入れたかったから、との説もある。また宰相ビスマルク、作家のバルザック、ヘミングウェイなどもカキを好んだとして有名。